【個性派列伝】Vol1.深尾(明瀬山) 其の2

異色の大卒エリート、深尾(明瀬山)。
実力者なのだが、誰もが衝撃を受けるのが
いわゆるデブ的な体型であること。
最初に観たのが2年前だったのだが、
時と共にこの問題は解消され、
いわゆる力士的な体型に変貌していくものだと
高をくくっていた。
だが、深尾はそれほど甘くはなかった。
なんと、日を追うごとにだらしなさが
増していくのである。


ブヨブヨの身体はドラゴンボールの序盤に登場した、
かめはめ波の通用しないブヨンを思わせる。
この言葉だけを捉えると、
巨漢力士が体格にモノを言わせて
体格に劣る連中を葬り去る、
いわゆる「柔良く豪を制される」類の力士であるような
印象を受けるかもしれない。
確かに深尾は体格的に恵まれているが、
180キロ程度では圧倒的なアドバンテージにならないのが
大型化した近代相撲なのである。
体格も一つの武器であることは間違いないが、
深尾はスピードと対応力で相手を追い詰める。
だらしない身体からは思いもよらないような
速度で先手を取り、気が付くと深尾の形になっている。
そして、ここで身体が活きる。
抵抗しても体格によるアドバンテージが利いて、
優位が揺らがないのである。
故に深尾に勝利するには、
深尾を上回るスピードで対抗するか、
もしくは正面から深尾の形を破壊するか、
という手段が考えられる。
だが、ここでも深尾の身体が活きてくる。
スピードを持っても正面衝突しても、
深尾の身体が待っているので、
一気に決めなければ捕まえられてしまう。
長期戦になれば、体力が有る方が勝つ。
密着しているだけでも相手は自然と消耗する。
これぞ、深尾地獄である。
ちなみに新日本プロレスでは
これと同じ原理で関節技に持ち込み、
これを受ける若手が失神するまで抑え込む、
いわゆる「ラッパ」という伝統的な新人イビリの
手法が有ることを付け加えておく。
体格とスピードと対応力。
これを武器に幕下ではトップクラスの実力者の深尾。
めでたく十両に昇進するも、
今場所は大きく負け越し、幕下に帰還することが決定した。
結局まだ、十両に定着するには足りないのである。
では何が足りないのか?
続く。

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