稀勢の里が結果を残した時、相撲人気は回復するのか?立ちはだかる「感動のタダ乗り」というトレンドを考える。
初場所は、見どころが多い。
遠藤の不振は、本当に怪我が原因だったのか?
琴欧洲は、大関に戻れるのだろうか?
日馬富士は好調なのか?それとも不調なのか?
白鵬はやはり白鵬なのか?
そして、稀勢の里の綱取りである。
とはいえ、今場所の興味の大半は稀勢の里ということになる。
だからこそ、彼が序盤をどう乗り切るかが
場所の盛り上がりを大きく左右することになる。
勿論良い結果を出してほしい。
これまでの苦労を見ているから、そして
一歩一歩着実に成長しているから、
その努力が実を結ぶところを、
人間としてさらに成長する姿を見てみたい。
今まで盛り上がりたかったけれども
期待しては裏切られてきたファン達は、
ここで結果を出せば恐らく戻ってくるはずだ。
そう。
稀勢の里が結果を出した時、
相撲人気が回復することは間違いないのである。
今の相撲界は、白鵬の圧倒的な強さが軸となり、
それを越えること、対立軸になることが求められている。
そして、それがいつまでも達成されないことに対して
閉塞感が漂っている。
今のところ、それが出来るのは稀勢の里ただ一人なのだ。
恐らく稀勢の里が結果を出せば、人は戻る。
だがそれは恐らく、稀勢の里に期待しながら
傷つくことを恐れてきたファンだけである。
それは何故か。
最近の事例を考えてほしい。
横浜マリノスは優勝が懸かったアルビレックス新潟の試合で
6万人もの動員を記録した。
が、普段の動員は3万人程度だ。
半沢直樹は、終盤で40%近い視聴率を記録した。
だが、第一回の放送では20%程度である。
プロ野球は地上波での放送が出来ないほど
視聴率が落ちているが、日本シリーズや
WBCとなると急激に盛り上がる。
これらの事例から読み取れること。
それは、最近のトレンドとして過程を含めて楽しむのではなく、
楽しいと分かっていることを楽しむ、ということである。
嫌な言い方をすると「感動のタダ乗り」と評するべきだろうか。
誰もが楽しいものに飢えている。
そして、すぐに楽しみたい。
Youtubeを見れば素晴らしく楽しいことは待っている。
こうしたものに慣れてしまえば、
プロセスでの中だるみに耐えられないことは責められない。
既に放送は終了してしまったが、「レッドカーペット」という
お笑い番組についても正にこの部分を計算しており、
ネタの時間を短くし、面白い部分を見せ続けるという見せ方をしていた。
だが、その「レッドカーペット」でさえ既に終了している。
恐らくこうした層については、稀勢の里が
横綱昇進を懸けた相撲を取るならば、食いついてくることだろう。
だが、勝って当然の序盤戦については、彼らは興味を示すことは無い。
楽しさの上限が手に入りやすい時代というのは
素晴らしいことではあるのだが、プロセスを含めて楽しむことを
経験していないのは不幸なことだと思う。
だから、最初は楽しさの上限から入ってもいい。
それを入り口として少しでも多くの人が相撲を楽しんでもらえれば
こんなに嬉しいことは無い。
幸いなことに、相撲というのは子供の頃に誰もが
一度は通ってきているフィールドである。
最近知り合った相撲ファンの方に多いのは、
絶えず見続けていたという訳ではなく、
子供の頃は好きだったが一度離れて
年を取ってからまた戻って来た、ということなのだ。
つまり、既にプロセスの見方をある程度は知っている、というわけだ。
これは、長い歴史を持っているからこその強みである。
タダ乗りではない楽しみ方。
ここにこそ、相撲の楽しみが有ると私は思う。
かく言う私もオリンピックでは感動のタダ乗りをしているので、
人のことは言えないのだが…
◇特報◇
先日、Search_net_boxさんとUstream配信しました。
その時の様子を録画しておりますので、ご覧下さい。
テーマは、「最強の大関は誰か?」
パワーポイント52枚の資料について論じています。
http://www.ustream.tv/recorded/41623628
◇特報2◇
「幕下相撲の知られざる世界」として、
年賀状を作成しました。
ご希望の方は、プロフィール欄のメールアドレスに
住所氏名をご送付ください。
◇特報3◇
相撲Wikiを作成しました。
相撲観戦の充実のためにも、是非書き足していただければ、
と思います。よろしくお願いいたします。
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◇特報4◇
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限定情報も配信しています。
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