改めて検証する、白鵬の凄さ。強大なライバル、鋼の肉体、そして突出した持続力、とは?
九州場所が始まる。
見どころは?といろんな方から聞かれるが、
大砂嵐の新入幕や手負いの遠藤、真の試練に向き合う豪栄道に
安定勢力となった稀勢の里の更なる飛躍など、
力士の数だけポイントは有る。
だが、まことに残念ながらその争点として
優勝争いという言葉は間違っても出てこない。
日本に居た時のイチローの首位打者、
羽生善治のタイトル防衛、
白鵬の突出度はそんな次元なのである。
これだけ差のある力士が君臨していれば
どこか冷めた感じになるのは否めない。
強い力士が観たいと思いながらも、
強すぎるというのは残念ながら退屈なことでもある。
だが、我々は忘れてはいけない。
この稀代の横綱をリアルタイムで観られることを。
そこで私は改めて、白鵬の凄さを数字で追ってみようと思う。
白鵬はいったい何が突出しているのか。
まずは、ライバルの存在である。
突出した成績を残すということは、
ライバルが居ないことを意味することも有る。
では、歴代の力士だとどうだろうか?
在籍期間で最も多くの優勝を許した力士を並べてみた。
◆図1:横綱在位期間で最も多くの優勝を許した力士
大鵬 柏戸(4回)
北の湖 輪島(8回)
千代の富士 北勝海(8回)
貴乃花 曙(4回)
朝青龍 白鵬(12回)
白鵬 朝青龍(5回)、日馬富士(5回)
白鵬の実力を過小評価する人が居るが、
最初の数年は朝青龍が居たことをまずは忘れてはいけない。
朝青龍も平成の大横綱と称されたことも有る、
優勝回数歴代4位の傑出した存在である。
そして、白鵬のお蔭で全くの過小評価を受けているのが
日馬富士である。
彼は白鵬が横綱に居ながら既に5回の優勝を経験している。
これは、他のライバル横綱と比較しても
全く遜色のない数字である。
つまり、白鵬はレベルが低いライバルを蹴散らしているだけの存在ではないのだ。
白鵬の何が凄いか。
次に、彼の鋼の肉体を検証する。
◆図2:横綱在位場所と、休場場所数
在位場所数 休場回数
大鵬 58 11
北の湖 63 11
千代の富士 59 12
貴乃花 49 17
朝青龍 42 7
白鵬 38 0
休場場所というのは、引退間際に急増するため
現役の白鵬の休場が少ないことは特別なことではない。
だが、これが休場場所0回だとすればどうだろうか。
横綱在位も遂に7年目を迎えた。
朝青龍が引退したのは横綱在位満7年、貴乃花は約8年。
北の湖は10年。
驚くべきことに白鵬はもう、歴史的にも
長期政権を築いた横綱なのである。
そして、その期間に大きな怪我を経験していないので
衰えることも無い。
むしろ、ライバル達が怪我が原因で
パフォーマンスを落としている始末だ。
健康でいること自体、才能なのである。
そして最後に、その安定感である。
優勝回数は既に歴代3位の27回。
これはあまりに語られ過ぎている。
安定感を考えた時に、優勝した時とそうでない時の
ブレが少ないということが一つの条件となる。
では、優勝力士に次ぐ成績を準優勝として定義し、
この総合回数で比較してみようと思う。
◆図3:横綱在位時の優勝+準優勝回数
優勝 準優勝 優勝+準優勝
大鵬 29 8 37
北の湖 22 15 37
千代の富士 29 9 38
貴乃花 15 12 27
朝青龍 23 6 29
白鵬 24 12 36
これは、凄い結果である。
優勝せずとも、そこで全く崩れずに
他の力士の壁として君臨する。
これぞ、横綱の姿なのである。
もう既に、この回数1位の千代の富士にあと2回に迫っており、
優勝+準優勝ランクで歴代一位となる日は刻一刻と迫っている。
3つの指標を見ただけで、既におなか一杯である。
もう、ほかの力士をだらしないというのは止めよう。
単に白鵬が凄すぎるのだ。
もう、それでいいではないか。
だからといって負けることを許すわけではない。
この稀代の大横綱が居るからこそ、
高められるという考え方も有る。
さぁ、九州場所は白鵬を楽しもう。
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おっしゃるとおりです。
その後伝説となる稀代の大横綱をこの目でじっくりリアルタイムで
見れる幸せ・・・ですね。
記録では、優勝回数や連勝記録ばかりが取り上げられますが、
ずっと休場することなく、勝率を9割近く(先場所終了時点で.897)キープしていることが凄い。
(横綱在位の勝率で7割にも満たない横綱も何人もいる中で)
休まない、出場するならまず13勝はする、これを6年続けてるだけでも凄いことです。
体が柔らかく、技のセンスも抜群位に優れているから、長年対戦する力士は「どうせ勝てないだろう」と潜在的に感じられてしまうことは否定できないと思います。
器具を使って体を鍛えていたって、足腰の良い、柔軟な体の方が、優れた武器になることを何より実証しているようですね。
そして土俵外では社会奉仕活動や普及活動にも精を出してます。
そして日本人の誰よりも相撲を愛し、過去の大横綱に対しても敬意を払ってる姿をみるともっと尊敬されていい筈です。
残念なのはそんな大横綱を外国人扱いして、白鵬の大記録を過小評価する人達が少ないくないことです。
もっともっとこの大横綱・白鵬を知ってもらいたいです。
仰る通りだと思います。
他が不甲斐ないからだ、という論調だけで白鵬の成績を語るのは無理があるでしょう。
競技人口の低下がどうのという声は最もで、確かにそういった相撲界全体の衰退が力士のレベルを下げているという面がないわけではないでしょうが、それを考慮に入れても白鵬は突出した存在です。
白鵬が突出しているからこそ、周りがより見劣りするという図式の方がしっくりきます。
私自身の心情としては、幼少の頃のヒーローであり、実際全盛期の相撲は今振り返っても感嘆する貴乃花に勝る横綱はいません。
しかし、白鵬は成績を見ればその貴乃花でさえ霞させ、不調に喘いだ貴乃花がついぞ至ることのなかった“円熟”を見事に体現しています。
綱取りを騒がれている稀勢の里は優勝経験がないのが不思議なほどの強豪大関ですが、取りこぼしが多かったという本人のこれまでの要素を抜きにしてもおかしいのは白鵬がいたからでしょう。
強い横綱がただ休場しないという事がこれ程恐ろしい事だとは思いませんでした。
周囲にとっての壁という要素が求められるのが横綱だとしたら、白鵬は大鵬や北の湖以上の壁だと思います。
白鵬に傷がないわけではありませんが、それは歴代の横綱も粗さがしをしたのなら同じ様に傷が見つかると思います。
ただ、一つだけ白鵬に求めるのなら、利己的な相撲は無くして横綱相撲に徹して欲しいです。
今でも横綱相撲ですが、時折見せる張り差しや変化、とったりであしらうのは止め、あれだけ強いのですから多少のリスクは無視しても受けきって貰いたい物です。