「優勝に準じた成績」で綱取りを迎えるには、印象的な取組を経る必要が有る。稀勢の里の最大の試練は、千秋楽に有る。

稀勢の里が、12勝2敗で千秋楽を迎える。
今日の取組の結果は、髷に手が掛かっての反則勝ち。
稀勢の里が土俵に落ち、日馬富士は足が残っていた。
そのため、土俵上の結果だけを観てみると
稀勢の里は敗れたような形になった。
これが死に体に対して結果的に指が入った負けであれば
単に運が良かったと言えるのだが、
引いた瞬間から指が入ってしまうと
どれほどの影響が有るのか窺い知ることが出来ない。
つまり、今回の結果に対して稀勢の里が未熟だったのか
それとも反則が無ければ有利な体勢だったのかが
全く不透明なのである。
影響が出るのは間違いない。
だが、あれが無ければ勝っていたとも言い難いし、
無くても負けていたとも言い難い。
何が一番困るか。
そう。
稀勢の里に対する期待値を、
どの程度持てばいいのかが分からないのだ。


もし明日、稀勢の里が勝ったとしよう。
すると間違いなく、来場所は綱取りが懸かることになる。
綱取りをするには、優勝に準じた成績が求められる。
この「2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績」
というのが通常であれば上手くバランスが取れていて、
普通は必ず上位の力士を相手に素晴らしい取組が取れていることになる。
実際、これまで綱取りを懸けた2場所の直前を考えてみると
名古屋場所の前は白鵬との全勝対決が有り、
そして初場所の前は白鵬との投げ合いを制し劇的な勝利を収めたことが有った。
成績もさることながら、稀勢の里は素晴らしい取組を見せることによって
たとえ優勝していなくても綱取りを賭けることに対して
ある程度の納得感を我々に与えてきたのである。
翻って今場所なのだが、稀勢の里は確かに安定している。
苦手の琴奨菊に勝ち、上り調子の勢との1敗対決を制し、
試練の両関脇とのデスマッチにも生き残った。
敗れてはいけない同格ならびに格下力士との対戦で
弱さを露呈したのは碧山との一番だけだったのだ。
これを成長と捉えることについて異論は無い。
だが、何かが足りない。
本来であれば、その納得感は白鵬ならびに
日馬富士との激闘によって得られるのだが、今場所はそれが無い。
そして、今日の取組に関して言えば日馬富士に対して
稀勢の里は強かったのか弱かったのかが全く見えなかった。
これは、稀勢の里にとっての不幸である。
つまり、このままでは納得感と期待感があまり高まらない状態で
ラッキーによる側面が強い状態で稀勢の里は綱取り場所を迎える。
そんな可能性が出てしまった。
そもそも優勝していないのに綱取りということに関して言えば
異を唱える声も大きい。
今までは印象的な取組を論拠としてそれに反論することが出来たが
このままでは綱取りを揶揄する声は更に増すだけに成ってしまう。
本来であればそうした声を一蹴するためにも
今場所優勝したうえで来場所綱取りすべきなのだが、
不本意な結果であっても綱取り場所を迎える可能性が有る。
だからこそ、明日が大切なのである。
稀勢の里にはまだ、優勝の可能性が残されている。
綱取りについて先を越された鶴竜に対して、
稀勢の里の強さを見せつける必要が有る。
そして、優勝に向けて可能性を残すと共に
結果として綱取りの大義も見出す必要が有るのだ。
そもそもこうした重圧の掛かる一番で、稀勢の里は期待を裏切り続けてきた。
稀勢の里の現在地を観る上で、鶴竜という相手と綱取りが懸かるという
シチュエーションは最適なのかもしれない。
稀勢の里が綱取りに値するか否か。
それは明日の土俵で明らかになる。
批判するのは、その後でも遅くはない。
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「優勝に準じた成績」で綱取りを迎えるには、印象的な取組を経る必要が有る。稀勢の里の最大の試練は、千秋楽に有る。” に対して1件のコメントがあります。

  1. 一相撲好き より:

    そもそも明日の一番が綱取りに直接かかわるかが疑問です。
    (決定戦に持ち込んだうえ、優勝できれば別ですが)
    白鵬戦で敗れた後の北の湖理事長のコメントからも、
    優勝以外の結果では、「来場所綱取り」とのお声はかからないかと思います。
    印象的な取組を論拠にして横綱昇進を論ずることは、
    必ずしも納得しない人たちが多く発生することにもなりかねず、
    やはり第一には結果を残して、誰からも文句のつけようがない形で、
    横綱に昇進してもらいたいものです。
    これまでの傾向からは、綱取りや優勝を意識してしまうと、
    本来ならば対戦成績の分がいいはずの鶴竜にも敗れてしまうでしょう。
    明日は、はじめから優勝はノーチャンスくらいの気持ちで迎えてほしいものです。
    今場所は今までと比較しても総じて安定感があったと思います。
    これまで大関で引退した力士たちも一度は賜杯を抱いた力士が多数です。
    綱取りはまず実際に一度優勝できてから論じるくらいのスタンスでいいように思います。

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