琴奨菊・琴欧洲の取組に肝を冷やしながら、気付いたこと。満身創痍なのは、大多数の力士も同じである。

琴奨菊と琴欧洲の危機に、ハラハラしながらも
その状況をワイドショー的に観る日々が続いている。
30歳前後という年齢の彼らは長い現役生活の中で
勤続疲労が溜まり続けている。
先場所の休場というのはそれが集約された結果とも
言えるのかもしれない。
彼らの視点で相撲を観ていると、
今痛めているポイントを知っているので
そこに負担が掛からないか、
無事に一日を切り抜けられるかという視点でも
ついつい観てしまう。
大相撲は15日間の長丁場である。
1日の結果はもちろん重要だが、
15日をトータルで考えて高いパフォーマンスを
維持することも同じくらい重要なことである。
今の2人は一歩間違えると、この点を損ないかねない
状態にあることは誰もが知っている。
そのため、その日勝つか敗れるかということを考えつつも
怪我の状況も考えて、両立されることを期待する。
勝てるのか。
身体も大丈夫か。
心配されながら観られることは、
恐らく不本意なことだろう。
だが、これが現実なのだ。
しかしこの視点で観ている中で、最近気づいたことが有る。
そう。
相手の状態である。


琴欧洲を心配しながら観ていると、
対戦相手の碧山も、何か痛そうである。
そして、今日の安美錦に至っては
先日一緒に国技館で観戦した方の言葉を借りれば
「怪我のデパート」といった具合である。
佐渡ヶ嶽の両力士も満身創痍だったのだが、
実は他の力士も同じように傷ついている。
例えば鶴竜は先場所、場所前に稽古出来ないほど追い込まれていた。
昇進以来土俵を務め続けた日馬富士も、今場所は休場している。
そして、妙義龍は今日から休場することになった。
ここのところ、多くの力士が深手を負いながら
日々の取組をこなしている。
怪我の影響で、間違いなくパフォーマンスは低下する。
高いレベルで安定した成績はなかなか残せなくなる。
結局致命的な怪我を負っていないのは、
白鵬と稀勢の里だけ。
私は四半世紀相撲を観ているが、
このような時代を他に知らない。
安定して高い水準で成績を残せなければ、
大関昇進も横綱昇進も出来ない。
新星の大砂嵐も、遠藤さえも手負いの状態なので
のし上がるにはこの点を克服せねばならない。
これほど皆が疲弊してきている理由。
それは恐らく数年前のあの事件が関与していることだろう。
敢闘精神が評価され、日々の相撲が充実している。
以前のような「無気力相撲」という言葉は姿を消した。
観戦していて非常に楽しいのは間違いない。
その代償が皮肉にも怪我なのではないかと私は思う。
例の事件で、我々は操作された結果を排除することを望んだ。
結果に対して何かを感じながら、幸せな着地点に対して
ええじゃないかと目を瞑ることにノーを突き付けた。
その結果が、現在なのである。
決して私は、このような現状を否定したいのではない。
だが、今の相撲界は力士に多大な負荷を掛けている、
ということだけは認識していきたいと思うのだ。
そして、安定して高い水準で成績を残すことが
かつてよりも難易度が高いことだということもまた、
認識していきたいと思うのである。
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琴奨菊・琴欧洲の取組に肝を冷やしながら、気付いたこと。満身創痍なのは、大多数の力士も同じである。” に対して4件のコメントがあります。

  1. しんしん より:

    そんな時代に休場0で最強の横綱として君臨し続ける白鵬がいかに素晴らしいかを改めて感じますね。

  2. 阿夢露の怪我は悲しかった より:

    制限付きの公傷制度の導入を検討してほしいところ。
    診断書などは要らないかわり、何場所かに一回だけ休んでも
    番付上の不利を蒙らない。
    軽い怪我で公傷として休んでも構わないが、すぐ後に大怪我を
    すると公傷制度は使えないとなれば以前のような安易な
    利用は難しくなると思う。
    こうすれば力士はある程度以上の怪我に対する時間を得られ、
    協会は有望株や看板力士に無理をさせる必要もなくなり、
    我々ファンは力士の痛々しい姿を心配する頻度を減らせる。
    利用可能頻度としては、まったくの私見だが一年半に一回
    あたりがいいと思う。
    力士は超人であると同時に生身の人間なのだ。

  3. けいた より:

    「公傷制度」復活できないものでしょうか。
    現状の力士たちの状態も心配ですが、引退後の生活に支障が出てしまう力士が出てしまわないか心配です。

  4. 清国好き より:

    公傷という制度の曖昧さに問題があるのではないか。
    もともとの古傷を取り組み中に悪化させたら公傷になるのか。
    取り組み中の大怪我をおして出場したら悪化したのに受傷時点でないから公傷適応できないのか。
    前者なら何で?と首をひねるような怪我でも公傷になっていたし、後者なら土俵寿命にかかわる怪我でも公傷にならなかった。
    何が公傷で何が公傷でないか曖昧さを残すくらいなら、勤続10場所で理由を問わずに地位を保全して休場できるようにしたほうがいい。
    それなら今場所の豊真将や十両時の把瑠都のような場所中の急病にも利用できる。
    10場所毎に1場所休むのではなく60場所勤めた力士が6場所地位保全して休めるようにしたら年寄株が入手できずに廃業なんてことも減るかもしれない。
    怪我の理由や程度に不透明さを残すくらいなら、勤続場所数に応じて誰でも理由を問わずに休めるほうがいいと思う。
    勤続場所数で好きに休めると言われても将来の大きな怪我や病気に備えて安易な利用はないだろう。
    体調がよければ休んだほうが相撲勘も鈍るし。

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