大砂嵐が教えてくれた、スペシャルリングサイドの興奮。素晴らしき枡席での観戦をお勧めする理由とは?

今日はこれから、枡席で12日目の取組を観戦する。
力士が目と鼻の先で、分不相応の席にお招きいただけることは恐縮する反面でとても光栄なことである。ブログがきっかけでこうしてお声を掛けていただけたのだから、ブログも続けてみるものだと思う。
さて、そんなわけで東京場所の度にここ1年こうした素晴らしい席で観られることから、最近よく聞かれるのが普通の枡席と至近距離での観戦の違いである。
一言で表すならば、「より伝わる」ということなのだと思う。
両国国技館は面白い構造で、イス席の最上段であっても土俵がどの角度からもキチンと観えるように設計されている。そのため、どの席で観戦したとしてもその魅力が伝わるように出来ている。これは現地で観戦された方なら誰もが納得することだと私は思う。
しかし、土俵に近づけば近づくほど、更に伝わりやすくなることも事実だ。
力士の質感や息遣い。
衝突した時に生じる生の音。
取組前の力士の発する闘志。
こうしたものは、至近距離を疑似的に体感させてくれるテレビでさえも伝えることは難しい。つまり、あの空間で、あの距離で観戦したものにしか100%伝わらない部分であることは間違いない。
例えば、あの距離からの観戦でなければ分かり得なかったことが一つある。忘れもしない、2014年5月場所12日目の出来事である。私はあの時、正面2列目という鼻血が出るような席で観戦していた。
大砂嵐-遠藤戦。
この一番の出来事、覚えている方は居るだろうか?
そう。
カチ上げでの一発KOである。
大砂嵐は確かにカチ上げを使う力士だった。稽古場でも使っていて、大嶽親方から大目玉を食う様子を目撃したことも有る。既に彼の一つの武器として成立し、番付を駆け上がる一因になっていたと私も理解していた。
だが、あれほどまでとは理解していなかった。
あの距離で観るまでは。
立合い。
前みつを取りに行く遠藤。
がら空きの顔面にカチ上げを見舞う大砂嵐。
生乾きの衝撃音。
生気を失う遠藤。
そして、そのまま崩れ落ちる。
これが、私の眼下で起きた出来事である。
最初に言葉を失った。
そして、その凄さを興奮して語り合った。
勿論、その日一番のトピックは白鵬稀勢の里だった。立ち合いの呼吸一発で白鵬が稀勢の里を出し抜いた。あの凄さもまた、あの距離でなければ分かり得ない貴重なものであった。だが大砂嵐のそれは、角界の第一人者の凄味とは異質の妖しい魅力を放っていた。そして、後日私はUstream放送で「大砂嵐は白鵬が相手でもあのカチ上げをするのだろうか?」という話を名古屋場所の焦点として語った。
そしてこれは、現実に大きくクローズアップされた。序盤で猛威を振るった大砂嵐のカチ上げは、横綱をも震撼させた。喰らう前に決めに掛かる日馬富士。そして、かわしに掛かる鶴竜。だが、いずれもそれは失敗に終わった。
こうした出来事が予見できるほどに、あの距離での観戦は得るものが有るのだ。私も普段は身の丈に合った席で観戦している。だがもしこの相撲人気の中、より近い席で観戦できるチャンスが訪れたのだとしたら、私は何を置いても観戦すべきだと思う。
テレビでも現地でも観られない興奮が、あの席には有る。
良き縁に感謝し、素晴らしき大相撲を堪能しようと思う。
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