「稀勢の里が好き」と公言する日馬富士。彼らの対決が非常に噛み合うのには、理由が有る。

「なんで俺こんなに稀勢の里のことが好きなのかな。ゲイかな…。
 お互い隠すことなく力と力、心と心を出すことができる」
「一人のファンとして応援している。
 あいつ(稀勢の里)の相撲を見るとドキドキする」
何やら穏やかでない言葉が並ぶが、これは決して捏造ではない。
ご存知の方も多いかもしれないが、正真正銘日馬富士のコメントである。
何故かどちらもスポーツニッポンによる記事なので、
記者との信頼関係がこのような言葉を引き出すのかもしれない。
あの松井秀喜も、東スポだけが書ける
「夜の松井秀喜」という姿が有るのだが、この関係性は実によく似ている。
閑話休題。
こうしたコメントが出るということは、
日馬富士は好調ということである。
さすがに不調の時にこんなことを言ったのでは、
横綱審議委員会から何を言われるか分かったものではない。
本来日馬富士というのは、こうした奔放な力士である。
だが、最近の不調はこうした姿を失わせてしまった。
言動だけでなく、相撲そのものもよそゆきのそれであった。
だが、先日の記事にも記したように、日馬富士は
安馬の相撲に回帰した。
勢いがついた時の日馬富士程手の付けられないものは無い。
そこには理由が有る。


彼の相撲は、相手が全く関係ないからだ。
速さで圧倒する相撲というのは、相手の出方ではなく
あくまでも自分の相撲を貫くことがポイントとなる。
立ち合いの変化やコンディション不調を気にすると、
相手に付け入るスキを与えてしまう。
そうなると相手の動向を考えなくてはならないために
立ち合いで迷いも出るし、本来の速さが失われてしまう。
このスタイルだと、悪いなりに成績を残すことは難しい。
歴代の名力士でも、この傾向からは逃れられない。
例えば、千代大海。
例えば、北勝海。
彼らは優秀な力士だが、ひとたび調子を崩すと
最後まで苦しむ結果になる。
だが今場所の日馬富士は12連勝と、もはや手の付けられない状態である。
そして、明日は「あいつ」こと稀勢の里との対決が待っている。
この対戦が本人も心待ちにしているように、非常に噛み合う。
何故なら、互いに逃げないからだ。
稀勢の里の側からすると、彼が今一番恐れているのは
ミスをして敗れることである。
前に出た結果引きに屈したり、
立ち合いの変化に対応できなかったり、
そういう形が彼にとっての負けパターンだと認識しているせいか、
優勝争いをするようになってからというもの、
稀勢の里は自分よりも下の番付の力士に対しては
基本的に受ける姿勢を取るようになった。
後の先をまだ体得できていない稀勢の里は、
確かにミスは少ないかもしれないが、逆に攻め込まれて
土俵を割るというのが最近の負けパターンに成りつつある。
琴奨菊や千代大龍が苦手というのは、こうした理由なのだ。
稀勢の里は、日馬富士と白鵬と対戦する時だけは
気兼ねなく、ワガママな相撲を取る。
これが、何よりも魅力的なのである。
フルパワーの日馬富士。
そして、稀勢の里。
だから、観ていてもこの一番は面白い。
2敗の稀勢の里との対決が、今場所の優勝争いを大きく左右する。
明日は、優勝を占ううえでの第一ラウンドだ。
その時間は仕事の私は、どうやって見ようか、思案中である。
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