大関陣の低迷と、序盤の大関対決の相関性。
8日目が終わった。
全勝は白鵬、1敗で日馬富士。
ここまでは大方の予想通りだが、
気になるのが大関陣である。
把瑠都休場という想定外の事態が発生する中で
残された4大関の成績はどうなのだろうか。
3敗が3人、2敗が1人。
ここまでは見事に期待外れである。
全員ほぼ優勝争い圏外という惨状は確かに
由々しき事態だが、今場所は少し事情が異なる。
そう。
序盤から大関同士の対決が組まれているのだ。
実力者同士の対決が、序盤の争点となり、
また裏目的として八百長疑惑を解消するということも
挙げられていた。
今場所の一つの目玉として導入された
序盤の大関対決。
だが、平幕相手に各々が星を落とした状態で
対決が組まれたためにどちらかが敗れた結果、
全員が低レベルで安定するという
何とも言えない結果を招いてしまった。
裏を返すと、終盤戦で番付が下の力士との
対戦が増えるために見た目上は帳尻が合う結果にはなる。
だが、他のスポーツと相撲が決定的に異なるのが
本場所の焦点の大半が優勝争いであり、
星を落とした実力者同士の対戦ではない、
ということである。
勝敗以外で力士を評価するポイントが無いので、
成績が突出していないと興味が落ちてしまうのは
仕方が無いことだ。
そして、横綱の実力が突出していれば
横綱を好調な平幕が追い掛けるという
展開になるのは必然なのである。
来場所以降も序盤の大関対決が続くと、
よほど好調で無い限りは大関が終盤まで
優勝を争うことは激減することだろう。
ファンサービスだと思って実施した改革が
結果としてファンの興味を殺ぐ結果となった
というのは皮肉というよりほかに無い。
大関に多くを求めるのがファンだから、
結局こうした声を打破するには
取りこぼしをせずに大関対決を迎えることでしか
解決はしない。
魅力的な相撲を取るからこそ、
潜在能力を考えると明るい未来が見えるからこそ、
大関の奮起を期待したい。
やりようによっては面白い取り組みだとは思います。ただ今場所のようになっては何とも微妙ですが…、細かい設定を決めて、割りを組む必要があるでしょう。いずれにせよ、協会の「大関」の地位にある力士に対する敬意が、現状感じられないのが気になります。
横綱を「神」とし除外すれば、最高地位にあるのが大関ですし、なんでも数値化、単純化、二極化してしまうことに、私は違和感があります。