番付崩壊は過去のものなのか、2024年のデータを検証した
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2023年から引き続き上位が強かった
今年の大相撲を振り返ると
「上位が強い」
この一言に集約されます。
優勝は照ノ富士と大の里が2回、尊富士と琴櫻が1回ですからね。
尊富士と大の里の優勝争いの時はどうなるかと思いましたが、5月終了時点で私も講演の時に「尊富士と大の里については単に強いだけで、実力者が優勝したと振り返ることになるかもしれない」という話を当時既にしていたので安心している部分もあります。
これって実は2023年から続くトレンドなんですけど、どれくらい世間に響いているのか心配なところなので今日はそんな話をしようと思います。
なんかね
ちょっと上位が負けると「番付崩壊」って言いたがる人居るじゃないですか。あれは本当によくないと思うんですよね。
誰かが言い始めるとそういうのって本当のことになってしまう部分がありますからね
「大関が弱い」っていうのもその一種ではないかと。
あとはあれか
ちょっと前の「日馬富士は3日目が弱い」みたいな感じのこと
あれも本人が意識しかねないですからね
最初はオカルト的なものなのかもしれないけど、周囲がざわつくことに依って本人が意識してしまって歯車を狂わせてしまうところはあると思います。
異変が起きるとそれをSNSで騒いで、騒いでいるのに気付いたメディアがネット記事にしてしまう
ネット記事っていうのも卑怯なんですよね
自分の意見じゃなくてSNSでこういう意見がある
こういう話が出ている
ってすることによって自分の責任を回避している訳ですから
なんかちょっと話があらぬ方に進んでしましましたが、ようやく上位力士たちがこの2年の間で力を付けてきたからこそ、オカルトを排除できた部分があって、大相撲全体が落ち着いてきたということなんじゃないかと思うんですよ。
上位総当たりでの大敗が多いのでは?
で。
この1年でちょっと気になったことがあったんです。
それは、上位総当たりのところに居る力士が結構大敗していることです。
私が子供の頃の大相撲って千代の富士1人横綱だったんですけど、まぁ毎回そんな感じだったんですよね。振り返ってみると。
上位総当たりの顔ぶれがとにかくよく変わるんです。
何しろ関脇と小結すらシャッフルされることも結構ありましたからね。逆鉾と琴ケ梅で固定されていた頃もありましたけど、横綱と大関が強くて、その割を他の力士たちがモロに受けていたように思っていました。
今はそういう状況に近づいているように思うんですよね。
考えてみると上位の勝率が下がるということはそれだけ他の力士に白星が回っているということなので、総当たりに居る他の力士たちの勝ち越し率が上がるということになります。
しかし今はそれが許されないほど上位が強くて、例えば九州場所で言えば小結以下だと若元春、若隆景、阿炎、熱海富士が勝ち越していますが、一方で正代、平戸海、宇良、美ノ海、そして欧勝馬は2桁負けています。
まぁつまり上位が強いと他の力士は大変で、だけどそれが本来の大相撲でもあると言えるんですよ。
上位に定着できている力士は本当に限られている
というわけで、2024年の上位総当たりの番付に居た力士たちの成績を調べてみました。
これはなかなか面白い結果になりました。
注目してほしいところとしては、6場所中半分の3場所で勝ち越せている力士ですら8人しか居ないということです。
大関3名と大関経験者が1名なので、それを除くとなんと4名しかこのラインに達していないということが分かります。彼らがこの1年三役に定着して相撲が取れたベスト8と言っていいでしょう。
ただ、そんな彼らであっても複数回負け越している訳です。
以前は関脇と小結が渋滞してなかなか空かないことから上位で勝ち越しても三役昇進できないなんていう話も結構ありましたが、ベスト8力士であっても負け越すということは関脇小結の入れ替えチャンスがあったと言えるわけです。
このことからも、コロナ期からの変化がうかがえると言ってよいと思います。
また、かつての上位の渋滞問題が解消されたことを証明するもう一つの数字があります。
それは、この1年で上位総当たりで皆勤した力士が7名しか居ないということです。
平戸海や大の里はこの1年の中で大きく成長した力士ですが、それでも1年は総当たりに居たわけではないです。大関や三役に定着した力士以外だと総当たり皆勤力士は熱海富士しか居ません。
ここから分かるのは、総当たり圏内を保つことの難しさではないかと思います。
上位でたまに勝ち越す力士、上位に昇進は出来る力士。
そして、上位に定着している力士以外のところに目を向けてみると、一度であれば活躍できることが分かります。
言い換えると、好調な場所であれば上位総当たりで勝ち越すことは出来てもコンスタントに成績を残すのはとても難しい状況になってきているということです。
その好例が正代と王鵬ではないかと思います。
彼らの実力は疑うところが無いですし、一つの取組で爆発的な良さを見せることもありますが、15日間をトータルで見た時にはどうしてもブレが出てしまいます。
上位をキープするには悪い取組でも勝ちを拾ったり、五分の展開から自分の相撲に持っていくような強さが求められるということがよく分かります。
負け越しもありますが、案外それが出来ているのが先に名前の出た熱海富士や翔猿といった力士なのかもしれません。ゆえに彼らは2桁敗れるような崩れ方が無いのです。
もう一つ面白いのが、上位で2桁敗れるような力士であっても 上位復帰している事例もかなりあるということです。
上位では力を発揮できないけど、番付を落とすと力が抜けているので大きく勝ち越せるということですね。
つまり、今の力関係をカテゴライズするとこのようなことが言えると思います。不確定な力士はとりあえず言及を避けていますが、納得感はあります。
1.上位総当たりで2桁勝てる:琴桜、豊昇龍、大の里
2.上位総当たりで勝ち越せる:大栄翔、阿炎、若元春
3.上位総当たりで勝ち越しと負け越し:霧島、平戸海、翔猿、熱海富士
4.上位総当たりで勝ち越すことも:正代、王鵬
5.上位総当たりに昇進できる:宇良、豪ノ山、高安、隆の勝
ここから言えるのは、番付と実力が連動してきたということです。
大の里と平戸海のように上位で結果を残せる力士が登場した2024年でしたが、果たして2025年はどのような力関係になり、その結果誰が突き抜けることになるのか。
そんな楽しみが出来た1年だったように思います。