2年で変わる、勢力図。十両以上の力士は果たしてどれだけ入れ替わったのだろうか?
九州場所の番付をふと眺める。
特に私にとって一番目に留まるポイントは
幕下上位と十両下位である。
肥後ノ城の十両昇進に目を細めながらも
幕下に目をやると、贔屓にしてきた北磻磨や
隆の山の名前が居心地悪そうにしている。
彼らは決して今までと比べて、相撲の内容が悪くなったわけではない。
彼らだけではない。
かつては十両を務めた佐田の海も、荒鷲も、鬼嵐も、磋牙司も、千昇も。
質がそれほど変わったわけではないのだが、
幕下上位を務める場所が多くなっている。
そして十両、前頭に目をやる。
私の中でひとつ気になることが出てきた。
あれ?
十両以上の力士が、皆強くなっているのでは?
今場所の十両以上はどの名前を見ても、実力者。
定着している力士も、昇進してきた力士も。
レベルが上がっているからこそ、相対的なランキングとしての
順位が低下してしまった。だからこそ
以前は十両に居られたのに、今は幕下から昇進できない。
考えてみると、様々な問題で力士が大量に引退したことから、
下位の力士にとっては数年前は千載一遇のチャンスでもあった。
勿論、レベルが低いと言いたいわけではない。
それもまた、歴史なのだ。
チャンスが今の力士を作った側面も大いに有り、
今の土俵の充実を産んでいる。
先日、私は2年間で力士の状況は劇的に変化する、という話をした。
2年というのは、一つの時代が醸成されるサイクルなのである。
把瑠都が頂点を極めかけて、故障して、そして引退した。
その間に、番付は一体どのような変化をしたのか?
◆図1:2年前の関取のうち、ここ2年で引退した力士
把瑠都
雅山
黒海
剣武
武州山
高見盛
栃乃洋
益荒海
北勝国
城ノ龍
※阿覧は番付上九州場所は残っているので、
この対象とはしていない。
衰えに抗うも全盛期の姿が見る影もなくなってしまった
力士も居れば、突然の決断だった力士も居る。
それにしても10人も引退していたのか、と驚かされる。
◆図2:2年前の関取のうち、現在幕下以下で現役を続ける力士
土佐豊
磋牙司
隆の山
鳰の湖
寶智山
皇風
阿夢露
北磻磨
怪我に苦しみ、当時の実力を発揮できない力士も居れば
前述のようにパフォーマンスの問題ではなく
競争の激化に飲み込まれている力士も居る。
ここで驚くべきは、この2年で何と、18人もの力士が
関取ではなくなっているという事実である。
全関取のおよそ25%が入れ替わっているのだ。
想像以上に、顔ぶれが変わっている。
◆図3:この2年で十両以上に昇進・復帰した力士
遠藤
常幸龍
大砂嵐
鏡桜
千代鳳
照ノ富士
貴ノ岩
東龍
里山
蒼国来
明瀬山
千代皇
大喜鵬
青狼
千代丸
肥後ノ城
琴弥山
丹蔵
感覚値として実力ある力士が上がって来たと感じていたが、
それを立証する結果となった。
ある程度十両以上に定着している力士が多く、
1場所だけの確変というような存在は無い。
この中に入ると、丹蔵のようなの怪我と闘う力士は
相当厳しいことを再認識させられる。
やはりこの2年間の競争は、相当苛烈なものだった。
加えて、実業団チャンピオンのイチンノロブも、
学生相撲勢も、高校相撲勢も、殴り込みを掛けてくる。
時代は移ろい、新しいスターが生まれる。
それが一体誰なのか。
そして幕下上位には、これまで十両で取っていた実力者が
零れ落ちてくる。
争いが激化するから、相撲は面白い。
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