九州場所と吐合。2

7日の取組を5勝2敗で終え、
来場所は幕下一桁番付が見えてきた吐合。
いよいよ外国人とエリートと元関取に
囲まれる中で鎬を削ることが確定したわけだが、
一桁番付(シングル)で結果を出すには
弱点が有ってはならない。
この地位に居る大抵の力士が抱えている弱点は
実は共通しているのだが、
九州場所を見て気づいたこととして
吐合はこの弱点を全く見せていないのである。
そう。
吐合は逃げないのだ。


174センチ 130.6キロという体格の吐合は
幕下では軽量の部類に入る。
しかも、突き押しを基調とする取り口であることから
劣勢に立たされたときに出てしまうのが
引きなのである。
引きというのは心の弱さゆえに出てしまうことが多く、
またそうした状況で出てしまった引きでも
タイミングが合うと決まってしまうことが有る。
だからこそ、成功事例としては全く良くないのだが
これに味をしめてしまう力士が後を絶たない。
逃げの引きで星を稼ぐことを覚えると攻めの精神を忘れ、
最後の最後で逃げを選択する力士になってしまう。
こうしたメンタリティは土壇場で絶対的に
悪い方向に作用し、結局チャンスを逃してしまうのだ。
だからこそ稽古の場でこうした姿勢を見せた力士は
師匠や先輩から容赦の無いかわいがりを受けることになる。
引きが出てしまうのは、技術的な問題というよりは
精神的な問題に起因している。
メンタル面での課題というのは根本的な変革が無い限り
改善することはできない。
心のどこかで逃げの気持ちが残っている限り、
引きが出てしまう。
人間の本性は、実は相撲の中に出てしまう。
学生横綱を経験しながらも、前相撲まで転落する
という人生の辛酸を舐めてきた吐合だからこそ、
こうした人間としての弱さに向き合い、
愚直に自らのスタイルを貫き通す形を覚えたのではないかと
考えさせられる。
挫折とは、無駄ではないのだ。
初場所は1番1番が勝負になる吐合。
逃げない精神は必ずや上位でも活きると私は信じている。

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