最も大関に迫った力士は誰か?個性派力士の中から検証する。中編
最も大関に迫った力士は誰か。
大関に成れる力が有りながら、届かなかった。
チャンスは有ったが、逃してしまった。
タラレバが有れば「もしかしたら」と
思わせるだけに、勿体なかった力士。
大関に成っていれば名力士として記憶されていたが
掴み損ねたために個性派として記憶に残る力士。
今回はそんな力士について誰が一番大関に迫ったかを
検証してみたいと思う。
第一条件として「6場所以上関脇を務めた力士」を
抽出したところ、24力士に候補が絞られた。
さて、この24力士の中から別の条件を検証し
更なる絞り込みを図りたい。
前回のトピックの中では、あくまでも
関脇として一定期間務めた力士ということでの
絞り込みだったわけだが、「大関に迫った」という
条件を考えると必ずしもそこに該当しない者も居る。
例えば寺尾。
痩身でありながら回転の早い突っ張りと
突っ張りからの引きのコンビネーションで
毎日館内を沸かせた存在であった。
しかし強かった印象よりも連勝中の貴乃花に
闘志むき出しで対峙し素晴らしい取組をするも敗れ
さがりを叩きつけて悔しがったり、
横綱千代の富士に対しても構わず顔面に
突っ張りを喰わせたところ怒りを買い
逆に吊り落としを喰らって敗れる、
敗れても絵に成る力士という印象なのである。
寺尾の例からも分かるように、在位場所の長さと
「大関に迫った」ということは少し異なる話なのだ。
実績面から「大関に迫った」ということを考える上で
直前の地位たる関脇の在位期間を一つの指標とすることは
第一条件として効果的ではあるが、
在位場所が長い順に並べること=大関に迫った順
という公式が成立するわけではない。
そこで私は考えた。
「大関に迫った」ことを検証するための、次のデータは何か。
在位期間が示すものは、つまり安定感である。
地位を守るため、格下の力士を相手に取りこぼさないことであり
格上の力士が相手でもそれなりに勝利することである。
だが、「大関に迫った」ことを考慮すると、
「大関に迫った」なりの実績が必要となる。
つまり、大関獲りのチャンスを掴んだ機会が有るか?
ということを検証しなくてはならない。
◆第二条件『大関獲りの場所を経験した力士』
ここで言う「大関獲りの場所」というのは、
過去2場所で21勝以上していることを条件としている。
ちなみに過去2場所での成績については、
地位が前頭筆頭以上という縛りを設け、
下位での好成績が大関獲りに直結しないことを防止している。
さて、大関獲りの場所を経験した力士、ということで
過去2場所で21勝以上を経験している力士を選抜すると、
以下の結果となった。
若の里
琴錦
貴闘力
安芸ノ島
栃赤城
長谷川
選んでみると「なるほど」と思う力士達である。
印象だけで考えてみても、彼らは「大関獲り」と言われた
場所が有ったように思うし、実際にそれはデータでも立証された。
ここで漏れた力士の中で逆鉾や琴ヶ梅は
1年以上連続で関脇在位期間が有ったことから
関脇としての印象が強い。
しかし2ケタ勝利している場所が少ないことから
「大関に迫った」というよりは「関脇を守った」力士だった、
という結論に至る。
高見山は単発で好成績のケースが有るのだが、
2場所連続が無く、大関獲りには至っていない。
ちなみに優勝した場所は、平幕である。
では、次回はこの6力士をランキング付けし、
「最も大関に迫った力士」を検証する。
続く。