「DOCUMENTARY of 吐合 幕下力士たちは傷つきながら、夢を見る」。中編
最近ブログトピックとして出していなかった、
幕下力士:吐合(はきあい)。
元学生横綱で鳴り物入りで角界入りするも、
大怪我を負い、付け出しデビュー力士としては初の
番付外に落ちた。
デビューから8年。
ようやく掴んだ十両昇進のチャンス。
6連勝で迎えた、この一番を勝てばという取組。
彼は大激戦の末に、里山に敗れた。
努力をしている者が必ずしも報われる世界ではない。
だが、その中で傷を負いながらも、幕下力士は
一人前の力士になるために常に前を見ている。
私はそういう幕下力士のストイックな生き様に心打たれて、
今こうしてそのマインドを伝えるためにブログを続けている。
吐合は、恩人なのである。
そして私は先場所、吐合の勝ち越しが掛かった相撲を
国技館で観戦し、勝利した後で居ても立っても居られず、
遂に出待ちを試みたのだった…
出待ち。
国技館の出待ち。
力士が出てくるところを捕まえて、声を掛けるために
出口付近で待つ。
何となく1階まで降りてきたはいいが、
困ったことに私は力士がどこから出るかが分からない。
1階の通路でとりあえずウロウロしてみる。
だが、解決には繋がらない。
国技館の例の形に沿ってとりあえず歩いてみる。
トロフィー。
売店。
売店。
売店。
そして、トロフィー。
…おや?
一周してるじゃないか!
それらしい手掛かりは見つからない。
どうすればいいのか。
何気なく外に目をやる。
すると、外の通路に結構な人が。
出待ちだ。
彼らは誰かを待っているらしい。
ワイワイ言いながら、通路にチラチラ目をやり、
お目当ての力士が来るのを今か今かと待っている。
ここか!
これだけ人が居るということは、
間違いなく力士を待つのはここでいいはずだ。
スーツ姿の私は、警備会社か何かのスカウトマンのようである。
ラフな格好の方たちに混じってスーツ姿の男が
ちょっとした狂気に駆られて力士を待つ様子は
さぞかし浮いていたことだろう。
と、程無く。
人々が色めき立つ。
勢だ!
近くで観るとデカイ。
テレビで見てもデカイのに、凄い身体だ。
しかしこちらとて、大露羅とは面識が有る。
身体が多少大きくても、そこまでは面食らわない。
というよりは、テレビで見ていた力士が、
普通の人が使う通路から会場入りする光景に
面食らってしまったのである。
テンションの上がる私。
しかし、一つの事実に気付いた。
この人達は、会場入りする力士を待っているのだ。
確かに考えてみると、幕下力士を待つ人というのは
少数派だろう。
ましてや、同時刻には幕内力士が入ってくるのだ。
幕内力士ではなく幕下力士に重点を置くのは、
私のような酔狂な人間に限られてくる筈だ。
そうか。
ここは入口なのだ。
だとすれば、出待ちは完全に仕切り直しである。
何処に行けばいいのだろうか?
周りの人に聞こうにも、何から伝えればいいのか
分からないまま時は流れる。
仮に巡り合ったとしても、今の段階では
ありふれた言葉だけ浮かんでは消えていく。
幕下力士に会う目的のはずが、自らの行動が
「ラブストーリーは突然に」にオーバーラップする。
確かに私は幕下力士を愛している。
が、断じてホモではない。
と、そんなどうでもいいことを考えながら、
通路から再度建物に入った時のことである。
続く。
勢は、すっかり幕内に定着し、人気力士になりましたが、幕下の下積みが長かったですよね。
幕下下位の時には、20歳以上年上の琴冠佑に張り手を食らわせたことで、取組後に琴冠佑に暴行された事件がありましたね。
ところで、関取が近いようで遠い感のある千代丸、2〜3年前の勢とダブるのは私だけでしょうか?
おっと、この投稿の主人公はあくまで吐合だった…
吐合がこのブログの存在を知ったら、きっと喜んでくれるんじゃないでしょうか。