霧島の大関復帰が厳しくなってきた理由。
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霧島の星が上がらない
霧島が苦しんでいます。
初日を見た感じだと若隆景の勢いに飲まれたという印象で、後手に回ったとはいえそれほど悪い印象は無かったのですが、連敗が続いています。
霧島の不思議なところはそれほどコンディションが悪く感じないような攻防を展開しながら負けが込み、そこから不調に陥っていくところです。
見た目にはそこまで変わらないのに、そして不調ではなかったはずのところから歯車がかみ合わなくなり、結果が出なくなる。
大関昇進前にはこのようなことはあまり無かったのですが、首を痛めてからは悪い傾向が出てきているように思います。
大関や関脇だと初日から上位を食おうとする野心的な力士たちが襲い掛かってきますので、彼らに上回られてしまうことは普通にあるわけです。
最近は小結から前頭4枚目まで全く油断できない力士たちが並んでおり、霧島でなくとも本来は白星を並べることが難しい状況ではあるんですよね。
一度首を痛めて大関から落ちてしまった霧島であればそれはなおさらで、先場所の活躍から期待はしましたがこういうこともあり得るとは思うんです。
大関復帰の歴史的な難しさ
さて、霧島についてはやはり大関復帰を期待していますし、今場所の成績いかんでは復帰もあり得る状況ではありましたが、来場所以降に持ち越しにはなりそうです。
なお大関陥落直後に関脇で10勝を挙げて復帰した力士は複数居ますが、その機会を逃した後で再度昇進した事例は魁傑と照ノ富士しか居ません。
2場所連続負け越す状況の中で2桁勝つというのはかなり厳しい条件ですが、仕切り直してから再度1場所平均11勝というのは更に厳しいものです。
そもそも大関陥落した力士は怪我の影響ないしは衰えという側面があり、3場所連続でこれだけ高い水準の成績を残すことが大変難しい状況と言えます。
1場所で好成績を挙げて優勝争いに絡む事例は最近であれば高安が6場所中3場所という離れ業をやってのけましたが、一方で全て優勝を逃すという離れ業もやってのけました。
大関というのは肉体的にも精神的にも充実している時期に掴める地位ですので、フレッシュさが必要と言えるわけです。
今場所の霧島の不調はそんな難しさを改めて立証する結果となっているようにも見受けられます。
新世代力士の台頭という脅威
さてこれから霧島が大関を目指すにあたって考えなければならないことがあります。
それは、新世代の台頭です。
現在上位に居る力士たちとの競争でさえも大変なのに、上位総当たりを見ただけでも近い将来大きく力を伸ばす可能性のある力士が目につきます。
2年前に王鵬、平戸海、熱海富士がここまで力を伸ばすことを想像した方はどれほどいたでしょうか?彼らはまだまだ伸びる余地を残しています。
可能性という意味で言えば既に優勝経験のある尊富士も居ますし、伯桜鵬もケガが癒えれば十代優勝が手に掛かりかけた時の実力を発揮する可能性も十分にあります。
これだけの力士たちが猛追する中で霧島は今よりも強くならなければ大関に戻ることは勿論、仮に戻れたとしてもその地位はすぐに脅かされることになります。
既に脅威となりうる力士が可視化されている中で、もう一つ考えなければいけないことがあります。
もう十分脅威については認識できたかもしれないのですが、同じ2年前の番付を見てみると恐ろしいことに気づかされます。
そう。
この頃は大の里と尊富士は、影も形も無いのです。
つまり近い将来大きな脅威になりうる力士に、私たちは全く気付いてすらいない可能性があります。
力を取り戻すだけでは大関復帰は困難
大相撲というのは本当にすごいスピードで勢力図が変わっていくものです。
最近は特にその傾向が顕著で、2年前の番付を見るとそのことを再認識させられます。
最近の勢力図に慣れてしまったために忘れがちですが当時はまだ正代が大関でしたし、御嶽海も大関復帰を賭けて闘っていました。
玉鷲や高安がまだ上位に居ましたし、この年に優勝した逸ノ城はまだブレイクの目がありました。
大関復帰という高い目標を目指して山に登るということは勿論難しいのですが、地位を保つことさえも困難なことがよく分かると思います。
近い将来霧島が昨年大関昇進したときの実力を取り戻したとして、大関復帰できるかというとそれも疑問です。
最近の事例で言えば朝乃山を見ればそのことがよく分かります。
確かに朝乃山は怪我が増えましたが、上位復帰後は見た目に大関の頃と実力がそこまで変わらないにも関わらず大きく勝ち越せていません。
たとえ実力者であったとしても、周囲が更に力を付けてしまっては前と同じような成績を残せないという残酷な現実があります。
ですから勢力図がそれほど変わっていない今がチャンスですが、ここでの5連敗は相当痛かったということになるでしょう。
大関復帰もさることながら、上位に居続けることの難しさを霧島を通じて感じることになりましたが、まずは大関を掴んだあの相撲を取り戻すことを期待したいところです。
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