今場所は歴史的にも休場が少ないのか。データから調べてみた

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大関の好成績が場所の盛り上がりを支えている

13日目が終わり、本当に良い場所だなと感じています。

それはやはり、大関2人がトップを走るという最近では無かった展開になっているからです。

繰り返しになりますが、高安以降の大関昇進者は貴景勝を除いて苦戦が続きました。大関という地位が力を奪っているような、そんな気さえするほどでした。

昇進直前3場所のあの勢いはどこに行ったのかと思うほど、序盤から意欲的な力士たちを迎えて受けに回り、そのまま押し切られるという場面を何度目撃してきたことでしょうか。

大関たちは昇進後にケガと高齢での昇進という2つのパターンにより精彩を欠く事例が多発しました。

原因はハッキリしていますが、だからと言って期待の数字を下回ることが許されるわけではありません。

故に最近は「番付崩壊」という言葉が独り歩きし、豊昇龍と琴櫻という大関の平均値を大きく超える力士が君臨していても昇進後に優勝が無いために批判の矢面に立っていたように思います。

先日お話しした通り、今場所は中盤戦までは歴史的に見ても大関が全体的に高水準ということで、世間の目を変え得る結果が得られつつある状況です。

今場所は休場者が少ないが・・・

さて。今場所がとても良い場所になっているのはもう一つ理由があります。

それは、休場が少ないことです。

13日目時点での幕内の休場者は何名居るかお判りでしょうか?

…と、このように質問をされて自信を持って答えられる方が果たしてどれくらい居るかは正直なところ分からないですし、私自身誰が休場しているということを正確に把握しながら相撲を観ていないところがあります。

それほど誰かしら休んでいますし、場所の最中に休場者が増えているイメージがあります。

そして休場者が出るたびに「今場所は休場が多い」とボヤき、公傷制度の復活を求めるポストをX(旧ツイッター)で行うというのが一連の流れのように思うんです。

少し話は逸れましたが話を戻しましょう。

実は13日目が終わった時点での幕内休場者は1名。照ノ富士のみです。

7日目から休場していた武将山が12日目から復帰したこともあり、場所前から休場している照ノ富士だけが休場しているという状況なんです。

私自身このことには驚きました。 そういえば今場所は電光掲示板の欄外のところに四股名が少なくて、こんなに少ないのは果たしていつ以来なのだろうかと思ったほどです。

歴史的に見て今場所は休場が少ないのか

では、今場所の休場は本当に少ないのでしょうか?

コロナによる休場が落ち着きを見せた令和4年9月場所以降のデータを確認すると、途中休場がある事例も含めるとこの2年は休場者が4名以上は居る状況でした。

休場者が少ない場所であっても2名というのが最低ラインで、今場所を入れても4回しかありません。

そう考えると今場所は確かに休場者が近年では少ないことは確かなのですが、異例と言えるほどの水準には無いようなのです。

逆に休場が多い方を見ると最近の中では令和6年5月場所の休場者が合計で8名と、ここまで多い事例はコロナ前だと平成29年9月場所が該当しますが、同じレベルで休場者が出た場所については更にそれ以前だと不祥事関連で多発した場所まで遡ることになります。

さらに調べてみると、4名以上の休場者が出ているというのはコロナ以降だけの傾向ではなく、平成25年(2013年)以降から続いているようなのです。

そう考えると10年あまり休場者が多い状況が続いていたことに慣れていたためか、今場所は力士の数が多いように感じたというのは自然な成り行きだったのかもしれません。

コンディションの良い力士が土俵の充実を支える

ここから先は余談にはなりますが、休場者数というのは実は横綱の数と連動しているところがあります。

例えば最近の4横綱時代である平成29年(2017年)から平成30年(2018年)を例に取ると、この頃は多い時で10名近くもの力士が休場している場所が散見しています。

稀勢の里と日馬富士の引退以降も白鵬と鶴竜の休場が多発したこともあり、令和以降も休場者が多い傾向は続きますが、不調の横綱や引退間際の横綱は出てきてしまうことがその原因と言えるでしょう。

これは近年に限ったことではなく、貴乃花の時代も千代の富士の時代も北の湖の時代にも共通していることでもあります。

他の力士は全休すると番付を大きく落とす関係上、なかなか全休というわけにはいきません。

そのせいか最近では休場しても再出場する力士が多いようにも感じられます。

ですから休場者数という意味では多いのですが、休場日数で見るとそこまで多くはないということも言えるわけです。

最近で言えば照ノ富士の休場が目立つようになったことから休場日数は下がりにくい傾向にありますので、今場所はそれ以外だと武将山の途中休場(再出場)のみなのはかなり健闘していると言ってよいと思います。

ただ、御嶽海のように場所中の負傷がありながらもある程度無理しながら出場している力士も居れば、高安のように腰の不調の影響からか良い相撲と悪い相撲が明確な力士も居ます。

結局、力士はいつだってケガと隣り合わせだということです。

そんな中でも今場所はコンディションの良い力士が多いこともあり、熱戦が増えているというのはデータの側面からもお分かりいただけたと思います。

考えてみると世代交代が進んだためか、上位総当たりに居る力士たちは大きなケガを抱えている力士が少ないように思います。

少し前であれば横綱(白鵬、稀勢の里、鶴竜)と大関(豪栄道、高安、栃ノ心)がほぼ全員満身創痍ということもありました。

上位陣の顔ぶれと年齢を見る限りでは今の大相撲は充実期に差し掛かっていると思います。

横綱や大関を目指せる力士たちがまだ大きなケガを抱えていないこともあり、この10年の中では最も力士の成長と白熱した相撲を観られる状況にあると言ってもいいでしょう。

残り2日、充実した取組を楽しみましょう。

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