最も大関に迫った力士は誰か?個性派力士の中から検証する。後編 part2(完結)

最強大関は誰か?という記事を書いたが、
相撲ファンの中ではそれと同様に盛り上がるトピックが有る。
最も大関に迫った力士は誰か?
ということである。
絞り込んだ6力士の中から
大関に迫るのに必要な以下の要素を検証し
ランキング化しようと思う。
◆要因その1:安定感
・関脇での勝ち越し率
・関脇在位時通算勝率
・関脇在位時対関脇以下勝率
・関脇連続在位場所数
・関脇返り咲き場所数
・関脇在位時休場場所数
◆要因その2:爆発力
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時)
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上)
・関脇在位時対横綱勝率
・関脇在位時対大関勝率
・関脇在位時2ケタ勝利場所率
なお、この条件に於いて全て1~6位まで順位づけし
各項目を以下の基準でポイント付けし、
多く得点した者を「最も大関に迫った力士」とする。


1位:15ポイント
2位:10ポイント
3位:7ポイント
4位:4ポイント
5位:2ポイント
6位:1ポイント
1位のポイントが高く、6位のポイントを低くしたのは
マイナスポイントが少ないことと傑出したポイントが多い方が
優秀ではないか?
という観点で採点したためである。
ちなみに、「大関獲り挑戦回数」については、
今回のテーマたる「大関に迫った」に最も近い項目のため、
採点を倍にして計算している。
では6位から。
◆第6位:栃赤城(34ポイント)
・関脇での勝ち越し率:2
・関脇在位時通算勝率:2
・関脇在位時対関脇以下勝率:4
・関脇連続在位場所数:2
・関脇返り咲き場所数:1
・関脇在位時休場場所率:2
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時):1
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上):7
・関脇在位時対横綱勝率:1
・関脇在位時対大関勝率:10
・関脇在位時2ケタ勝利場所数:2
「サーカス相撲」として観る者を楽しませる
取り口で土俵に君臨した名脇役。
大関獲りは昭和55年にワンチャンス有った。
10勝、11勝で迎えた勝負の場所で、
序盤に負けが込み、この場所を6勝9敗で終える。
その後緩やかに下降線を描き、
十両・幕下でも相撲を取り続けた。
さすがにこのレベルでの比較は苦しかったか。
他の力士は栃赤城の倍以上の在位期間の中で
チャンスをうかがうことが出来たが、
相対的に負け越しが多く、勝率が低いことなどが
影響して6位となった。
◆第5位:貴闘力(67ポイント)
・関脇での勝ち越し率:4
・関脇在位時通算勝率:7
・関脇在位時対関脇以下勝率:2
・関脇連続在位場所数:4
・関脇返り咲き場所数:7
・関脇在位時休場場所率:15
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時):2
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上):7
・関脇在位時対横綱勝率:15
・関脇在位時対大関勝率:2
・関脇在位時2ケタ勝利場所数:2
当時横綱の曙が大の得意で、張って張って引く、
が面白いように決まっていたという印象。
関脇にも度々顔を出していて、
コンディションが冴えると2ケタ勝利していた。
相対的に怪我が少なく、また
二子山勢との対決が無かったことも有り
関脇在位中に勝ち越しを重ねて
大関獲りのワンチャンスを手にした。
二子山勢との対決が少なかった影響で、
関脇以下との対戦が多いのだが、
互角・格下力士との勝率が高くないのも特徴。
曙に勝利しながら玉春日に敗れる、という
見ている側すると勿体ないとしか言いようの無い取り口を
全盛期に改められなかったことが最後まで影響したか。
◆第4位:安芸ノ島(75ポイント)
・関脇での勝ち越し率:1
・関脇在位時通算勝率:1
・関脇在位時対関脇以下勝率:1
・関脇連続在位場所数:2
・関脇返り咲き場所数:15
・関脇在位時休場場所率:2
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時):15
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上):15
・関脇在位時対横綱勝率:4
・関脇在位時対大関勝率:15
・関脇在位時2ケタ勝利場所数:2
上位に強いことが鮮烈に印象に残っている、
二子山部屋(出たての頃は藤島部屋)の個性派力士。
息の長い活躍を見せ、新入幕の頃と
晩年とでは20キロ異なることに代表されるように
