十両でも結果を残す、元学生横綱:遠藤。アマチュア出身力士の成績を左右する要因を考える。
元学生横綱:遠藤。
全日本選手権も優勝し、幕下付け出しデビューを飾った
期待の大器は2場所で幕下を通過し、今場所十両に昇進した。
そしてここまで3勝1敗。
相撲内容も非常に良く、このままだと
十両も短期間で突破するのでは?
と思わせるほどである。
確かに遠藤は素晴らしい。
自分の相撲が取れている。
さてここで疑問なのが、アマチュア出身力士でも
すぐに通用する力士、時間が掛かる力士、
そして関取に成れない力士が
存在するということである。
彼らを分けるポイントとは一体何か。
よく例に出されるのが、高校生の頃に
アマチュア横綱に輝いた久島海。
大学時代にもタイトルを獲得しており、
末は横綱大関と言われながら、
当初の期待には遥かに及ばず、引退している。
アマチュア時代の実績は一つのバロメーターではあるが、
成功を保証するものではない。
つまり、アマチュア相撲はあくまでもアマチュア相撲であり、
大相撲は大相撲なのである。
だからこそ、アマチュアから大相撲に転向する場合、
非常に重要なのは適応力ではないかと私は考えている。
アマチュア相撲を思い描いてほしいのだが、
アマチュア相撲は特有の立ち合いの駆け引きが有る。
大相撲を見慣れているとイライラすることの多い光景なのだが、
あのスキルの善し悪しによって、優位性が決定する。
だが、大相撲に入ると、あれとはまた別の立ち合いが待ち受けている。
勿論全てクリーンな訳ではないし、アマチュアよりもえげつない
駆け引きが存在しているわけだが、アマチュアと同じやり方では
通用しないことだけは確かである。
また、張り差しやけたぐり、立ち合いの変化に加えて
体格の大きく異なるタイプの力士に対応せねばならない。
モンゴル人力士特有の取り口も有れば、
東欧系特有の運動能力を活かした取り口も存在する。
こうした「なんでもアリ」の相撲に適応するためには、
詰まるところ低い立ち合いや自分の絶対的な形、
そして状況を打開するための引き出しが必要になってくる。
遠藤に関して言うと、まず立ち合いで負けない。
そして、態勢が低い。
その上スピードが有り、優位性を作るための
テクニックも兼ね備えている。
まだ3場所目だが、私はこれほどスンナリと
大相撲に適応した学生出身力士を他に知らない。
それほどまでに遠藤は十両力士を相手に
自分の相撲が取れている。
恐らくこれは偶然ではない。
彼はアマチュア時代から大相撲入りした時のことを考えて
準備を重ねてきたのである。
だが、その準備が出来ることこそ、
大相撲で生きていくために必要なことである。
遠藤には、それが出来たのだ。
彼は十両を飛び越えて、幕内下位にも、
そして横綱大関にも短期間で適応してしまうのだろうか?
この見事な適応力を考えると、上位でもその能力を
遺憾なく発揮することをどうしても期待してしまう。
それほどまでに、今の遠藤には可能性を感じる。
本当に素晴らしい力士である。
コメントありがとうございます。
下での連勝については、何らかの理由で
付け出しデビューをしていない力士に関しては
有り得ることですね。
基本的に卒業年度などの関係で、
大卒でも同じ時期に同じラインからデビューするので、
なかなか連勝はしづらいです。
石浦に関しては卒業即角界入りではなかっただけに
デビュー時期が他の力士とずれていたことも
連勝の一因になっています。
下では突出した存在ですけどね。