2024年初場所11日目所感 霧島と大栄翔は共に伸びているのに・・。
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力士は1年で大きく変わる
力士って、1年でガラッと状況が変わるんですよね。
去年の今頃はまだ霧島が大関の足掛かりを作っているところでしたからね。
琴ノ若も大栄翔も豊昇龍も若元春も、まだそれほど差が無かった。むしろ琴ノ若に関して言えば、少し後塵を拝すような評価だったように思うんですよ。
上位で勝ち越せる力士と、その上が目指せるかもしれない力士。少しずつ上位総当たりの力士たちの中から抜け出しつつあるという状況で、大関昇進以降御嶽海や正代を追い越していくという構図だったように思います。
積み重ねがあるとはいえ、成績が伸びるのはあっという間というのは本当によくあることです。
だって、大関の足掛かりを作っていた霧島が、1年経ったら綱取りをしている訳ですから。
そして序盤中盤と2敗しながらも、圧力をモロに受けると意外と脆いところもあるという弱点もありながらも、どんな状況でも強さを見せられる力士になったんですから。
大栄翔も2023年で飛躍を遂げたはずだった
そして、1年で状況が変わったのは大栄翔も同じだったんですよ。
大栄翔だって優勝経験があるとはいえ、上位総当たりでつぶし合いながらどうにか勝ち越すというタイプの力士だったんですから。
そう思うと大関獲りという期待を受け一発でチャンスを掴むことは出来ませんでしたが、強い関脇として存在感を見せ続けている。
これはこれで凄いことだと思います。
これだけ上位が充実している中で突き押しというコンディションに左右されるスタイルなのに、そして当然コンディションが悪い時もあるのに、下位の力士には壁としての役割も果たせるし、上位を相手にしても危険な相撲を取り続ける。
大栄翔がここまでの力士になるということは、上位総当たりに初めて上がってきた2017年頃は全く予想も出来ませんでした。
そして大栄翔が一つ上の力士になれたのも、2023年だったと私は思います。
そんな大栄翔ではあるんですが、霧島との比較になると1年で明確に差を付けられてしまったんです。
3月の連敗以降、霧島大栄翔はいつも同じ展開だった
ターニングポイントになったのは、昨年の3月でした。
優勝争いでトップだった大栄翔が千秋楽の本割と決定戦で霧馬山に連敗し、優勝を逃したことは記憶に新しいと思います。
あの時の大栄翔は同じような相撲で敗れました。
立ち合いで優位に立ち、爆発的な出足で土俵際まで持っていくも、逆転を食うというものでした。
立ち合いでは勝てるし、そこから持っていくこともできる。でも、崩し切ることは出来ない。
不思議とこの傾向はこの場所以降も続きました。
霧馬山が霧島と名前を改めても、二人が相撲を取ると大体このような形になり、最終的に霧島が勝つ。
大栄翔も強くなっている筈なのに、そしてそれは成績からも明白なのに、土俵際までは持っていけるのに、何故かそこから勝つには至らない。
不思議な構図であるように思いました。
今日の取組は普段の構図とは異なるものだった
今日は霧島に綱取りという重圧がかかる中での一番でしたが、少し様子が異なりました。
大栄翔が立ち合いから持っていくことができなかったからです。
土俵際の逆転のシナリオを考えたうえで出力を落としたのか、それとも大栄翔の爆発力を受けられるまでになったのかは今の段階では分かりません。
ただ、五分のせめぎあいから優位に立ったのは霧島でした。
終わってみると攻める大栄翔、受ける霧島といういつもの構図ではなく、普通に霧島が攻防の中で勝ち筋を見つけたという相撲だったように思いました。
何が理由で大栄翔は今までのように立ち合いで霧島を持っていけないかは見えませんが、この状況で霧島は普段とは異なる展開にもかかわらず何事もなく実力者を制した。
1年でこうも変わるのかと驚かされました。そして驚くべきは、しつこいようですが大栄翔だって大きな上積みをしているにも関わらず、ということでした。
大栄翔からするとどのような気持ちになるのでしょうか。単なる悔しさとは別の想いが去来するのではないかと思います。
それくらい霧島は強くなっていますし、充実しています。
あと4日間、どんな相撲を取るのか。
特にトップの琴ノ若との取組が見逃せないです。