相撲マイナー国出身力士を追え!part1 アルゼンチン・イギリス・カザフスタン・カナダ編
ここ15年で、番付に顔を出している力士の
外国人比率が飛躍的に向上した。
顔ぶれを見て思うのが、モンゴル人が非常に多いこと、
東欧の国が増えたこと、そして何より、
幕内力士の半数近くを外国人が占めるようになったこと。
エストニアやグルジア、ブルガリアの有力選手と聞けば
一昔前では前田日明の格闘技団体「リングス」を思わせるが、
格闘技が下火の今、飯のタネを求めて人材が
相撲に目を向けているのかもしれない。
この事例を考えると、年代によって来日している
外国人力士にはトレンドが有るかもしれない、ということ。
そこで私は今回、モンゴルやアメリカといった相撲メジャーでない
相撲マイナー国の過去の力士について振り返ってみようと思う。
◆アルゼンチン:
過去に来日した力士:2名
星誕期(最高位:十両3枚目)
星安出寿(最高位:十両2枚目)
相撲マイナー国の先陣を切るのが、サッカー大国アルゼンチン。
マラドーナやメッシを送り込んだスポーツ大国は
2名の十両力士を既に誕生させている。
共に1980年代後半に来日し、2000年代まで息の長い活躍を見せている。
十両経験も長いのだが、幕下落ちした後も相撲を取り続け、
十両返り咲きを目指していることも面白い。
ちなみに共に陸奥部屋。
そして実績以上にそのネーミングセンスである。
アルゼンチンだから「タンゴ」と「アンデス」。
日本人プロレスラーが「カミカゼ」や「フジヤマ」を
枕詞に付けられることと近いのかもしれない。
星安出寿。
何故この当て字だったのだろうか?
爆羅騎の源流がここに有るということか。
◆イギリス:
過去に来日した力士:1名
英ノ国(最高位:序二段 89)
イギリスのような先進国から角界入りした力士が居たこと自体、
新たな発見である。
この英ノ国は、デビューから2場所連続勝ち越し後、
2場所の休場を経て引退。
東関部屋でこの時期に入門となると曙が思い出されるが、
高見山がハワイから7名入門した中での出来事である。
ちなみに英ノ国ともう1名は早期引退しているのだが、
他の力士は日本の水が合ったのか、
幕下上位(高見旺、高見州、大空)や十両(大喜)にも顔を出している。
イギリス出身力士だったことも有り、大きな注目を集めたが
皮肉にもそれ故いじめに遭い、また部屋にも馴染めなかったために
部屋から脱走したというのが引退の真相のようである。
◆カザフスタン:
過去に来日した力士:1名
風冨山(最高位:幕下10)
ツールドフランスの有力選手やボクシングのヘビー級でも
チャンピオンを送り出している、隠れたスポーツ有力国:カザフスタン。
現役力士である風冨山は既に10年角界に在籍しているが
コツコツと番付を上げて幕下上位まで昇進したものの、
そこから先の壁が厚く、停滞。
怪我での4場所連続休場後は本調子になかなか戻らず、
三段目で一進一退を繰り返すも、最近は復調し
ここ1年で幕下上位に返り咲いた。
今後十両昇進に向けて正念場が続く。
カザフスタン人ということで隆の山のような
風貌を想像していたが、見た目は完全にアジア系。
元は風斧山という名前だったのだが、最近改名。
個人的には以前の名前の方が風流な印象なのだが…
◆カナダ:
過去に来日した力士:1名
琴天山(琴天太 最高位:幕下43)
私の母すら知っている、マイナー国の中の超メジャー力士。
幕下43枚目の琴天山が何故有名なのか。
それはデビューから21連勝で、無敗のまま引退したからである。
レスリングの世界ジュニアチャンピオンの超エリートで、
今で言うところの琴欧洲のような大器だったことから、
佐渡ヶ嶽部屋の期待も大きかったのだが、
各界に馴染めなかったために僅か3場所で失踪。
そのまま引退となった。
その後すぐにプロレス転向。
全日本プロレスからアメリカWWFに移籍後、
天龍源一郎のSWSにも参戦。
元横綱双羽黒の北尾浩司と対戦した際は、
プロレス経験の浅い北尾をテンタがリードして
試合を成立させるというプロレス巧者ぶりを発揮。
アマレス・相撲・プロレス共に光る才能を見せつける。
ちなみにアメリカでのリングネームは「アースクエイク」。
濃い髭とハゲ頭が特徴的で、元力士と知らず
ジョン・テンタの名前だけを知っている人も多い。
2006年、死亡。
相撲を続けていたらどうなっていたのか。
しかし勿体無い逸材だった。
続く。
風斧山って改名してたんですね。てっきり間違えてるのかと思いました。
わたしがすぐに思いつくのは、相撲マイナー国というか、相撲を見ていなければ知りもしなかった国出身の「酒か相撲かドッチだ」のあの人ですね。
次も期待しています。