2024年初場所10日目所感 大の里は何が通用するのか、何が今のままではダメなのか

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今場所の争点の一つは、大の里がどこまでやれるか

序盤に大の里の話をしましたが、スピード出世をする力士が果たしてどこまで伸びるのか?ということを見ている私たちがある程度身構えるため、というものでした。

その時の記事にも書きましたが、三役まで出世するというのはそれほど珍しいことではありません。

ただ、そこからはスピード出世するような力士であってもなかなか上手くは行きません。そのまま大関や横綱に定着するという力士は輪島と出島くらいしか居ません。

大関までは早かった雅山をどうとらえるかは人次第ではありますが、入門前の積み上げで三役までは行ける。しかしその後の出世は基本的には各人の努力と怪我をしないなどといった運も絡んでくるということです。

アマチュア時代に「既に三役位の力はある」などと評される力士もいますが、案外それは大の里に関しては過大評価ではない可能性はある、というのがその時の記事の総括と言えるものでした。

さて、そんな大の里が今場所どこまでやれるのか?ということが見ている私たちの期待も込めた一つの焦点だったように思います。

幕内下位では期待通り、データ通り

そしてここまでの内容はといえば、期待通りというべきものでした。

右四つなのか左四つなのかもわからないほど、基本的には立ち合いで決まってしまう。

それほど鋭く、威力のある立ち合いが大の里の持ち味であり、魅力であると言えます。

立ち合いで下から中に入られるという明確な課題があり、それで1敗しているものの、基本的には立ち合いで勝り、自分の形で勝つという内容が続いています。

さすがにこの威力があれば、幕内下位で躓くということは無いとは思っていましたが、基本的には圧倒してしまう。

逆に言えばここで星が上がらなければガッカリとさえ思っていただけに、そうではないことに安心するとともに、ある意味でデータ通りの結果が出たとも言えたわけです。

ただ、ここまで勝利が先行するというのは過去のデータから見てもそこまである訳ではないということは付け加えておきます。

琴ノ若には何もできなかった

そして優勝争いトップタイで迎えた10日目の相手は琴ノ若。

琴ノ若にもあの立ち合いを威力十分に決められるのか?という点が最大の焦点とも言える取組でした。

大の里が苦労するのは、基本的にはここまでは下から脇をしめて当たる力士だったように思います。琴ノ若はそのタイプではありません。

ですから、琴ノ若としてもある意味でよく分からないところもある中で、自分の尺度、そして自分の相撲で大の里を捉えて攻略する必要がありました。

内容としては非常にあっさりしたもので、大の里が立ち合いから完全に琴ノ若に形を作られてしまい、何も出来ずに敗れるというものでした。

今までは自分よりも小さな力士が下からやってくることを、サイズ的には同じくらいの琴ノ若にやられてしまった。

それも、別に琴ノ若が自分の形を崩したという訳ではなく、普通に当たって普通に形を作った。

そういう内容でした。

これからは「何が通用するのか、何が今のままではダメなのか」

琴ノ若は現在の幕内上位の中で言えば、自分の形に入れば無類の強さを誇るというタイプではありません。

どちらかといえば、そのやわらかさで相手を受け止めて、守り勝つこともあればそこから攻めを組み立てるということもある力士です。

つまり、立ち合いで当たり勝って、そのまま短時間に決めるというタイプではないということです。(そういう相撲で勝つこともありますが)

大の里は幕内下位では無類の強さを見せましたが、初顔合わせで取り口もよく知らない状況の琴ノ若に初見で対応され、何も出来ずに敗れてしまった。

今日は上手くいかなかったのか、このレベルに入ると何もさせてもらえないのかはこれから次第なので、今日の結果をもって大の里は今のままでは上位では通用しないとは一概には言えません。

ただ、期待値が高まった大の里があっさりと敗れたという事実だけが残りました。

これからの上位との取組は大の里にとって「何が通用するのか、何が今のままではダメなのか」を見定めるためのものになると思います。

ですから、とにかく今の大の里の相撲を取り続けてほしいと感じました。

そうすることで、今の自分を知り、これからするべきことが必ず見えてくることになるからです。

勉強の相撲が続きます。

明日は何かが出来るところが私は観てみたい。

積極性が失われるところだけは観たくないと思います。

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