世間よ、相撲を舐めるな。世に蔓延る「相撲好きに対する半笑い問題」の根深さを考える。
この1年で大相撲の人気回復を通り越して、
新たな相撲ブームの到来ということが叫ばれている。
年末年始の力士達のメディア露出は目を見張るものが有ったし、
相撲関連の書籍の発刊ラッシュは、遂にチェックが
追いつかない次元まで達しつつある。
国技館が連日満員というのはもはや言うに及ばず、
という具合である。
どん底の頃にブログを始め、幸運にもその変化を
リアルタイムで追い掛けた身としては、
これほど嬉しいことは無いわけだが、
一つ非常に気掛かりなことが有る。
そう。
「相撲好きに対する半笑い問題」である。
相撲が好きであるということは、これだけ隆盛を誇りながらも
まだまだ少数派であるらしく、世間が相撲を舐めている感覚を
覚えることはしばしばである。
例えば、相撲好きであることを知人に対して説明した時の反応は
「野球が好き」とか「サッカーが好き」といった時のそれとは
明らかに異なるものが返ってくる時が多い。
つまり、鉄道ファンとかアニメファンなどと同列の、
「変わった趣味の人」という扱いを受けることが多いわけだ。
恐らく鉄道ファンもアニメファンもそうした言わば、
「理解する気の無いスタンス」で接してくることに対して
憤りを覚えていると思う。
チョンマゲに締め込み。
ほぼ裸。
デブを通り越した肥満体。
こうしたイメージで相撲を捉えている人は、
喉を締めたような声で「ごっつぁんです!」を連呼したりする。
待て待て。
そんな話し方の力士は居ないのだ。
声が潰れた力士など、現役には存在しない。
ちなみにその話し方の元ネタは高見山なのだという、
全く使えない突っ込みをぐっとこらえて
ステレオタイプな力士のモノマネを見続ける私。
恐らくこのブログを読んでいる方も、
似たような経験をしたことが有るだろう。
このような様を目撃すると、率先して相撲が好きであることを
開示しづらくなる。
故に、周囲とこの楽しさを共有することを諦め、
自分だけの愉しみとして内向きになる傾向に有る。
私がこの数年で出会った相撲ファンの方は、
大抵が一匹狼だったことはその証左であろう。
先日ブログがきっかけで仲良くしている女性の方と話した時に、
相撲が好きであることを説明したらデブ専扱いされ、
「彦麻呂紹介しようか?」と言われたという
面白さと悲しさが入り混じったエピソードを聞いたのだが、
これは一匹狼にならざるを得ないと実感した次第である。
自分が楽しければいいのだが、でも伝わらないのは寂しいことだ。
半笑いには微笑みでかえすのが一番楽ではあるのだが、
一つの解決策として逆に彼らが全く分からないであろう
幕下の話をコッテリとするのが最近の私のトレンドである。
幕下には体脂肪率8%の力士も居れば、
腕立てはおろか腹筋が1度も出来ない力士も居る。
というが私がいつも導入で語ることだ。
つまり、エリマキトカゲになってしまうのである。
偏見は解消しないかもしれないが、
一つの面白話として相撲に接していれば、
ひょっとしたら見方が変わる日が来るかもしれないし、
単に別の世界の話としてその場が盛り上がるだけでもいい。
100人が100人楽しさを共有できる世界ではないと思うし、
ましてや男性に男としての芯の強さではなく
中性的な優しさを求めるのが今という時代なので
それは仕方ないことだと思う。
私が楽しいと信じて止まない大相撲について、
一かけらでも伝われば、こんなに嬉しいことは無い。
半笑いのままでも少しでもこういう話を知っていてくれたら
私の、そして大相撲の勝ちなのだ。
世間よ。相撲を舐めるな。
大相撲に対する見方が変わる、そんな2015年になることを祈る。
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