相撲人気が、地域を動かす。地方巡業の注目度が増す中で、災害に遭った丹波が巡業を強行する様を見届けてみた。前編。

相撲人気の回復で、様々なところに異変が生じている。
例えば、ニュース報道の増加。
例えば、力士を採用したCMの増加。
本場所以外でも力士や相撲に触れる機会が増えており、
ひとつのブームと言っていいところまで来ている。
場所後でも逸ノ城の話題が絶えないのは、
それをよくあらわす現象といっていいだろう。
だが最近の話題の中で、明らかに注目度が増している事柄がある。
そう。
巡業である。
地方で巡業を行うと紙面に掲載されてきたのはこれまでと同じだが、
明らかに話題にしている方が増えている。
10月でこの傾向に有るのは、埼玉や横浜での興行が有り、
地方よりも相対的に足を運びやすい環境であったことも作用しているのだろう。
ご存知の通り、巡業というのは本場所とは趣が異なる。
フィギュアスケートで例えるならば、
本番の大会が本場所であり、
エキシビジョンに近い役割を担うのが巡業だ。
巡業は真剣勝負を楽しむというよりは相撲の文化としての側面に触れたり、
テレビで観ている力士たちがそこで相撲を取っていることを
目の当たりに出来ることにこそ意味が有る。
故に古くからこの形態は「花相撲」と評されている。
そして、この「花相撲」という言葉自体が
真剣勝負と一線を画した興行であることを示すまでに至っている。
本場所での需要が高まっていることは、土俵の充実を思えば理解出来る。
だが、花相撲たる巡業にまで注目度が増しているというのは凄いことだ。
何故ならば、観客の誰もがそこで行われているのが
花相撲であると認識していながら、この注目度だからである。
真剣勝負の本場所で相撲を知り、もしくは相撲の面白さを知り、
エキシビジョンとしての楽しみを知りたいという需要にまで
今の相撲ブームは波及している。
もう本場所だけでは飽き足らない層が、数多く存在している。
これはもう、その現場に足を運ぶしかない。
花相撲の現場に何が起きているのか。
注目が増し、観客の熱が花相撲に波及している現場を観ておきたい。
そんなことを考えていた矢先、偶然にも私は
丹波の友人から巡業に来るようにと誘いを受けた。
聞けば丹波では元々巡業を行う予定だったのだが、
先の大雨の影響で大きな打撃を受け、
開催の危機に瀕したのだという。
中止ということも選択肢として有ったと思う。
特に、この興行は月曜日であり、社会人であればなかなか足を運びにくい
スケジュールだったからである。
興行的な部分を考慮しても、その決断は致し方ないところだろう。
だが、丹波巡業は開催されることになった。
そこには、単なる相撲ブームに乗じての開催ではない
何かが有るのだろう。
難しい状況でありながらも相撲を見せたい熱意が有るのだろう。
それは本場所とはまた異なる、興行主や地域が下した決断だ。
相撲熱は、こういうところにまで波及している。
単なるブームでは引き下がれないところにまで来ているのだと私は実感した。
結局この英断(と言って良いと思う)に至った経緯は分からない。
だが、様々な苦悩や困難を経ての開催ということにこそ、
この丹波場所の重みが有ると私は考えた。
巡業にまで波及した相撲人気を、見届けよう。
そして相撲の力が、地域を動かす様を観よう。
10月20日、すなわち明日の丹波巡業を観るために
私は今、梅田に来ている。
続く。
◇お知らせ◇
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