おらの仁義なき戦い。今場所の幕下上位が史上稀に見る激戦である理由。その3.魁編。

幕下が面白い。
力は足りないが、あともう少しで超人に成れる。
精神的には足りないが、向上心は人一倍有る。
力量は足りないが、周囲の応援が埋めるそんな存在。
それを人は「アイドル」と評するのだが、
私が幕下を面白いと感じるのは、つまりそういう理由である。
乗り越えていく強さ。
そして乗り越えられない弱さ。
どちらを取っても人間であり、力士なのだ。
だから私は幕下に惹かれる。
さて、そんな幕下なのだが、今場所はいつもに増して
熱くならざるを得ない状況なのだ。
外国から裸一貫で日本にやって来て、
今まで経験したことの無い相撲に加えて
異国での生活、言葉にも適応しなくてはならない、
そんな外国出身力士達が存在する。


魁。
若三勝。
彼らはモンゴルから日本に来た、
外国人エリート力士である。
ご存知の通り、1つの部屋に在籍可能な
外国人力士の枠は限られている。
そして、部屋の運営というのは
力士の数と地位に応じて収入が異なる。
外国人力士に期待されるのは、
プロ野球の助っ人同様、結果あるのみだ。
魁は、入門当初は放駒部屋、
そしてその後は芝田山部屋に在籍している。
現在所属の芝田山部屋は、関取が居ない。
その上、弟子の数は10名程度。
経営はお世辞にも潤っているとは言い難い。
そんな中で、この部屋の部屋頭なのが魁である。
部屋の希望の星と言っても過言ではない。
だが外国人である彼が、今まで当初の期待を
叶えてきたかというと、そうではない。
入門は2003年。
年齢は27歳。
もう彼は10年選手なのである。
だが、彼は部屋に潤いをもたらしてはいない。
そして、ジャパニーズドリームも成し遂げていない。
この苦しい生活を投げ出すという選択肢も有るだろう。
結果が出ずに、日本に馴染めずに
短期間で辞めていく力士も多い。
それでも彼は、残った。
この一年で、遂に十両昇進に向けたチャンスを勝ち取った。
先場所は幕下筆頭で結果が出なかった。
更なる試練を彼は味わっている。
ここで踏みとどまるか、ズルズル落ちていくか。
魁は今、試されている。
そんな中での3連勝。
好きな番組はアメトーーク。
得意料理はポテトサラダ。
出身高校はダイアナ高校。
分かったような分からないような力士。
そんな魁。
様々なバックボーンを持つものが、
ハイレベルな闘いをするのが、今場所の幕下上位である。
可能性を見せながらも、人間的な弱さも垣間見せる。
あと1週間で起こるドラマから、目を離せない。
■追伸
名古屋場所9日目に参戦します。
もちろん、吐合Tシャツ着用します。
東列のマス席Dに居ます。
ご覧になったら一声お声かけください。
ビールの1杯はご馳走いたします。

おらの仁義なき戦い。今場所の幕下上位が史上稀に見る激戦である理由。その3.魁編。” に対して2件のコメントがあります。

  1. きしめん より:

    魁、若三勝は、いずれも幕下以下時代の大砂嵐に勝った数少ない力士たちですね。
    魁は、遠藤にも勝っている。大砂嵐に勝ったあたりから、相当力をつけてきたような気が。先場所は壁にぶち当たるも、十両はすぐそこですね!
    でも、若三勝の方が先に上がるかな…

  2. Nihiljapk より:

    この2人の充実度は素晴らしいですね。
    この地位で停滞する外国人力士が多い中、
    抜け出せそうな雰囲気がプンプン匂います。
    下積みの長い魁。
    足踏みは有っても基本的にストレートの若三勝。
    好対照でいいですね。

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