豪栄道・栃煌山対策が整えば、横綱昇進? この1年の稀勢の里の成長と課題をデータから考える。

この1年の相撲を振り返る。
白鵬の「巨人 大鵬 卵焼き」をも凌駕する圧倒的な強さ。
遠藤、大砂嵐の台頭。
雅山・高見盛の引退による、一つの時代の終焉。
そして何よりも、稀勢の里の成長と落胆。
強過ぎる白鵬の存在感が有り過ぎて、
時代が動かないままここ数年が過ぎているのだが、
日馬富士と共にワンマッチではその時で
勝負の趨勢が変わるほどの存在に成長した。
しかし、精神的なものに原因を求めるしかない形で敗れている。
千秋楽の弱さなどはその最たるものだろう。
とはいえ、それはあくまでも我々の主観に基づく分析だ。
そこで、今回は稀勢の里のここ最近の変化について
データを元に検証していきたい。
彼についてよく語られるのが、
・終盤の重要な局面で勝てない
・序盤の取りこぼしが多い
ということである。
しかし、稀勢の里自身はこの1年で優勝争いに
名を連ねるところまで来ている。
一体何が変わって成績が伸びたのか?


終盤の弱さと、取りこぼしの多さ。
この二つを過去2年と1年の敗戦数から検証してみたい。
基準は終盤の勝てなさ(11日目~15日目の敗戦数)と
取りこぼしの多さ=序盤(~10日目までの敗戦数)とする。
また、それを他の力士と比較することで
その傾向を明らかにしていこうと思う。
◆表1:過去2年の11~15日目までの敗戦数合計
12年 13年
白 鵬 7敗 6敗 -1
日富士 12敗 10敗 -2
稀勢里 17敗 9敗 -8
鶴 竜 14敗 19敗 +5
終盤半分も勝てていなかった2年前とは違い、
今は5日で3,5勝が期待できる状態にまで成長したのだ。
これを何に要因を求めるかと言えば
・苦手の把瑠都の引退
・同じく苦手の琴欧洲の克服
・同じく苦手の日馬富士の克服・得意力士に
・白鵬も克服しつつある
ということであろう。
新たな苦手として琴奨菊が居ることによって
数値的な伸びは少し抑えられてはいるのだが、
それでもこれは、立派な成長である。
特に、日馬富士と鶴竜の数値を見ていただきたいのだが
彼らは2年前と1年前では全く傾向が変わらない。
そして、敗戦数も変わらない。
大関・横綱になってから傾向が変わるということが
なかなか出来ないことだと思い知らされる。
◆表2:過去2年の1~10日目までの敗戦数合計
12年 13年
白 鵬 7敗 2敗 -5
日富士 9敗 11敗 +2
稀勢里 12敗 13敗 +1
鶴 竜 16敗 17敗 +1
このポイントについては、2年前と変化していない。
稀勢の里にとっての課題は、正にここなのである。
しかも、稀勢の里については序盤の取りこぼしは
誰彼構わずやらかしているわけではない。
◆表3:最高位:関脇以下の力士で、稀勢の里が
 過去2年に敗れた主な力士
・豪栄道:6敗
・栃煌山:5敗
・安美錦:3敗
・妙義龍:2敗
・千代大龍:2敗
※この2年で1度だけ敗れた力士は、
 豊ノ島、栃乃若、時天空、松鳳山、隠岐の海のみ。
苦手力士も特定されている。
彼は誰でも敗れるわけではない。
時に隠岐の海に敗れることも有るが、どちらかと言えば
傾向として克服できていない方を先に着手するのが
問題解決としての優先度は高い。
結局平均すると、10日目終了時点で2敗している計算になる。
優勝ラインを14勝と考えると、終盤戦に差し掛かる前に
ほぼ脱落してしまう。
逆に考えると、終盤の弱さというのは改善しているので、
今着手すべきは序盤の苦手を克服することに有る。
5力士を全てカモにすることは、現実的ではない。
ならば、序盤の敗戦の約半数を占める、
豪栄道と栃煌山を何とかすること。
相撲は算数ではない。
だが、仮にだ。
仮に、豪栄道と栃煌山を相手に全勝したとすると、
稀勢の里の勝率は、過去2年で11減少する。
すると、1場所辺りの勝利数が1上昇する。
結果、この1年での勝率は12.5勝となるのだ。
13勝だった場所は、14勝になる。
そう考えると、今の稀勢の里がこの苦手を克服したと
仮定すると、好調の場所ならば優勝ラインに達する。
今、稀勢の里がすべきことは、
白鵬・日馬富士対策よりも、豪栄道・栃煌山対策だ。
苦手の克服は、相性もあるので非常に難しい。
だが、この2年で琴欧洲・日馬富士・白鵬を克服してきた
稀勢の里ならば、私は出来るのではないかと思う。
そう。
稽古場で高安を相手に32戦31勝する、
そんな稀勢の里なのだから。
【謝罪】
昨日は、Ustream配信を実施しましたが、通信の関係で
皆様にご迷惑をお掛けいたしました。
大変申し訳ありませんでした。
音声が途絶え、通信も途切れ途切れの中、
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豪栄道・栃煌山対策が整えば、横綱昇進? この1年の稀勢の里の成長と課題をデータから考える。” に対して1件のコメントがあります。

  1. 臼田 より:

    素晴らしい考察だと思います。私が思うのはもう一つ、15日間をどう戦い抜くかという点も大きいのでは?ということです。全ての取組に100%の力を発揮したのではやはり体力が持たない。中盤まで7~8割の力で対処し終盤にピークを持っていく。九州での稀勢の里は前半の取りこぼしにも集中力を切らすことなく見事14日目、千秋楽にピークを持っていった。精神力の成長を感じました。そこで万歳の是非ですが…。応援の仕方のガイドラインをとも思いながら以前も度を超したファンはいたわけで、ましてアルコールの入った観客が結構いる興行ですから…。でも力一杯出し切った取組への賛辞であるならば有りなのかも知れないと思います。土俵内外での素行の悪さが目立った力士が去り、相撲そのもので館内を盛り上げるようになったのです。今はそれで良しでしょう。

  2. 北の湖ファン より:

    具体的で非常にわかりやすく現実的な対策です、すごい整理されてますね。
    確かに、豪栄道と栃煌山にはよく負けている印象でしたし。
    データで見るとこんなに負けているんだと正直思いました。
    横綱を狙う人が、下位に2人も苦手がいたら横綱になれないのは納得しましたね。
    大関昇進の3場所平均11勝とはわけが違いますから。
    大関や横綱相手に苦手がいる横綱は今までいましたが、下位に苦手がいたら横綱には絶対なれないのは当たり前でしょう。
    ただ、なんで白鵬や日馬富士に勝てるのに下位に負けるのかという原因が気になる。心技体の「技」が足らんのかな?

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