相撲マイナー国出身力士を追え!part2 スリランカ・トンガ・パラグアイ・ハンガリー編

今回、モンゴルやアメリカといった相撲メジャーでない相撲マイナー国の過去の力士について振り返る。

第一回で早くも星安出寿や琴天山などといった知ってる人は知っている力士が登場したが、今回はどうなるのか。

世代によってこうした力士については知らない方も居ると思うので、過去の個性派外国人力士を紹介する機会としてこの記事を捉えて頂けると幸いである。

では、今回はスリランカから。


◆スリランカ:
過去に来日した力士:1名
・栃大海(最高位:序の口34)

紅茶の国スリランカからやってきた力士は、史上ただ一人。

「井の中の蛙、大海を知らず」。

井の中の蛙たる日本人力士に、大海たる実力を見せつけてほしい、そうなって欲しいという想いで命名したであろうこの名前。

曙も一度「大海」を名乗っていた時代が有り、外国人力士を弟子に取るとこの名前を付けたくなるらしい。

千代大海は知らないが…

だが、その想いは叶わず、番付に名前が載ったその場所に一番も取ること無く引退。脱走でもしたのだろうか?

調べてはみたが、事情は分からない。

春日野部屋に所属していたので、何か分からないものかと他の所属力士を調べてみた。

栃赤城、栃司、栃天晃、栃乃和歌。

これと言って思い当たる節は無いが、スリランカ人が単身で飛び込む世界にしては先輩力士のアクが少々強すぎるのでは?という印象は抱いた。

◆トンガ:
過去に来日した力士:8名
代表的な力士
・福ノ島(最高位:幕下27)
・南乃島(最高位:幕下21)

ラグビーだと日本代表とも互角の、南国の島国:トンガ。

日本代表にもラトゥなど、トンガ人が在籍していた時代も有る。

体格も日本人と比較して見劣りせず、パワーとスピードを兼ね備えている、となると
相撲にも適性が有るのでは?と想像するのだが、なかなかこれが上手くいかない。

調べてみると、1970年代半ばに朝日山部屋で6名在籍していたのと2001年に田子ノ浦部屋と武蔵川部屋に1名ずつ在籍していた
という経緯が有るらしい。

だが1970年代の6名は、1976年9月に全員引退している。

一体何が有ったのか?

どうやら親方の逝去に伴って、お家騒動が起こり、全員廃業に至ったそうである。

ちなみに入門についてはトンガ国王の命で
朝日山親方に連れられてのものだったとのこと。

国王の息が掛かっているのに、内ゲバで廃業となると国際問題に発展しなかったのかが不安である。

ちなみに福ノ島についてはその後「キング・ハク」などのリングネームでプロレスで活躍。日本だけでなく、アメリカのメジャー団体・WWFやWCWでも実績の有るレスラーである。

2004年に新日本プロレスに参戦するなど、短命な業界で非常に息の長い活躍をしている。

◆パラグアイ:
過去に在籍した力士:1名
若潮(最高位:三段目76)

南米のサッカー強豪国:パラグアイ。

日本代表が先のワールドカップでPKの末に敗れたことでも広く知られており、ゴールキーパー チラベルトを覚えている方も多いことだと思う。

そんなパラグアイ出身力士は1985年に初土俵を踏んだ若潮只一人。

序二段で一進一退を繰り返し、三段目に一時は昇進したものの序二段からは抜けられず、4年後に引退。

名前を見てみると、宮脇という日本名が付いている。事情を調べても資料が無かったのでここからは完全に想像だが恐らくパラグアイの日系人で、国籍的にはパラグアイだが育ちは日本だった、ということなのではないかと思われる。

同様のパターンだと元ヤクルトスワローズのエース:岡林投手が居た。

1992年の西武ライオンズとの「史上最高」とも形容される日本シリーズで第1、4、7戦と先発した、あの岡林。

ちなみに全くの偶然か、何かの縁が有るかは判らないが、岡林と若潮は同じ昭和44年生まれである。

◆ハンガリー:
過去に在籍した力士:1名
舛東欧(最高位:幕下22)

投擲種目やレスリングなど、いわゆる東欧が幅を利かせる種目に於いて今でも強いハンガリー。

恵まれた体格から並はずれたパワーを武器に黒人が参入していないパワー系競技で秀でた成績を残している。

舛東欧もスポーツエリートで、レスリングの国内大会を優勝しつつ相撲も始め、国際大会で結果を残して大相撲入りを決意。

三段目まではトントン拍子。

3年近い下積みを経て、幕下昇進。

しかし、このクラスの力士にしては珍しく、幕下・三段目を行ったり来たり。

そうこうしている間に昨年大怪我。

序の口まで番付を落としたが、ここ3場所で大きく星を戻し、来場所は幕下まで戻れるところまで来た。

幕下30~50枚目に大きな壁が有り、
この地位だと大負けするので、2歩進んで5歩下がるのが勿体無いところ。

ちなみに「舛東欧 旭」
旭と書いて、アキラ。

彼を何故小林旭に準えているのかは不明。

部屋のホームページの一言欄は、

「外人です、ヨロシク」。

…ヨロシク。

続く。

相撲マイナー国出身力士を追え!part2 スリランカ・トンガ・パラグアイ・ハンガリー編” に対して1件のコメントがあります。

  1. ハンガリー より:

    いつも楽しく読んでいます。
    ハンガリーの力士ですが、下のサイトを読むとお父様が日本人、お母様がハンガリー人という方も1名入門されていたようです。
    http://pub.ne.jp/mitsuhiro_inoue/?entry_id=4195991

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