年齢や時代のトレンドに合わせて
適応していったことが大きな特色である。
上位への強さが対横綱・大関勝率に、そして息の長い活躍が
関脇返り咲き回数の多さに反映されているが、
平幕には星が伸びない力士だったために、
強い関脇というより波乱を巻き起こしたことの方が
印象に残ることになり、評価ポイントからも立証される結果となった。
◆第3位:長谷川(104ポイント)
・関脇での勝ち越し率:15
・関脇在位時通算勝率:10
・関脇在位時対関脇以下勝率:10
・関脇連続在位場所数:15
・関脇返り咲き場所数:4
・関脇在位時休場場所率:15
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時):7
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上):7
・関脇在位時対横綱勝率:7
・関脇在位時対大関勝率:4
・関脇在位時2ケタ勝利場所数:10
現役時代に観ていない30代の私からすると、
過去の名関脇でよく名前を耳にする力士という印象である。
名関脇という名の通り、関脇での勝ち越しが極めて多く、
8場所連続関脇を2度も経験していることが最大の特徴。
自分の番付よりも下の力士を相手に確実に勝つ、
ということが前述の力士たちよりも秀でていることが
数字からも分かる。
同時代に横綱・大関が多く、上位との勝率が
相対的に高くないことが要因となり、
大関挑戦回数が1回に留まっている。
ワンチャンスをモノにしていれば、大関としての
地位を長く守ることが出来たのでは?と
推測するだけに残念である。
大関には至らなかったが、強い関脇、
という位置付けの力士。
これからも長く語り継がれることだと思う。
◆第2位:若の里(106ポイント)
・関脇での勝ち越し率:10
・関脇在位時通算勝率:15
・関脇在位時対関脇以下勝率:15
・関脇連続在位場所数:10
・関脇返り咲き場所数:4
・関脇在位時休場場所率:4
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時):7
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上):15
・関脇在位時対横綱勝率:10
・関脇在位時対大関勝率:1
・関脇在位時2ケタ勝利場所数:15
現役力士として唯一のランクイン。
朝青龍と共に大関候補として強い大関として
長く君臨していた印象が非常に強い。
若の里はとにかく在位期間の勝率が凄い。
関脇在位期間の通算成績が、何と144勝103敗8休。
関脇としては勝率が5割有れば非常に優秀で、
過去に数人しか居ないのだが、それを大きく上回るのだ。
関脇・小結連続在位19場所というのは、
こうした安定感がもたらした結果と言えよう。
取りこぼさずに成績を伸ばした結果、大関獲りの
チャンスが巡ってくるのだが、ここで決められない。
出島・武双山・雅山・魁皇・千代大海など、若の里からすると
互角以上の実力とも思える大関陣を相手に
成績が伸びないことも災いし、結局大関は成らなかった。
もう土俵人生も晩年だが、朝青龍をも圧倒した当時の凄みは、
今でも時折垣間見せる。
残された時間が僅かであることを噛みしめ、
私はその相撲を見ようと思う。
◆第2位:琴錦(114ポイント)
・関脇での勝ち越し率:7
・関脇在位時通算勝率:4
・関脇在位時対関脇以下勝率:7
・関脇連続在位場所数:10
・関脇返り咲き場所数:15
・関脇在位時休場場所率:7
・3場所最多勝利数(前頭筆頭以上での在位時):15
・大関獲り挑戦回数(前2場所での勝利数:21勝以上):30
・関脇在位時対横綱勝率:2
・関脇在位時対大関勝率:7
・関脇在位時2ケタ勝利場所数:10
スピードとパワーを最大限に発揮した相撲で
相手に何もさせずに勝つ、「F1相撲」。
F1が隆盛を誇っていた時代を物語る彼の二つ名だが、
渡り合った力士も千代の富士や曙、貴乃花など
歴史に残る名横綱が多い。
こうした中、関脇在位場所数1位且つ
関脇に返り咲くこと7回など、
大関に手の届く成績を長く保ち続けたことが
大きな特徴である。
ただ安定するだけでなく、大勝ちして
大関に挑戦すること、何と3度。
千代の富士引退後、琴富士や水戸泉らが
平幕優勝する戦国期に一気に決め切れなかったことが
残念と言わざるを得ない。
成績が崩れやすく、2場所は保てても3場所は
連続で成績を挙げられなかったことが致命的だった。
返り咲きが多いということは、
それだけ陥落しているということも意味している。
だが、これほど優秀な成績を残した関脇は
他に類も見ない。
よって当ブログでは「最も大関に迫った力士」を
琴錦とします。

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