女性医師の救命行為へのアナウンスに批判の声が上がることへの、複雑な思い。これは、難しい話だ。
難しい話だ。
少なくとも私はそう思った。
舞鶴市での大相撲巡業中に、挨拶をしていた市長が倒れた。そこに救急で女性の医師が現れたのだが、土俵に上がらないようにアナウンスが流れたのだという。
嘘のような話だ。フィクションとしてこの話を読んだとしたら、こういう形で問題提議をする書き手の悪意に私は腹を立てることだろう。それほど現実味の無い話だ。
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だが、これは本当の話だ。
その究極の状況は現実に起きたのだ。本来女性を土俵に上げることは許されない。大阪府知事が上がる上がらないで議論が起きたこともあった。
あの時は容認を訴える意見もあったが、「そういうものだ」が勝った。良いとか悪いとか、そういう類の話ではない。そういう在り方でここまでやってきたのが大相撲という世界なのだ。それ以上でもそれ以下でもない。
しかし、今回は「そういうものだ」が揺らぐ状況である。非常事態なのだ。誰かが適切に処置すれば、市長の危機は未然に防ぐことが出来る。
土俵に上がってはいけない。
だが、そうも言っていられない。
こういう時、どう判断すれば良いのか。
一番最初に考えるのは、土俵から下ろす方法だと思う。だが、状況がそれを許さなかった。そしてもう一つ考えられるのは、医師が土俵の外から指示を送ることで対処出来ないか、ということ。だが、土俵から下ろすことも許されないのだから、あらゆることをかなぐり捨てねばならない状況であることも明白だ。
命を救うのにベストなのは、土俵に上がることだった。
幸い市長は一命をとりとめた。この判断が、命を救った。これで良かったと個人的には思う。
ただ、本来のしきたりが破られたところに複雑な思いが無い訳ではない。しきたりと命の両方を守れなかったのかというところに想いを馳せたからだ。
彼女を土俵に上げたことは英断だ。英断を英断たらしめる文化が大相撲にはある。一度踏み止まる方がむしろ自然なのである。
理屈ではないところに文化があり、その数の多さが大相撲を大相撲たらしめている。究極の状況で理屈ではない部分に残ってしまったことに複雑な想いを抱く反面で、その難しさが存在することは確かだ。
今回のアナウンスを猛烈に批判していただいて構わない。人として何を優先すべきかを考えることが必要なのだ。
理解は要らない。
擁護もしない。
ただ、言わせて欲しい。
これは、難しい話なのだ。
お知らせ
◆トークライブのお知らせ◆
4月7日18時より錦糸町丸井のすみだ産業会館でトークライブ「第6回幕内相撲の知ってるつもり⁉︎」を開催します。今回も週末に実施しますので、皆様奮ってご参加ください。テーマは「新弟子」。既にデビュー場所の成績と最終地位の関連性という衝撃のデータが解明されています。是非お越しください。
◆幕下相撲の知られざる世界感謝祭のお知らせ◆
4月21日15時30分より阿佐ヶ谷「ろまんしゃ」にて観戦会を開催します。
今回は相撲をお好きな方が集まり、ゆったりとお話しいただくイベントです。
基本的には交流を深めていただくことを第一に考えておりますが、余興として「私の心の一番コンテスト」の開催を予定しております。店内のオーディオを用いてインターネット上の映像を流しながら思いの丈を語っていただくことも可能ですので、是非ご用意ください。グランプリの方には景品も用意いたします。
なお、参加者が10人に満たない場合は場所も含めて変更の可能性がありますので、あらかじめご了承ください。あと、今回は15人限定でのイベントですので、予約が遅れると参加できない可能性が高いです。参加をご希望の際はお早めに予約サイトよりご予約ください。
・参加費 3000円
飲み放題(特定のお酒、ソフトドリンクのみ)食べ物は各自の持ち込みのみ。自由に持ち込んでいただけます。
・19:00からは通常営業になりますので、19時以降残る方はチャージ500円、あらためて飲み物のご注文をいただき飲み放題ではなくなります。
千代の富士の娘、秋元梢さんは九重部屋の土俵で餅突いてます。
>>https://news.biglobe.ne.jp/entertainment/1230/nrn_171230_1209040300.html
「稽古場の土俵で、巡業の土俵とは違う」「ブルーシート敷いてある」「梢さんは先代のお嬢さんだから」どれも女人禁制の例外の理由にはなっていない。実質、女人禁制も形骸化しているのではないか。
倒れた舞鶴市長の容体は安定しているようだ。ただ、市長自身が現役の医師なので「体調が悪ければ自分でわかるだろう」という言いがかりに近い書き込みも散見された。炎上が飛び火している。くも膜下出血で倒れた市長を叩いてどうするつもりだ。こっちのほうがタチが悪い。
しまいには動画サイトにアップしている方にも飛び火しそうだ。叩き出したらキリがない。
問題の場面が何度もテレビで放映されていましたが、そもそも、他人様が心臓マッサージを受けている場面をずっと撮影してる人間の神経もどうかしている訳で、そういう『どうかしている人間』と共存していかなければならない社会を、私は世知辛い世の中になったなと思うわけです。