2024年初場所千秋楽所感 攻めを凌ぐ照ノ富士と、大関昇進しても悔しがる琴ノ若に明るい未来を見た

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琴ノ若有利と見ていた理由

正直なところ、琴ノ若が翔猿に勝った時点で琴ノ若の優勝が濃厚だと思っていました。

それほど照ノ富士には厳しい状況だと感じていたからです。

霧島と琴ノ若という、横綱・大関を賭けて闘う二人の力士をそれぞれ破ることがまず難しいですし、2番続けて勝つということが確率論的に見ても相当低いことのように思えたからです。

それほど今場所の霧島と琴ノ若はそれぞれ強いですからね。

霧島は昨日敗れたとはいえ、横綱昇進の目を残すためにも勝たねばならないという状況でした。

取組前の時点では綱取りが消滅したという話は無かったですし、何より3敗巴戦というシナリオも残されていました。

直前に琴ノ若が勝利したことにより優勝は消滅したわけですが、横綱を目指す力士が現横綱に未勝利というのも厳しいものがあります。

照ノ富士の消耗というマイナス要素

加えて照ノ富士を語るうえで重要だったのが、消耗でした。

久々に出場している力士が15日間を完走することそのものが大変なことです。考えてみてください。そもそも私たちが15連勤もしたら最後の方は疲れて体が動かないですからね。

それを力士がやる上に、久々の出場。おまけに照ノ富士は全身傷だらけなんです。

序盤ですら守る形になった時にかなり不安定な相撲があり、中日までに2番落としていた力士が長期戦や攻められる展開になった時に凌げるか?と言うと常識的には難しいです。

霧島には勝つかもしれない。でも、優勝決定戦に出てくる照ノ富士はその時点で相当消耗している。

だとすると琴ノ若が有利になるというのが私の見立てでした。

が、照ノ富士は霧島を一瞬で下してその前提が崩れました。

琴ノ若の攻めを凌ぐ照ノ富士

琴ノ若は照ノ富士を崩すうえで攻める相撲ではスキを突かれるという予想はありました。

照ノ富士が早い相撲に出てきたところを持ち前の守りの強さで凌ぐというのが一番あり得る形だと考えていました。

しかし、フタを開けてみると攻防の中で琴ノ若がもろ差しになり、形が出来たと思いました。

そこからの照ノ富士が凄かった。

あっさり巻き替えて形を作り直し、琴ノ若が苦しい形を作り上げた。

形が出来た後の照ノ富士に反撃するのは非常に難しく、土俵際に追い詰められる中で何とかまわしを切ろうとするものの、押し切って勝利。

相星の優勝決定戦ではありましたが、流石に横綱は強いという内容でした。

楽しい15日間と、明るい未来

琴ノ若の成長は素晴らしかったです。

本割の反省を踏まえたうえで攻める展開を作れたということがまず良かった。

勿論重圧がかかる場面で翔猿という何をしてくるか分からない力士を相手に一瞬かなり危ない場面がある中で勝利を掴んだことも良かったです。

しかし、個人的に一番良かったと思ったのが、優勝決定戦後のインタビューで悔しさを見せていたことでした。

大関昇進の喜びよりも、優勝できなかった悔しさが勝っている。

目指す先の高さを感じ取ることができました。

15日間の中でも成長し、力士として高みを目指す姿勢を感じられたこと。それが何よりうれしいことでした。

照ノ富士の優勝も、琴ノ若の大関昇進も、どちらも今の大相撲の面白さを物語るものであり、そして未来の大相撲の明るさを感じさせるものだったのです。

15日間、お疲れ様でした。

また大阪場所で会いましょう。

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