日馬富士3敗目。不調の横綱に対する横審の「激励」は果たして適切なのか?

日馬富士が3敗目を喫した。
妙義龍の素晴らしい相撲が有り、
今日の相撲は正直なところかなり不運とも言えるが、
とはいえ上位陣との対戦を前に既に3敗というのは
横綱にしては負け過ぎではある。
確かにここまでの内容は良くない。
そして、結果が付いてきていない。
そんな日馬富士に対して遂に「激励」という名の
テコ入れがなされようとしている。
横綱とは、常に優勝争いするものである。
横綱とは、みだりに金星を配給してはならない。
確かに理想としてはそうなのだが、
果たしてそれは、妥当な意見なのだろうか?


そもそも論として、横綱審議委員会は
日馬富士に対して厳しい傾向にある。
厳しい傾向ということは、つまりは
力士によって見解にバラつきが有るということだ。
言い切ってしまうと、彼らの主張には
明確な基準が無い。
そう。
恐らくは思いつきで是非を判断しているのである。
彼らが日馬富士に厳しい理由は恐らくこんなところだろう。
1.横綱昇進前に、大関としてもさほど成績が良くなかった
2.今もなお、成績の波が激しい
3.土俵での態度が悪い
勿論日馬富士は、横綱審議委員会が定めた
2場所連続優勝というハードルを全勝優勝という形で
達成している。
そして、成績に波が有るとはいえ、
好調時には優勝もしている。
文句を言われる筋合いはそこまで無い筈なのである。
となると、何が一番困ったことかと言えば
やはり横綱に求められる成績などが
不明瞭だということだ。
皆が納得のいく水準を設けて、
それを下回った場合は指導が入る。
そうすれば、横綱審議委員会の行動に対しても
我々は納得する。
そしてその水準をどうするか、というのも
困った問題である。
考えてみると、私の記憶が確かならば
15日皆勤で負け越しを経験した大乃国ですら
横綱審議委員会からの指導はかつて入っていなかった。
彼らがここまで意見するようになったのは、
私の記憶では貴乃花の洗脳騒動辺りからである。
つまり、彼らの水準はここ15年。
貴乃花。
朝青龍。
そして白鵬。
稀代の大横綱がベースラインなのである。
比較の対象は大横綱だからこそ、日馬富士は物足りない。
そういう客観的な分析をすること無く、
日馬富士に過大な要求を突き付けている。
我々は一度、横綱にはどの程度のものを
求めれば良いかを考え直す必要が有る。
そして、それを横綱審議委員会に啓蒙すべきなのだ。
彼らがやらないのであれば、
そういうプレッシャーを掛けるのが世論である。
これ以上、傷つく横綱を私は見たくない。
そして、無意識のうちに横綱審議委員会が傷つけているのであれば
それに気づいてもらう必要が有る。
まだ間に合います。

日馬富士3敗目。不調の横綱に対する横審の「激励」は果たして適切なのか?” に対して7件のコメントがあります。

  1. げんもん より:

    大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、朝青龍、白鵬。なんかは別格で、大相撲史に名を残す横綱たちですよね。ましてや優勝回数が10を越えてたら大横綱だと僕は思います。
    そう考えると日馬富士は普通な横綱だと思うのですが…。
    日本人力士が勝てなくて白鵬が勝ちまくるので、不運にも彼らの餌食になっている気がして可哀想です。
    稀勢の里の昇進の基準は甘いのに…。

  2. Nihiljapk より:

    >げんもんさん
    お久しぶりです。
    日馬富士は横綱にしてはそれほど劣っているとは思いません。
    大乃国、旭富士、若乃花、勿論北尾も。
    この辺りと比べれば、遥かに上です。
    優勝した時の鮮やかさを見れば明白ですしね。
    そうした相対的な視野も欲しいかな、と。
    それでも不満であれば不満だと言えばいい。
    でもそうじゃないんですよね…困ったことに。

  3. Nihiljapk より:

    >シバさん
    確かに日馬富士は今までの横綱に無いタイプの
    爆発力と脆さを兼ね備えた力士ですからね。
    私個人としては、広島のランス(わかりにくい)みたいな
    横綱もアリじゃないかと思っているんです。
    でも…
    なんか最近横綱に求める横綱像が抽象的だけど
    厳格に要求されるようになってるんですよね。
    そういう風潮を客観視できればいいのですが、
    言ってる本人達が言いたい放題なだけなので、
    結局先に進まないという…

  4. Nihiljapk より:

    >ごうたろうさん
    基準があいまいで、しかも対象によって
    可変性というのが困りモノなんですよね。
    そういうのを糾弾し、少しでも客観性を持ってもらうための
    組織として横審審議委員会を発足させました。
    場所終了後にお題を出そうと思っていますので、
    是非ご参加ください。

  5. Nihiljapk より:

    >通りすがりさん
    なるほど。
    そういう見方も有りますね。
    際立った成績のものだけを横綱にする。
    その水準ですと恐らく…
    大鵬⇒
    (北の富士)⇒
    輪島⇒
    北の湖⇒
    千代の富士⇒
    (曙)⇒
    貴乃花⇒
    朝青龍⇒
    白鵬
    ってな感じで、この40年で7名程度しか
    横綱に成れないんですよね。
    そういう在り方を支持するか。
    低反発球の野球みたいに「横綱が見たい!」
    ってな感じになりそうで、
    結局のところ2場所連続優勝を基準とする形に
    戻す姿が予想されます。
    この部分に関しては、議論が必要ですね。

  6. aoi8 より:

    だいたい、日馬富士を横綱にするのが悪い。
    確かに二場所、連続優勝で成績は申し分ないと思います。
    しかし、元々むらっけのある力士ですし
    少々、体が小さいかと思います。
    成績以外に、横綱の規定を設けた方がよろしかと思われます。

  7. ナナクマン より:

    >歴史に名を残す横綱”ってがそもそもおかしくて、歴史に名を残しそうな人が横綱をはるのが自然だと思う。
    この感覚は面白いですね。実は横綱論議というのは、現行制度に縛られているが故に起こっている滑稽な事柄だと個人的には思っています。
    というのも、スポーツであるにもかかわらず、横綱、大関が地位であるという点です。
    スポーツなら、世界ランキング何位のように変動するものとか、何々大会金メダルとか、そういうものがメジャーです。
    実際に、大相撲も、関脇以下は成績如何で普通に上下しますしね。
    なら、大関や横綱のような制度は作れないのかといえば、さにあらず。
    例えば大関は東西2人制する。基準は2場所の優勝とか。これは連続での優勝ではなく、現在の大関が2場所優勝する前に優勝した関脇が現れたら、西大関は陥落して交代するとか。まあ、今の基準で大関たくさんでもいいですが。
    肝心なのは、横綱を”名誉称号にすること”。通算10場所優勝するか、あるいは、連続3場所優勝した大関は、名誉称号としての横綱を名乗れるとか。
    これは、将棋の世界での永世称号に近い考え方ですね。
    立場としては大関のままですが、横綱としての土俵入りができるとか。
    で、引退規定もはっきりしてて、大関から陥落するとき、としたらいかがでしょう?

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