勝って驕らず、負けて腐らず。綱取り失敗した稀勢の里の気持ちを一番理解しているのが、城彰二である理由とは?

稀勢の里の優勝の目が完全に消えた。
序盤で3敗してしまっているようでは、
これから横綱に昇進したとしても彼に対する風当たりは
極めて強いものになるだろう。
そういう意味では再挑戦するときには
今回のように序盤で脱落とならないように、
心身ともに万全の準備をする必要がある。
相撲ファンとしては、今場所の最大の見所が
稀勢の里の綱取りだっただけに、
期待に応えられなかったことに対する落胆は大きい。
期待していただけにその裏返しとしての批判をする者。
傷つくことを恐れてそもそも期待していなかった、
というスタンスを取る者。
そして、何度裏切られても追い掛ける覚悟をしている者。
それぞれである。
ファンとしてのスタンスの在り方の話は先日したばかりなので、
今回はその話題は避けておくが、実は私が気になっているのは
負けた後の彼の取り組みなのである。
それは一体何故か。


よく言われることではあるが、
「勝って驕らず、負けて腐らず」
という言葉が有る。
私がこの言葉を聞く時はたいていの場合が
「勝って兜の緒を締めよ」的な意味の言い換え語なのだが、
今回クローズアップしたいのは「負けて腐らず」の方である。
稀勢の里は今回、綱取りに挑んだ。
だが、考えて欲しいのは綱取りに挑んだこと自体が
選ばれた力士にしか出来ないことだということである。
見るものを落胆させるというのは、そもそも
期待させるほどの潜在能力と実績があるから。
そして彼は選ばれた人間にしか体験できない
プレッシャーを経験した。
その期待というのは、恐らく大相撲始まって以来の
大きなものだといえるだろう。
何故なら、彼は相撲至上初めて伝説的な外国人横綱に挑む
日本人大関という図式で、最後の切り札として
綱取りに挑んだからである。
これほど大きな期待を日本中から等しく受けた存在は、
私はあと、サッカー日本代表くらいしか知らない。
そして恐らく、今の稀勢の里の気持ちが分かるのは、
城彰二ではないだろうか。
城彰二は、フランスワールドカップでFWとして挑みながら、
チャンスを悉く潰し、3戦全敗の一因となった。
帰りの空港で、彼は水を掛けられた。
有名な話だがその時カズは城に
「それはお前がエースだと日本中から認められた、ってことなんだ」
と伝えたという。
選ばれた人間にしか味わうことの出来ない重圧。
そのときの失敗を取り返すことが出来るのは、
他ならぬ失敗した本人だけなのである。
だからこそ、今場所はその後の相撲が重要になる。
稀勢の里は、選ばれし力士なのだ。
下を向いている時間など、一刻も無いのである。
そう。
この失敗を「いい経験だった」と振り返れるのは、
失敗を糧に成功した時だけなのだ。
頑張れ、稀勢の里。
私は明日、彼が如何なる相撲を取ろうとも、
その姿をマス席Dで目に焼き付けようと思う。

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