貴乃花が関取を育てた理由。

貴ノ岩が幕下筆頭で勝ち越し、来場所の十両昇進を決めた。
モンゴル人力士がまたしても出世する、
というニュースは一つの日常として捉えられており、
むしろ有望な日本人力士の昇進が珍しい「ニュース」になりつつある。
だが、貴ノ岩の昇進は単にモンゴル人力士が昇進した、
ということに留まらない意味がある。
そう。
貴乃花部屋初の関取誕生、ということである。
貴乃花部屋と言えば私も気になる存在で、
過去に「貴乃花が関取を育てられない理由」という
シリーズで書いたことが有るほどである。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nihiljapk/article/42
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nihiljapk/article/43
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nihiljapk/article/44
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nihiljapk/article/45
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/nihiljapk/article/46
かいつまんで説明すると、現役時代のエキセントリックな印象から、
引退直後に有望な弟子が集まらなかったこと、
サポーター制度の導入に伴う支援者の離脱、
日本人よりもポテンシャルに勝るモンゴル人ですら育てられない指導力、
そして現役時代の偉大すぎる成功事例を弟子にも求める、
スーパースターが指導者に転身した時に陥りがちな
負のサイクルにハマっているというのが私の分析だった。
だが、この分析は今は当てはまらない。
何故なら、モンゴル人力士を関取に育て上げたからだ。


この客観的事実を元にして、貴乃花部屋が何故
貴ノ岩を関取に出来たかを考えてみた。
言いかえると、今の貴乃花はモンゴル人エリートであれば
育てられる可能性が有るのだ。
この1点にフォーカスすると、貴乃花部屋は一つの
水準を満たしたと言える。
つまり、指導力に於いて一定の成果が見られたということである。
モンゴル人エリート「すら」育てられなかった、から
モンゴル人エリート「は」育てられる。
これは大きな前進だ。
外国人力士しか関取に居ない部屋というのは多い。
井筒部屋然り、宮城野部屋然り。
かつての名門ですらこの状況なのだから、
これは取り立てて特別なことではない。
そして、貴ノ岩の出世は決して遅いわけではない。
2年足らずで幕下を通過するのはやや遅いのだが、
彼の場合は怪我で一度三段目に転落している事情が有るため、
寧ろ早いとも言える。
そして今年で引退から10年近くが経過しつつあることも
貴乃花にとって一つの追い風となっている。
時と共に彼の現役時代のトラブルの記憶が
薄らぎつつあるということである。
また、朝青龍の品格問題や八百長問題に伴い、
怪我をしながらも横綱を務め上げた人間性や
ガチンコ力士として無理をしながら身体を作り、
ハワイ勢のスーパーパワーに正面から挑んだ気高き現役時代が
再評価されたという追い風も有った。
今までは入門することの無かった大卒エリートも
遂に貴乃花部屋の門を叩き、彼は早くも幕下にまで昇進している。
指導力が一定に有り、人材が集まる。
あとはこれを継続するだけである。
彼の指導が今どのような状況かは分からない。
だが天才に陥りがちな、己の現役時代と同じアプローチを求める
行為を繰り返しては、結局そのアプローチを有る程度
再現できる人材だけしか育てられず、
結局外国人力士しか育てられない部屋の枠を越えられない、
ということも想定される。
つまりは、これからなのだ。
マラソンの瀬古は、結局誰も育てられなかった。
野球の王貞治は、一度は指導者失格の烙印を押されながらも、
福岡の地で生卵をぶつけられて変わった。
貴乃花はどうなるのだろうか?
興味は尽きない。
なぜなら、彼が貴乃花だからである。

貴乃花が関取を育てた理由。” に対して 2 件のコメントがあります

  1. はじめまして。 より:

    今回の投稿ありがとうございます。
    私は第三者ではありますが、貴方が「貴乃花が関取を育てられない理由」というシリーズを書いていて、かなり貴乃花に批判的であったようなので、さすがにスルーするのはどうかと思ったものです。
    ところで質問ですが、貴方は、親方・指導者としての貴乃花に期待していますか?
    また、今回の新十両・貴ノ岩は才能のあるアマエリートだと思いますか?
    私はどちらも期待しすぎてはいけないレベルに見えてしょうがないのです。

  2. Nihiljapk より:

    >ウィンストンさん
    そうですね。
    力士としては一本気で妥協を許さない姿勢が
    大横綱たらしめていたのですが、
    その一本気さ故に周囲とのトラブルが絶えず、
    且つ超人にしか理解できない教え方をしていることから
    万人向けの指導者ではないと思います。
    一歩引いたところで見ているとハリウッドスター的で
    面白くもあるのですが、当事者としては大変だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)