鳴戸部屋の出稽古解禁が意味する、稀勢の里の問題点とその克服について。

鳴戸部屋が遂に出稽古を解禁した。
これは、画期的なニュースである。
そして、我々が懸念していた問題を
解決するかもしれない朗報なのである。
鳴戸部屋が出稽古をしないことで
有名な部屋であることは周知の事実である。
それは先代親方の隆の里時代からの伝統であり、
一つのチームカラーとして存在してきた。
鳴戸部屋の壮絶な稽古は相撲界に轟くほど有名であり、
だからこそ若の里や高安などといった力士を
育て上げるに至ったわけである。
だが、鳴戸部屋の出稽古禁止の方針は
皮肉にも副作用を生んでしまった。
そう。
稀勢の里のことである。


稀勢の里は相撲界を背負って立つ、
日本人力士としては10年に一人の逸材だ。
恵まれた体格に、名門:常総学院から
野球で誘われるほどの抜群の運動神経。
そして、溢れる闘争心に裏打ちされた抜群の集中力。
彼の相撲が取れれば、朝青龍も白鵬も
完膚なきまで叩きのめせてしまうのだ。
余りに鮮やかな勝ちぶりに
彼の完璧な相撲を見た者は、魅了されてしまう。
だが、それはあくまでも彼が自分の相撲を取った時である。
稀勢の里の弱点。
それは、苦手力士が明確に存在することである。
琴欧洲、把瑠都、日馬富士、そして白鵬。
大きく負け越す4力士が存在しており、
苦手を克服しないことには横綱昇進は無い。
だが、彼の場合は出稽古をしないので、
苦手力士との実戦が本場所ないしは
彼らが鳴戸部屋に出稽古に来る時のみなのだ。
腰が高く、脇が甘い。
また立ち合いで先手を取られるという彼特有の弱点は
結局改善されないままここまで来てしまった。
だからこそ、改善するには訓練しか無い。
今まで克服できていない実情が有るのだから、
拘りを捨てなければならない。
周囲の声が高まっていたのは、そういう事情に
イライラを募らせていたからである。
そしてイライラの元凶は、相撲界を取り巻く閉塞感。
これに他ならない。
白鵬は確かに品格と確かな実力を兼ね備えた
不世出の大横綱である。
そして、日馬富士も絶好調であれば
白鵬をも圧倒する力士である。
しかし、彼らではもう足りないのだ。
外国人力士の素晴らしさは知っている。
数々の不祥事も、白鵬の存在によって
どれだけ救われたかも分かっている。
稀勢の里は、日本人の代表なのである。
そこにナショナリズムとか、偏屈な感情は無い。
ただ、自国を代表する力士には、強くあってほしい。
それがたとえ不世出の大横綱が相手でも、
私は圧倒してほしい。
そういう期待が大きかったからこそ、
鳴戸部屋は自身のポリシーに拘泥した。
結果、弱点を克服できないという問題を抱え続けてしまった。
私は鳴戸部屋は、このまま出稽古禁止を貫くと思っていた。
何故なら、ここで方針を変えてしまっては
自分達の方針が間違っていることを認めてしまうからだ。
しかし、遂に彼らは解禁した。
この判断はとてつもなく重い。
鳴戸部屋は過去を清算し、遂に前に進む決断をした。
これは素晴らしいことである。
決断が遅いという意見も有るかもしれない。
だが、結果が出ない時こそ自身を肯定する選択を
しがちではないだろうか。
色々言いたいことは有るかもしれない。
その気持ちはよく分かる。
私も同じ感情を抱いているからだ。
遂に自らの課題に向き合い、前に進み始めた稀勢の里。
私は、稀勢の里を諦めない。

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