舞の海の解説が、賛否両論ある理由とは?前編
舞の海による解説をどう思うか?
私の周りでは、月並みな表現ではあるが
賛否両論である。
そして特徴的なのが、概ね2つの意見に分かれる。
1つは、
「辛口だが正論。理論的で分かりやすい」
というもの。
そしてもう一つが、
「偉そうに批判ばかりで、その上うるさい」
というもの。
同じ言動を受けてのものだが、
ここまで評価が異なるのかと驚かされる。
では、なぜこのような評価を受けるに至るのか。
それは、彼の解説には以下のような特徴が有るからだ。
まず、辛口の解説だということ。
辛口であるポイントは、一言で言うと
努力や工夫が足りない点である。
具体的には、このようなことを指摘している。
・稽古が足りない
・自身の弱点が克服できていない
(同じミスを繰り返している)
・相手の傾向と対策を踏まえずに
無理やり自分のスタイルで押し通す
つまりは、ベストを尽くさない結果
成長できていないということを批判しているのだ。
これは舞の海が現役時代小兵で、
苦労して体を作り、また技のバリエーションを増やして
且つ対戦相手の研究を日々欠かさなかったことを
踏まえたうえでのことである。
身体的なハンデを背負いながら努力と
工夫でのし上がってきたからこそ、
そうした部分を怠っている力士が許せない。
合点のいく話ではないか。
そしてもうひとつの特徴が、
取組中の気づきや力士に関する情報量が非常に多い、
ということである。
力士時代に技巧派であった影響からか、
彼の解説は他の親方には無いポイントに関する指摘が多く
ああなるほど、と思わされることも多い。
論じられることの少ない技術に関する話や
対戦中の心理描写について舞の海くらいしか
語らないのには理由が有る。
相撲解説者の大半が力士時代に大関や横綱といったように
抜きんでた実績が有ることから、これらは
彼らがあまり重んじてこなかった。
強者の論理が語られることは有っても、
弱者の目線からの解説が為されることは無かった。
また、彼の解説には力士の身内やバックボーンに対して
言及するケースも非常に多く、
「相撲」誌でしか得られない情報が舞の海経由で
得られるというメリットも有る。
と、ここまで舞の海の解説について説明してみたが、
肯定的に受け止められる場合は
これらの言葉を言葉のまま理解すればよいだけである。
だが問題なのは、彼の言葉は額面通りに
受け止められないことが有る、ということだ。
では何故舞の海の解説は素直に受け止められないのか。
続く。