今の3大関は相当優秀?10日目終了時のデータから検証した
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10日目を終えると優勝争いへの注目が高まる
10日目を終えました。
相撲というのは始まるまでが長く、始まってからは本当に早いものです。少し前に初日だと思っていたらもう千秋楽が見えてきてしまいました。
私は東京在住なので年に3回国技館に行くチャンスがありますが、大阪や名古屋、そして今本場所開催中の博多の方にとっては年に一度の場所がまるで夢のように過ぎていくような感覚ではないかと思います。
残り5日、もう残りわずかになってきましたが、一緒に楽しみたいところですね。
さて。10日目まで終わるといよいよ興味は優勝争いになってきます。
勝ち越す力士も現れ、大関や関脇は上位同士の対決が組まれるようになってきますし、下位の成績優秀者同士の対戦を組まれ、生き残った力士は上位戦が組まれることになります。
今場所であれば下位の優秀者は阿武剋、尊富士、隆の勝、宝富士が目立つところです。
これに加えて上位対戦を終えた阿炎も居ますので、どんな割がどのタイミングで組まれるかが注目です。
特にここ数年下位の優秀者の割の組み方が優勝争いに大きな影響を及ぼしてきた経緯がありますので、今場所はどうなるのかという興味もあります。
九州場所は3大関が好調
ただ。今場所に関しては下位の割の組み方にそこまで目くじらを立てる必要が無いのではないようにも感じています。
それは、大関の3力士が好調だからです。
攻める姿勢を貫き攻め込まれても投げが待っている豊昇龍、攻めでも良い相撲が出てきている上に守っても鉄壁の琴櫻、一時は崩れているように見えたものの普通の相撲が取れるようになってきた大の里がそれぞれ異なる強さを見せています。
5日目終了時点の大関の成績から勝敗別の期待値を出しましたが、その時5連勝だった豊昇龍は期待通りの成績を残していると言えますし、1敗だった琴櫻はそこから調子を上げて期待値以上です。大の里はそのごもう一度敗れていますが、序盤でつまずいた力士の中ではデータ的には良い方です。
つまり、それぞれの力士が大関としての責務を果たしているのです。
大関という立場が力士を苦しめているという話はたびたび語られてきましたし、成績が上がらないと常に批判に晒されるという意味で本当に厳しいものだと思ってきただけに、ここに来て世間の期待値を上回る結果を残していることが嬉しいです。
しかしここでふと思ったことがありました。今場所の3大関の成績は歴史的に見ても相当優秀ではないか?と。
今場所の3大関は歴史的にも相当優秀
前にもお話ししましたが、ここ数年の大関は本当に厳しい批判を受けてきました。昇進後にケガなどの理由で一様に不調に陥ってきたからです。
そのため、大関のうち誰かが必ず負け越しの危機に陥り、2大関が揃って4勝11敗という場所もあったくらいです。
1人でも大関が優勝争いに加わることを安堵していたほどだったのですが、3人が揃ってというのはあまり記憶にありません。
そこで今回は年6場所に以降してから3大関のトータルの勝ち星がどのようなものかをデータで見たいと思います。
ということでデータを算出しました。
今場所はここまで豊昇龍と琴櫻が9勝、大の里は7勝なので24勝です。
過去の最高値が27勝ですが、その事例もほぼ無い水準ですから、やはり私が立てた仮説がある程度的を射ていたということになるかと思います。
なお、大関はここまで基本的には小結以下の力士との対戦ですから、基本的には取りこぼせない取組の中で確実に勝っているか?というデータとしてお読みください。
つまり、横綱や大関同士の対戦は含まれていない中でのデータなので、2020年以降のように上位に優秀な力士が数多く居れば難易度は上がりますが、ある程度平等性のあるものとして見ることは可能です。
話は少し逸れましたが、今場所の3大関は全員が揃ってハイアベレージを残しており、ここまでは歴史的に見ても素晴らしい活躍をしているということをご理解いただきたいところです。
強い大関を求める時代から、横綱を求める時代へ
ここからは余談、というか、恐らくこのデータをご覧の方たちの中で疑問に思われるのが「果たしてこの3大関が優秀な場所はいつのことなのか」という点だと思います。
そこで、成績が優秀な場所順にいつ、どのような大関が居たのかを調べました。
これを見ると琴風と若島津という名前が目立ちます。そして少し下を見ると若乃花、武蔵丸、貴ノ浪という名前が登場することも多いです。
これを見て気づくのは、どうやら3大関が強い時期が存在しているようなのです。
言い換えると彼らはこの時期に強い大関ではあったものの横綱として突き抜けはしなかった。ゆえに強い大関として同じ名前が頻出しているというわけです。
今までは大関陣が期待された役割を果たせなかったからこそ誰が優勝してもおかしくないという時代が続きましたが、その時期はデータ上2023年からは脱しつつありました。
そして現在の3大関になりその傾向が更に進みました。
次の期待は強い大関の時代から誰かが抜け出し、横綱になることによって強い大関の時代が終焉を迎えるか。
強い大関を求める時代が終わったのは、横綱になり得る強さを見せているからだとすると本当に喜ばしいことだと思います。
逆に言えば、これからは強い大関が君臨していても不満を口にして良いのです。 そんな期待感のあるデータが出てきたことを喜び、残り5日間を楽しみたいところです。
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