白鵬敗戦。リスクを伴う張り差しを選択した理由と、そこから見える現在の白鵬の強さとは?

白鵬が、豪栄道に敗れた。
豪栄道の内容は素晴らしいもので、
横綱を相手にミスらしいミスが一つも無く、
攻めて掴んだ勝利だった。
大関候補と言われ続けて数年。
関脇として安定した成績を残す一方で
大事な相撲で結果が残せない、
そして突き抜けた成績が残せない、という弱点が有り
大関「候補」という次元を抜けられずに居る。
そうした中で見せる、大器の片鱗。
諦めつつも、諦められない。
それは可能性の大きさによるものだろう。
稀勢の里もそうなのだが、本気で応援しないことには
本気で喜べないと思っている。
本気で応援して、本気で落胆する。
そういうことが楽しさなのではないかと思うのだ。
さて、一方で白鵬。
今回の敗因は明白だ。
そう。
張り差しである。
白鵬は張り差しによって隙を作ってしまった。
それ故に序盤から有利な体勢を作れないまま
豪栄道と五分で対峙することになった。
そしてその体勢からの巻き返しを図って仕掛けたところ
自らバランスを崩して付け込まれることになった。
白鵬の相撲の多くは、立ち合いから優位な体勢を作っている。
逆に優位に進められない時のことをあまり覚えていないほどだ。
12日目の取組後、白鵬に対して「対応力」という言葉で
不利な体勢からのリカバリーを賞賛する解説が有ったが、
それでも結局、優位な体勢の時との比較をすると
当然優位な体勢を作った時の方が圧倒的に強い。
だからこそ、本来はより確実性の高い取り口を選択すべきなのだが
白鵬はリスキーな張り差しを選択した。
琴奨菊が1敗で追走し、2敗力士もまだ多く残っているこの状況で。
考えてもみると、白鵬の最近の負けパターンというのが
ラフに攻めたところで隙が出来、そこに付け込まれることなのだが、
今回は正しくそれなのだ。
賢明な白鵬が確実に勝ちが欲しい一番でリスクを選択し、リスクに殉じた。
これは不自然ではないだろうか?
私が知っている白鵬は、このような真似はしない。
勝ちたい一番で、必ず勝つ。それが白鵬だ。
勿論その理由は白鵬のみが知っている。
我々に出来ることは、それを推測することだ。
白鵬は、何故張り差しを選択したのか。
考えられる理由は、2つ。
一つ。
特定力士に対する牽制。
考えてみると、この立ち合いを見せる力士は限られている。
稀勢の里に対しては勿論、豪栄道とあとは上位に居た頃の妙義龍。
彼らに共通して言えるのは、白鵬に勝ちに来ているということ。
そして、彼らは実際に白鵬に勝てる数少ない力士だ。
好戦的な力士に対する牽制。
怖い印象を植え付け、思い切った相撲を取らせないようにする。
事実彼ら以外の力士達は白鵬を相手にすると
別の力士の時よりも本来の能力が発揮できずにいる。
時として上位の力士はこのようなことを行うが、
白鵬もそれをしていたのだとしても、疑問は無い。
何故なら、妥協の無い土俵態度からすれば
このような戦術もまた、選択肢に入るからだ。
一つ。
四つ相撲に対する不安。
立ち合い後に自分の体勢に持ち込めるときは良いのだが、
最近の白鵬は四つを選択したときに相手を崩しきれないケースが有り、
更には相手に仕掛けられる場面が出てきた。
これは以前は見られなかった光景だ。
そして今白鵬は、ラフな相撲が目立ってきた。
これもまた、以前は見られなかった光景だ。
だとすればこの二つを絡めて考えることもまた、自然なことだ。
今の白鵬は四つになると大砂嵐でも手を焼き、
豪栄道を相手に敗れる。
これは、事実だ。
勿論、素晴らしい力士であり、横綱として傑出していることは間違いない。
だが、今の白鵬は数年前の白鵬とは異なる。
しかし別の視点で考えてみると、
変化しながらもこの成績を残し続けていることは凄いことだ。
強みを失った力士は、普通成績を落すものなのだから。
敗因を分析することが、逆に白鵬の強さを
逆説的に証明することになるとは思ってもみなかった。
白鵬の時代に立ち会えたことは、自分にとって大きな財産であり喜びだ。
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