ダメ押しで高まる、白鵬への批判。今の白鵬を止めるための劇薬が「稀勢の里の優勝」である理由とは?
白鵬の土俵態度が、今まで以上に物議を醸している。
発端となったのは照ノ富士戦でのダメ押しで、
誰がどう見てもそれは非が有るものだった。
相撲協会は親方を呼び出し、注意した。
何故本人ではなく親方を呼び出したのか。
そして何故あのような張り紙を掲示したのか。
これらの一連の対応についても疑問が有るが
それはまた別の議論である。
問題は、またしても白鵬がやらかしてしまったことだ。
やらかすのは仕方が無い。
勢い余ってしまうことや、イライラが募ることなど誰でも有る。
むしろ白鵬であればこれまでの積み重ねが有るので
謝ってしまえば大きな問題にはならない。
だが白鵬の場合はクレーム対応が苦手なのか、
それとも謝る行為が肌に合わないのか、
何かやらかしてしまった後の対応が悪いのである。
翌日に記者からダメ押しについて尋ねられた時。
これは白鵬に与えられたチャンスだったと私は思う。
ついやってしまいました、ごめんなさい。
もうしません。
これだけで済む問題だったが、よりによって
その質問を刎ね付けたから、更にこじれてしまった。
逸ノ城戦というビッグイベントが有りながら、
残ったのはその後の謎の無表情と記者に対する対応。
表立って批判をするには存在と恩が大き過ぎるが、
白鵬に対する疑問は日増しに大きくなる。
だが、私はこの反応から一つ安心したことが有る。
質問を刎ね付けたということは、つまり
自身の態度を100%正当化するには至っていないということだ。
もし、ダメ押しの何処が悪いのか、と考えていれば
批判されたところで全く気にも留めないだろう。
感情的な反応が返ってきたということは、
やらかしたことをよく理解しているということだ。
今一番の懸念すべきは白鵬が聞く耳を持っていないこと。
これに尽きるのだ。
横綱審議委員会に期待したが、それは叶わなかった。
そして、相撲協会も結局白鵬に向き合えずに居る。
劇薬として朝青龍にも期待しているが、現実的には難しいだろう。
この態度が続けば、白鵬はメディア越しに大きな批判を受けることになる。
しかしそれは、本人を頑なにするだろう。
人気者に対する嫉妬ややっかみとも受け止められるだろう。
恐らく「新聞では色々言われているけど…」と、
単にメディア嫌いになるだけの結果に終わることだと思う。
だから、本人が気付くしかないのである。
どうやって気付いてもらうか。これが一番難しい。
土俵を守り続けてきた頃の白鵬に戻ってもらうためには、
つまりそういう自分を彷彿とさせる存在を目の当たりにすること。
そして、そういう姿が熱烈に支持されている事実を受け入れること。
今考えられるシナリオは、ただ一つ。
そう。
稀勢の里の優勝である。
稀勢の里の相撲は、相手の全てを受け止めて
その上で上回るというものだ。
ある意味でこれは、白鵬が目指す双葉山や大鵬のそれを
彷彿とさせるものである。
対する白鵬はといえば、双葉山や大鵬という言葉を出してはいるが、
現在のスタイルに近いのは、皮肉にも彼が一番避けたいであろう朝青龍である。
今の白鵬は、相撲スタイルもさることながら
人に意見させない、言ったところで威圧するところからも
朝青龍のような怪物になりつつある。
優勝回数で新記録を樹立すれば、その改善は難しいだろう。
日馬富士も鶴竜もそういう相撲を取る訳ではないし
何よりも白鵬の優勝が懸かれば、彼らは過去の事例からも
番狂わせを演じることは難しい。
よく考えてみると、モンゴル人横綱2名よりも
白鵬は稀勢の里を意識しているし、全力で潰しに来る。
双葉山や大鵬という名前を出しており、
土俵外ではそうした大横綱の系譜を辿るような
素晴らしい振る舞いをしていることからも
彼らに憧れているのは間違いない。
だが、白鵬は彼らの相撲を捨てて、今のスタイルに行き着いた。
そして、彼らのスタイルに一番近いのは稀勢の里だ。
だからこそ、白鵬は稀勢の里に厳しいのかもしれない。
そういう稀勢の里が優勝すれば、多くの方達が
その快挙を喜ぶことだろう。
白鵬が喪失し、稀勢の里が体現している理想郷に対して
賛辞の声を送り続けることだろう。
その時、白鵬は喪失したものに気付く可能性が有る。
そうした賛辞を、稀勢の里が日本人だから、ということで
受け止めたとすれば、白鵬は更に頑なになる可能性も有る。
だからこれは、劇薬であることは間違いない。
しかし、劇薬にしか頼れないところにまで追い込まれていることは事実だ。
ひょっとしたら、今場所が最後のチャンスになるかもしれない。
記録が出来ればもう白鵬を様々な意味で止められない可能性があるからだ。
稀勢の里は稀勢の里で、彼独自の問題が有る。
白鵬と同じ条件で闘うには、それ相応の準備が必要になる。
ここまでは悪い相撲が有りながらも1敗をキープしてきた。
今日の日馬富士との「オレとアイツ」の決戦が、大きな意味を持つ。
これを乗り越えた時に、相撲界の未来をある意味で分ける闘いが
待ち受けている。
色々な意味で、注目である。
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