関取に成れるのは、学生横綱クラスだけ?ここ数年で入門した学生相撲出身力士の現状を探る。

学生相撲出身力士が、番付上位に顔を覗かせている。
番付の上位には、大学での相撲を経験している力士が
非常に多いように思う。
妙義龍に松鳳山、遠藤に千代大龍。
中卒叩き上げや外国人力士など、力士のバックボーンによって
それぞれ異なる色を出すものだが、学生相撲出身力士もまた
明確な色を持っている。
そして、その色を彼らは発揮している。
言うなれば、巧さ。
上手さではなく、巧さ。
だが、最近の学生相撲出身力士を見ながら
気付いたことが有る。
ここ数年の学生相撲出身力士は、
実績有る力士しか関取になっていないのではないか?
考えてみると、遠藤や大喜鵬、千代大龍や常幸龍というのは
アマチュア時代から名の知れた力士である。
それ以外の力士って一体どうなのだろうか?
興味を持った私は、5年間でデビューした日本人の
大学出身力士をまとめた。
すると、3タイプに別れることが判明した。


◆昭和61年度生まれ
妙義龍:東前1(8勝7敗)
宝富士:東前8(8勝7敗)
徳勝龍:西前14(7勝8敗)
皇風:西下13(4勝3敗)
坂口:東下18(3勝4敗)
相坂:西三2(5勝2敗)
加美豊:西三15(3勝4敗)
中野海:引退
◆昭和62年度生まれ
水戸司:東三52(4勝3敗)
棚橋:西三63(全休)
千代桜:引退
◆昭和63年度度生まれ
千代大龍:東前6(11勝4敗)
常幸龍:東前12(3勝12敗)
入江:西下3(3勝4敗)
新栄山:東三20(6勝1敗)
貴麻衣:東三69(全休)
謙豊:東二1(5勝2敗)
徳大宝:西二22(3勝4敗)
◆平成元年度生まれ
大喜鵬:西十9(8勝7敗)
濱口:西下56(全休)
岩崎:西下15(4勝3敗)
◆平成2年度生まれ
遠藤:前7(6勝9敗)
古場:西三11(6勝1敗)
朝西村:東三57(3勝3敗1休)
・タイプ1:関取として、成績を残している
・タイプ2:怪我の影響で、本来の実力を発揮できていない
・タイプ3:関取になる手前で、実力的な壁に直面している
学生時代から圧倒的な成績を残している力士は
最近のトレンドとして関取としても安定している。
(大喜鵬はそういう意味では例外的な見方をした方が良いのかもしれない。)
そして、圧倒的でない力士のトレンドとして
怪我の多さが挙げられる。
20人足らずの中で4名が先場所は休場有り。
そして、2名は既に引退しているのだ。
これはあくまでも仮説だが、大相撲入り後に番付を駆け上がり、
自分の実力の限界レベルまで番付が上がると
これまでとは異なる相撲の質が待ち受けている。
大相撲の、この番付特有の相撲に適応する段階の力士達は、
ここで無理をしてしまう。
十両に昇進したての力士が、大怪我をして1年近く休むのと
同じ構図ではないかと思う。
土俵の上で相撲を取る。
同じ協議を同じように続けるだけのはずなのに、
その特性は全く異なる。
常幸龍はまだ立ち合いで立ち遅れる傾向に有るし、
大喜鵬は大相撲の怖さに直面している。
そう。
アマチュア相撲界では超エリートの彼らですら
こうした問題を抱えているのである。
そしてもう一つ気がかりなのは、
学生相撲経験者の入門が大変少ないこと。
学生横綱クラスとあと2名程度という年が続いているのだ。
もう少し多いと思いきや、である。
これだけ大相撲に対してネガティブなニュースが数年前に世を賑わし、
そして学生相撲経験者にとって厳しい現実が上記のように
示されているのだから、この世界に飛び込むのに二の足を踏むのは
ある意味健全なことなのかもしれない。
超人に成ることよりも、現実的な安定を取る世の中は
真っ当なのかもしれないが、寂しいことでもある。
だからこそ、学生相撲出身力士たちが彼らにしかできない相撲で
大相撲を盛り上げることこそ必要になると私は思う。
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