上位力士の初黒星の相手は誰かデータ検証した
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照ノ富士の初黒星の相手は誰か
皆さんの中で照ノ富士の序ノ口からの初黒星ってどんな相手だったかご存じの方は居ますでしょうか?
多分ね
誰も答えられないと思います
何故なら私も知らないからです
そもそもなんでこんなことを考えたか?というと、後に大成した力士に早い段階で土を付けた力士がその後どうなっているかが気になったのです。
その後活躍している力士なのか
それほど知らない力士なのか
大成した力士を倒すということはどんな意味を持っているのか?ということが気になったのですが誰も調べたこともないでしょうし、そもそもそんなデータって相撲レファレンスから簡単に抽出できる類のものでもないんですね。
ですから完全に手作業です
で。
調べた結果ですが、照ノ富士は平成23年7月に松木という力士に敗れているのが初黒星であることが分かりました。
松木と言ってもピンとこない人も多いと思いますが、貴大将という名前を長く名乗り、最近葵龍という名前に変えた、今も現役の力士です。最高位は三段目34枚目で、後の横綱が初黒星を喫した相手としては意外な感があります。
ちなみに照ノ富士は初めての取組で黒星を喫しており、しかもそれは勇み足でした。
こういう黒星もあるのですね。
なるほど。
照ノ富士の初黒星が貴大将というのは全く予想できなかったところだったので、かなり面倒ではありましたが、私は九州場所に幕内に在籍していたすべての力士を対象に初黒星の相手を調査することにしました。
まぁとりあえず見てみましょう。
初黒星の相手を見ているだけで面白い
・・・
これね、
見ている分にはすごく楽しい資料だと思います
私自身これ見るとへー!って感じになるんですよ
序ノ口での黒星であればああこの力士が同期なのねっていうのも分かりますし、大成しなかった対戦相手についてもここでこの力士が出てくるか!っていう感じで、卒業アルバムを読み返した時みたいな気分になるんですよね
あ
こんな子居たなぁ的な
整理し始めたはずだったのに、手が止まってしまうような。
なんの脈絡もない、ただ初黒星の相手を並べているだけなのに無限に対戦相手のことが気になって、ずーっと見てしまう
データっていうのはこういう楽しみ方が出来るんですよ
ただ、基本的に「へー」っていうデータに関しては特に得るものが無くて。まぁそりゃそうです。「こういう傾向があります!」っていうものが無ければそれはただのデータの集まりに過ぎないわけですからね。
ということで、正直無理くりではあるんですけど、初黒星から導かれる傾向についても見ていきたいと思います。
初黒星の相手は最高位十両下位、幕下上位が多い
皆さんはこの力士の名前からどんな傾向が見つかりましたか?
私の中で非常に気になったのが、大成している力士の初黒星の相手が妙に最高位十両下位、幕下上位が多いということなんです。
例えば千代の勝、朝志雄、琴裕将、飛翔富士、水口、政風、琴太豪、對馬洋、極芯道、峰刃、北勝翼辺りがこれに該当するんですね。
っていうか、この狭い最高位にやたら密集しているんですよ。
これね、多分偶然じゃないと思います。
直接聞いてみないと分からないところではありますけど、今幕内でやっている力士って言うのは同期の中でもトップランナーだと思うんですよ。
で、それに勝った先ほどの顔ぶれを見るとトップランナーの後塵を拝しているわけです。
大体がそうなんですけど、トップランナーの力士はデビューした頃から周囲の期待が高くて、それに引っ張られるような形で現役を続け、自分も一人前の力士になるために頑張れている。
だとすると、この初黒星を付けたということは大きな意味があるんじゃないかと思います。
あとはね、水口や飛翔富士、峰刃からするとプロの先輩として負けられないという意地もあるんじゃないかと思うんです。
水口は遠藤、峰刃は欧勝馬ですからね。
アマチュアで実績のある力士がデビュー間もない時に、対戦相手の力士が見せる相撲ってあると思うんですけど、あの独特の熱みたいなものを感じる対戦相手なんですよね。
これも見ていてとても面白い発見でした。
別の傾向はどんなものか
あと気づくことと言えば、後に大成する力士に黒星を付けたにもかかわらずその2年後くらいに引退しているという事例も結構あるんですね。
若元春に勝った若山田、隆の勝に勝った栃醍醐、琴勝峰に勝った明石隆、錦木に勝った大ノ島がそれに該当します。
このような力士は後に大成するにしても、キャリアが浅いと年上で相撲経験が長い力士に敗れるというのはよくあることなんだということに気づかされます。
開花する前だと、その時の完成度で押し切られてしまうっていうことは結構あるんですね。最高位序二段っていう力士に敗れている事例もちらほらと見られますから。
これはもう、ポテンシャルだけでは勝てないっていうことなんですよ。一つの傾向として出ているということだと思います。
あとは、後に実績を残す力士に止められるという事例も結構あります。
豊昇龍に勝ったのは王鵬ですし、大の里に勝っているのは朝紅龍です。
その朝紅龍の初黒星の相手は北青鵬で、過去の映像に板井が出てきた時のような感じなくても良い背徳感を覚えるのはまぁいいとして、千代翔馬には碧山が勝っていますし、宝富士は大学の同級生である徳勝龍に敗れています。
同期が強くてそれに引っ張られるような形で一緒に伸びていくパターンですね。これは。(北青鵬と朝紅龍は同期ではないのですが)
ちょっと意外なのは、北勝富士が宇良に敗れているということです。
大学時代で言えば宇良と北勝富士は比較にならないような力関係でした。今の大相撲でしか知らない方からするとイメージしづらいと思いますが、北勝富士と御嶽海は同期の中でもスーパースターと言ってよい存在で、宇良は関西学院大学という相撲で言えばマイナーなところに位置する大学の出身でしたから。
マツコ有吉の怒り新党で紹介されていたために当時の宇良は既に有名人だったわけですが、とはいえ当時中村大輝に勝ったというのは相当な驚きだったことを覚えています。
これに似た事例だと、正代が貴源治に敗れていることです。
正代は学生時代の実績が十分で、本来付け出しデビューをするような力士でしたが、当時17歳で高校2年生の学年の貴源治ですからね。もしアマチュア時代にとして同じことをしたならば大事件になるような結果だったのです。
相撲のデータ分析は面白い
大成する力士の初黒星から見える共通項は結局特にありませんでしたが、エリートとして期待されている力士とそれを追いかける力士という構図が逆転を生み出すということもありますし、その時の完成度次第で思わぬ力士に敗れることもある、というのは面白い発見だったように思います。
データから見える人間模様や、事実というのもあるんですよね。
だから面白いのです。
余談ですが對馬洋は同じ場所に錦富士と翠富士を相手に立て続けに初黒星を付けています。しかもこれ、三段目での出来事ですからね。私も調べてみて初めて知りました。
私はデータを収集するときは基本的に仮説があってそれを立証するために行いますが、興味本位で始めてみてもこんな風に楽しめることもあります。
皆さんも、相撲をデータの側面から見てみませんか?
楽しいですよ。
ちょっと面倒ですが・・・