安青錦の活躍から東欧系力士を調べたらとんでもない可能性に気付いた

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新十両:安青錦の活躍が素晴らしい

安青錦が好調です。

十両昇進場所にもかかわらずここまで素晴らしい相撲を見せています。

自分の相撲を積極的にぶつけに行って、攻めて勝ちを掴むというのは誰もがやりたいことなのですが、十両でもそれが貫けているというのはなかなか出来ることではありません。

こういう相撲は力の差があるか、勢いがある時でしか取ることが出来ません。相手だって自分の相撲を本当は取りに行きたいのですから。

稽古を観に行くと親方たちは口を酸っぱくして攻めろと言います。ただ、相撲って二人で取るものですから片方は受けてしまうんですよ。

だから、常に自分のペースで取れているということが凄いことなんです。

考えてみると所属が安治川部屋ですから、部屋の中で対抗できる存在も今は居ません。そういう中で地力を付けていくというのは難しいことだと思います。

能力があって、何が悪いのか、どうすればいいかを常に考えられる力が無ければ強く離れません。

大きな部屋だと先輩やライバルに引き上げてもらえる部分もありますが、それが無いわけですからね。

安青錦の活躍を見ると、賢さと能力とを感じることが出来るので将来に向けて期待したくなるんですよ。

外国人力士で20歳で出世した力士はどれほどいるのか

さて安青錦ですが、9場所で十両昇進を決めており大変なスピード出世です。

最近のスピード出世で言えば尊富士の名前が出てきますが、幕下以下で6敗しかしていないような大変なペースでも7場所掛かっています。

つまり、安青錦は尊富士と比較してもそん色のないペースだと言えるわけです。

二十歳で新十両、しかも外国人力士ということを考えるとかなり久しぶりな気がしたんですよね。

外国人力士で出世が早いのは基本的に大学出身者です。ぱっと思いつくところで言えば逸ノ城、水戸龍、欧勝馬、阿武剋が居ますが、彼らはアマチュアでの実績が顕著でした。

言い換えるとプロでの成長が無くても既にある程度取れる素地がある力士たちだということです。

そこで私は友人の横尾誠さんに協力を依頼し、外国出身力士たちの十両以上に初昇進するまでにかかった場所数を算出してもらうことにしました。

果たして私の予想通り、安青錦のように二十歳で十両昇進するような力士は本当に少なかったのか、見てみましょう。

18歳前後で入門した外国人力士はスピード出世が少ない

ここから見えることは、安青錦のように18歳前後で入門した力士が2年程度で十両に昇進している事例は殆どないということです。

これは日本人力士と同じことなんですよね。

アマチュアでキャリアがあればあまりつまずくこともなく関取まで番付を上げることも出来ますが、そんな力士は本当に限られているのです。

安青錦よりも少し遅いペースの力士だと豊昇龍や照ノ富士といった力士が居ますが、大卒年齢以外だとここ10年程度では殆ど見られない記録でした。

安青錦の相撲は東欧系力士にはあまりないのですが、ねちっこいんですよね。

東欧系の力士の多くはアスリート的な能力の高さで圧倒してしまうのですが、それとはだいぶ異なります。

よく彼らの相撲を観ていると、この力士が相撲を覚えたらどうなるのだろうかと思わされるほど粗削りなのですが、安青錦はきちんと相撲を取っています。

日本人が身に着けてほしいような、昔見ていたような相撲です。 東欧系の力士が相撲を覚えたらそれは強いですよ。

東欧系力士の可能性の高さに気づく

ただ、このシートを見ると私は別のことに気づきました。

恐らくこの資料については観る人次第で様々な感想を抱くことになると思いますが、私が感じたのは、

東欧系の力士は基本的に出世が早い

ということでした。

黒海、露鵬、琴欧州、把瑠都、若ノ鵬、栃ノ心、阿覧、碧山、金峰山。

全員入門から2年程度で出世しているんです。これ、すごくないですか?

私自身もっとばらつきがあると思いましたが、ここまで共通しているとは思いませんでした。

確かに母数はそこまで多くないとはいえ、もうこれは傾向と言ってしまって良いでしょう。

入門から4年前後で初十両の狼雅と獅司の出世が遅く見えてしまうほどですからね。彼らのペースでさえ霧島とほぼ変わりないのですから遅くはないのに。

ですからこの共通項を考えると、安青錦がスピード出世をしてきたというのは偶然ではないと言えるのではないかと思うのです。

東欧からもっと力士をスカウトしてみてはどうだろう

更にもう一つ別のデータを横尾さんに頼んで出してもらいました。

それは、地域別の関取昇進率です。

先ほどのデータはあくまでも関取に成れる力士が凄いのであって、それ以外の力士が数多く幕下以下で引退したとしたら少数の力士が凄いというロジックになり、印象が変わってきます。

つまり、関取昇進率を出すことによって言いたいのはずばり、

「東欧から力士をもっと取った方がいいのでは?」

ということです。

さて、結果はどうだったのでしょうか。

これもまた母数の違いがあるとはいえ、明確に東欧系の力士の出世が他の地域と比べると格段に多いことが分かる結果になりました。

これを踏まえて考えると、ハワイ系の力士の獲得が廃れて、モンゴルルートが主流になったのもよく分かります。

単純にハワイ系は当たり外れが大きかったのです。

モンゴル人力士は日本での生活、相撲、文化といった部分に対する親和性が高く、高校入学から日本に来ていることが最近は大多数なので、出世しやすい側面はあると思います。

ただ、そんなモンゴルに比べても東欧系は抜きんでています。

顔ぶれを見る限りでは東欧系がそれほど多くない理由の一つが恐らく素行面だと思います。

特に短期間で出世していった力士の多くが短期間で土俵に別れを告げていますからね。

2010年前後以降に出世した力士を見ると、そこも特に問題あるようには見えないんです。

力士の数が多いとどうしても何か起きてしまうところはあるので難しいところではありますが、この結果を見ると東欧系力士の可能性を考えずにはいられなくなります。

相撲部屋の皆様。

東欧からスカウトしてはいかがでしょうか?第二第三の安青錦、居るんじゃないかと思いますよ。

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