巨漢力士なのに「伝わる」、稀有な力士。千代鳳の魅力について考える。

初日は仕事が21時までだったことから、
幕下からの取組を録画映像でチェックした。
慣れないブルーレイレコーダーの操作に悪戦苦闘しながら
1時間半を掛けて粗方目を通す。
相撲の有る2週間は至福の時だと改めて感じながら
今日一番の相撲が何だったのか自問自答してみた。
勿論鶴竜と遠藤の対戦も、
里山が切れ味を見せつけた一番も、
照ノ富士が底知れぬ潜在能力を誇示した一番も印象的だ。
だが私の一番は、千代鳳だった。
横綱大関が相手でも、十分に脅威たり得た
碧山の突き押しを受けて受けて受け切り、
勝利を手繰り寄せた相撲。
幕内中位~下位で一進一退を繰り返していた力士が
更に上の実力者を相手に一歩も引かずに勝利したことに
成長を感じたことや、
若手力士が壁を越えつつあることに
明るい未来を見出したことも勿論大きい。
相撲の主語が稀勢の里から遠藤に代わり、
期待に違わぬ内容を見せることに対して喜びを覚えると同時に
高まり過ぎる期待に危惧を覚える私。
千代鳳は期待を寄せながらも一進一退ぶりを観ながら
何を彼に求めるべきか図りかねていた。
今日の一番は、千代鳳の可能性が見えたことも
非常に大きなことであったのだが、
私は千代鳳に対して一つの発見をした。
そしてそれは、本来有り得ないことだった。
それは何か。


そう。
千代鳳は、巨漢力士でありながら伝わる相撲を取るのだ。
伝わる相撲というのは、一番わかりやすいところで言うと
小さな力士が大きな力士に立ち向かう。
そういう構図の時に発生しやすい。
持たざる者が持つ者に挑み、自らの武器を最大限に活かしたり
気持ちの強さを見せることによって勝利を掴む。
もしくは、可能性を見せつける。
我々は圧倒的な勝利や、持つ者が能力を発揮することに対して
感情移入が出来ない。
何故なら我々は一般人であり、持たざる者そのものだからだ。
持たざる我々は、スポーツの世界に於いても
持たざる者の視点で観てしまう傾向に有る。
持つ者に対しては羨望や憧憬という眼差しで観ることは有っても
「伝わる」という観点になることはない。
千代鳳の面白いところは、巨漢力士だが
そのアドバンテージで圧倒するのではなく
努力の積み重ねや気持ちの強さで勝利を手繰り寄せるところである。
例えば今日は、碧山の突き押しを受け切った。
巨漢力士であれば本来なら碧山を吹き飛ばすという
スタイルに行くものだが、彼の場合はそうではない。
千代鳳は、恵まれた体格だから強いのではない。
先天的に優れていることに胡坐をかいているわけではない。
どちらかと言えば、千代鳳自身が後天的に身に付けたこと。
そしてそれは、妥協無き精神によって形成されたものだということ。
勿論力士の誰もがこうしたメンタリティを
持ちながら生きていることは知っている。
だがそれが伝わるか、想いを馳せられるかは別の話である。
ただでさえ巨漢力士は判官贔屓の対立軸にされやすく、
マイナス面を見せると批判されやすい立場である。
身体が大きい癖に。
全然努力が見えない。
頭が悪い。
こんな言葉を浴びせたことは無いだろうか?
恥ずかしながら、私は有る。
こうした目で見られやすいのが、巨漢力士なのだ。
だが、千代鳳はそれとは無縁だ。
本人の生まれ持っての資質も有るのだろうが、
真摯で誠実な人柄が土俵の上から伝わるのは、偶然ではない。
土俵を下りれば、普通の青年。
二十歳を超えても千代丸を兄ちゃんと呼ぶ、萌えの権化。
千代鳳の伝わる魅力を、あと14日堪能しようと思う。
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