幕下相撲は、年収100万円の力士の織り成すエンターテイメント。精一杯が生み出す「仕方ない」を考える。
当ブログでは、「幕下相撲の知られざる世界」と銘打ち、
幕下の持つ人間としての弱さ、強さ、
歪な力士が織りなす人間模様について2年半語ってきた。
歪だけど十両や幕内では観られない面白さ。
そして、他のスポーツでは観られない
経済的なストイックさやコンプレックス。
そこから来る、特権階級に対する渇望。
これは、幕下ならではのものである。
先日三重から来た方が話していてなるほど、
と思った言葉を紹介したいのだが、
停滞力士の落ち着く三段目は、甘えの三段目という事例も
多いのだという。
相撲界に身を置き、立身出世を目指す力士という生き方も有る。
だが、三段目というのは相撲界しか知らない力士が
見切りを付けるでもなく、強くなることを目指すでもなく、
今まで相撲の世界でしか生きていないので、
モラトリアム期間として相撲を取っている事例も
非常に多いのだという。
だが、幕下となるとなかなかそうはいかない。
相撲界のピラミッドで言えば、上位三分の一に含まれるカテゴリなのだ。
確かに技量も足りないかもしれない。
体格も足りないかもしれない。
そして、心も足りないかもしれない。
しかし、彼らも十分凄いのだ。
それでも、年収は100万円に過ぎない。
私は幸せなことに、その面白さと辛さについて
吐合という力士が連勝を重ね、最後の最後であの里山に
敗れる様を目の当たりにすることで理解するようになった。
勿論吐合には勝ってほしい。
思い入れが強いために、取組終了後20分程度
脱力感に苛まれることも事実である。
だが、最近では負けた後に激烈な口惜しさを覚えることは無くなった。
理由は二つある。
一つ目が、これは前から話していることだが、
周囲の力士にも負けられない背景が有り、そして
等しく努力していることを知ったからだ。
笹ノ山に敗れれば、木瀬部屋期待のホープだということや
最近怪我で番付を落としていたこと、
そして下から迫ってきた兄:笹山の存在に思いを馳せる。
清瀬海さんが期待の若手だと話していたことも脳裏に過る。
幕下力士の数だけ人生が有り、
努力していない力士など存在しない。
そして、怪我をしていない力士も皆無だ。
知れば知るほど、あの力士に負けたら仕方が無いと思えるし、
あの力士が勝ったことも一つの歓びになる。
そしてもう一つが、精一杯さが分かるからだ。
以前は頑張りを知れば知るほど、努力が報われて欲しい
という想いを強烈に抱いていたし、
今でもそれは変わらない。
だが裏を返すと、精一杯やっても結果が出ない時も有るのだ。
誰もが勝つために手を尽くしている。
その力士の日ということも有る。
そして、自分の日ということも有る。
これだけやっても結果が出ないのであれば、
それは仕方が無いことなのである。
故に私は最近、幕下相撲を観ている時の口癖が
「仕方ない」に成りつつある。
繰り返し言うが、勿論私は贔屓の吐合には勝ってほしい。
兄や母からLINEで吐合の結果も仕事中に飛んできて、
一喜一憂するのが本当に楽しい。
そう。
それらを踏まえたうえでの「仕方ない」なのだ。
あと3日。
幕下相撲が一番面白くも切なくもある、7日目。
精一杯の結果は、結果である。
そして、大相撲は結果が全てだ。
結果の世界の重みを知るからこそ、死力を尽くす。
十両や幕内には無い、ある種のストイックさに目を向けて頂けると
こんなに嬉しいことは無い。
明日3勝3敗の吐合は、学生相撲出身の古場と対戦する。
どんな結果でも、私は受け入れる。
それが、吐合の精一杯の結果だから。
◇お知らせ1◇
先日1/25に人数が集まればオフ会を開催する、
と告知しましたが、時間が急だったことも有り
中々難しいことが判明しました。
仕切り直してまた別日に実施いたします。
ただ、1/25にまた当日自由席で観戦しようと考えております。
6時30分に国技館前で白鵬キャップを被っておりますので、
もし当日自由席での観戦をご希望の際は
前もってご連絡ください。
◇お知らせ2◇
Facebookページです。
限定情報も配信しています。
https://www.facebook.com/nihiljapk
◇お知らせ3◇
相撲Wikiを作成しました。
相撲観戦の充実のためにも、是非書き足していただければ、
と思います。よろしくお願いいたします。
http://w.livedoor.jp/sumo/