大関として前人未到の境地に達した稀勢の里。今場所達成した大関史上初の2記録を、歴代横綱と比較する。
稀勢の里が、13勝2敗で九州場所を終えた。
ここ数場所は高いレベルで安定している稀勢の里。
厳しいことは言われているが、実は誰よりも
職責を果たしているのが稀勢の里なのだ。
高いレベルでの安定感と、
優勝争いを毎場所演じること。
この二つこそが、最近の稀勢の里の果たした
大関として誇れる実績である。
もしやと思って、裏付けとなるデータを探してみたところ、
この視点のデータに於いて彼は大関が最高位の力士として
史上最高の記録を更新していた。
4場所連続準優勝以上と、
10場所連続二桁勝利。
連続準優勝記録の時点は、3場所の魁皇。
そして連続二桁勝利は、8場所の琴風。
このことからも分かるように、稀勢の里は既に
歴代大関の中でも傑出した存在なのである。
これは確かに凄いことである。
だが、そんなことは誰もが分かっている。
そして、そのような評価をしたところで
誰も彼に対するハードルを下げようとはしないだろう。
そう。
稀勢の里にとって、常に比較の対象は横綱なのだ。
そこで私は、この記録を歴代横綱に当てはめて
検証してみた。
◆表:過去の横綱と稀勢の里の、
連続準優勝場所数と連続二桁勝利数
A:連続準優勝以上
B:連続二桁勝利
※単位は場所数とする。
A B
稀勢里 4 10
日富士 3 4
琴 桜 2 2
三重海 5 9
旭富士 5 14
双羽黒 2 7
玉の海 7 7
若花3 3 7
隆の里 6 13
栃ノ海 1 6
佐田山 7 8
大乃国 3 5
北富士 6 11
武蔵丸 4 10
若花2 3 23
北勝海 3 11
白 鵬 27 41
朝青龍 7 9
輪 島 7 15
曙 5 10
貴乃花 13 13
大 鵬 8 25
千富士 6 9
北の湖 12 37
この表から分かるのは、
稀勢の里が得意なフィールドである
最低限の安定感の維持と、
高いレベルでの安定感の維持ということに関しては、
歴代横綱と比較しても遜色が無いということである。
ちなみに今回の図だが、横綱在位場所数の順に並べている。
下に行けば行くほど秀でた成績を残しているかというと
割とそうでもない。
旭富士や隆の里に関して、安定感という尺度で
見たことは無かったが、実は彼らにはこうした長所が有り、
それが発見できたことも大きな収穫だった。
だが、稀勢の里は得意フィールドでは歴代横綱とも
闘える存在であることが分かった反面で、
彼にとって絶望的な事実が、再度明らかになった。
もうお分かりだろう。
白鵬の傑出度である。
稀勢の里の強みは、白鵬の強みでもある。
しかも、そのレベルが尋常ではない。
白鵬は、いつだって成績を落とさない。
そして、休場もしない。
ということは、白鵬を相手に優勝するしかないのだ。
千代の富士も、朝青龍も、この成績を確認してみると
定期的に休場している。
故に、彼らがコンディションを崩した場所では
誰か別の力士が優勝し、相応のポジションに昇進する。
だが白鵬が居ると、このチャンスが喪失される。
稀勢の里にとっての不幸は、常に白鵬と向き合うこと。
これに尽きるのである。
とはいえ、この厳しすぎる状況こそが
稀勢の里を常に磨き、この史上最強とも目される横綱とも
対等に闘える次元にまで引き揚げてきた。
だからこそ、相手の休場や不調を望まずに
初場所は正面から突破し、横綱の地位を鷲掴みにしてほしい。
そういうことが出来るだけの力士であることは、
数字が立証しているのだから。
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興味深い記録ですね!今の大相撲界で、稀勢の里関が白鵬に次ぐ実力者ということがよく分かります。是非、横綱に昇進してもらいたいと思っています。が、私はこの数字ほど稀勢の里関に安定感を感じていません。横綱に昇進しても短命に終わらないようにもっと下位の力士に圧倒的な強さを見せつけて欲しい。今の、強い力士が白鵬一人だけの状態なら、どうしても、二桁は勝てて当然ではないかと思ってしまいます。いい時代に相撲取ってるな~と思います。安定感を過去の横綱と比較することはナンセンスでしょう。周りのレベルが今と全く違っています。昔は力が均衡した強者が横綱の周りにごろごろいました。上手を取れば横綱に勝ってしまうの大関や関脇がいたものですが、今は上手を取っても上手を持ったまま負けますね。
本当に興味深い面白い集計ですね
白鵬の傑出度と稀勢の里の高い実力がよく分かります。ただ白鵬がいて、稀勢の里レベルが一度も優勝できない中で6度優勝している日馬富士はやはり横綱にふさわしいんだなとも感じました
個人的に今の鶴竜の心境が気になります!
琴奨菊の回復が間に合わなければ2大関になるし、稀勢の里が横綱で1大関になるにしても、大関陣がふがいないという言葉は死語になりそうです
ここで鶴竜が奮起して優勝争いに絡みだせば最高に面白くなりそうです
いい集計ですねー、歴代横綱の見えないものが見えて来た。凄いです。
稀勢の里が大関としては凄いことはわかりました、最強大関。
でも、横綱に適しているかどうかを見るデータとしては不適切だと思いました。
数字を見れば、横綱は安定的である必要はなく、2場所連続して優勝するだけの圧倒的な強さと瞬発力が必要だ。という仮説が成り立つことを、更に証明するデータではないでしょうか?
白鵬がいるからなりにくいという理由も疑問です。
これまで14勝1敗を2場所したなら説得力がありますが、下位力士への取りこぼしが横綱になれない一番の理由では?
日馬富士も15×2だし。
2場所連続優勝は取りこぼしがあれば、白鵬云々を言う以前の問題で、横綱になれないと思います。
面白い記事ですが、下記のご指摘ですが、
休場した隙に「横綱」になった人は誰でしょうか?
いたとしても、何人もいるとも思えません。
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千代の富士も、朝青龍も、この成績を確認してみると
定期的に休場している。
故に、彼らがコンディションを崩した場所では
誰か別の力士が優勝し、相応のポジションに昇進する。
白鵬の凄さは十分伝わりますが、その白鵬がいる中で全勝優勝5回を記録している日馬富士も凄い存在だと思います。如何せん好不調の波があるためかすれて見えますが対戦成績でも白鵬と互角近く戦える数少ない力士です。その中に稀勢の里も昇りつめてきましたね。後は他の方がおっしゃるように、鶴竜が頑張ってくれると凄く面白い優勝争いになりそうです。稀勢の里には是非横綱に昇進して白馬稀時代を作ってもらいたいです
稀勢の里、双羽黒の頃の基準だったらもうとっくに横綱だったでしょうね…
彼の態度の悪さが一気に横綱昇進基準を上げたようなもんですが、
「横綱の成績としては合格点だが、横綱になる成績が上がらない」稀勢の里と
「横綱の成績としては問題だが、横綱になる成績は上げられる」日馬富士。
・・・どっちが横綱にふさわしいか、悩ましい所です。
そして一番の問題は稀勢の里、今頃横綱に上がってこれから横綱として活躍できるのか、というのが…
今がピークにしか思えません。