白鵬・日馬富士・鶴竜以降のモンゴル人力士は、三役に定着できていない?1999年以降の番付別外国人力士数を分析し、その品質を探る。
外国人力士が強いと言われて久しい。
白鵬、日馬富士、鶴竜。
確かに上位の力士は、外国人力士である。
彼らが非常に強いことは、間違いない。
今後も外国人力士の存在から日本人力士は
逃れられないだろう。
外国人力士が上位を占めるという番付に慣れ過ぎて、
国籍で相撲を語ること自体が野暮なことのように思えるが、
私は一つ、懸念していることが有る。
最近の外国人力士は、小粒になっていないだろうか?
朝青龍が横綱になり、琴欧洲と白鵬がそれに続いたあの頃、
我々は上位を外国人が占めるのではないかと思ったはずだ。
だが、当時番付を駆け上がった力士達が結局トップなのである。
欧州出身力士は、結局琴欧洲を超えるどころか
把瑠都なき今、三役にすら定着できずに居る。
それは、あのモンゴル人力士でさえも同じだ。
鶴竜の次のモンゴル人は、結局時天空だ。
もしかすると、モンゴルも、欧州も、
入門する力士の質が相対的に落ちているのかもしれない。
そこで私は、今回4年置きに地域別の
力士の人数を番付ごとにカウントしてみた。
すると、興味深いことが明らかになった。
◆図1:年代別地域ごとの番付分布
2013年九州
幕内 十両 幕下 以下 合計
モン 8 6 8 4 26
欧州 4 1 4 1 10
ほか 2 1 0 2 5
2009年九州
幕内 十両 幕下 以下 合計
モン 10 4 14 5 33
欧州 5 1 3 3 12
ほか 1 0 3 5 9
2005年九州
幕内 十両 幕下 以下 合計
モン 7 1 16 10 34
欧州 4 1 2 3 10
ほか 1 0 2 8 11
2001年九州
幕内 十両 幕下 以下 合計
モン 3 0 2 19 24
欧州 0 0 0 2 2
ほか 1 2 2 4 9
1999年九州
幕内 十両 幕下 以下 合計
モン 2 0 2 2 6
欧州 0 0 0 0 0
ほか 2 2 2 3 9
モン:モンゴル
ほか:モンゴル・欧州以外の力士
以下:三段目以下
1999年にはハワイ勢と少数のモンゴル人という状況だったが、
旭鷲山と朝青龍の活躍に触発されたモンゴル人が
多数来日したのが2001年ごろ。
そして、琴欧洲や黒海らが番付を駆け上がり、
質の高い欧州勢が驚異的なスピードで成長したのが
2005年ごろ。
外国人力士の人数には制限が有るので、
2005年を境に人数は一定なのだが、
ジャパニーズドリームを追って来日した力士の品質は
目立ったスターが現れた頃に非常に高い。
白鵬や日馬富士が入門したのは、朝青龍が
日の出の勢いで活躍していた頃で、
同じ時期に鶴竜もデビューしているのだ。
だが、この2009年を境に、全体的な人数もさることながら
番付ごとの地域別力士数も大きな変動は無い。
つまり、落ちた分だけしかその地位を補完できずに居るということである。
外国人枠が存在し、部屋としては何としてでも
この助っ人力士には活躍してほしい。
だからこそ、その品質にはこだわる。
それなのに、関取に成れる外国人力士の数は、
4年前とそう変わらない。
最近は、十両と幕下の当落線上の外国人力士の数が
非常に増えている。
先日話に出たことではあるが、相撲の相対的なレベルが
向上していることを意味しているのではないかと私は分析している。
鳰の湖や、北磻磨、磋牙司さえも
幕下に甘んじる時代である。
サバイバルゲームに巻き込まれるのは、外国人も例外ではない。
把瑠都と阿覧が土俵を去り、栃ノ心も初場所は十両から幕下に落ちる。
外国人力士にとっても2014年は大変厳しい時代なのである。
寂しいことでもあるが、これが2014年の相撲なのだ。
日本に夢を掴みに来て、厳しさに直面する、外国人力士。
そういう存在に思いを馳せるのも、2014年の楽しみなのかもしれない。
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私も同じことを考えていました。
栃東以来7~8年日本出身力士の優勝がないとはいえ、その間2大モンゴル横綱が50回前後優勝してるわけです。そういう意味でいえば「外国人がすごい」というよりは単に「朝青龍、白鵬がすごい」というのが真相で、白鵬が引退すれば現在のような外国人独占状態は解消されるのではないでしょうか?
そういう点で、白鵬につぐ「次の覇者」がそろそろ角界デビューしててもおかしくない頃だと思うのですが、それは誰なんでしょうね?