さよなら、スージョ。

出勤中にTwitterに目をやる。
ズームインサタデーで相撲女子特集を放映しているそうだ。
最近の相撲人気ぶりと、それに熱狂する女性ファン。内容的にはそんな感じだ。まぁ例の感じの、もう何度見たか分からないような感じの特集である。
言い方は悪いが、何百番煎じだろうか。そんなもの、五木ひろしのモノマネくらいやり尽くされているではないか。五木ひろしは見たことが無かったが、コロッケのモノマネで彼の大半を知った私は繰り返されるその特集に複雑な気持ちになった。
今の世の中で、そういう煽り方で乗せられる人は激減している。何よりも避けたいレッテルは「にわか」というのが2016年なのである。流行っているという世間の発信は逆に有難くないのだ。
世間に乗せられて選ぶことほどカッコ悪い事はない。自分の無さを露呈してしまうからである。誰もがSNSで手軽に発信し、既存メディア以外の発信に目を向ける時代だからこそ既存メディアが発信する流行に乗る行為は、表層しか見えないということを露呈することにもつながりかねない。
流行は避けるべき対象となりつつある時代なのだ。だからこそスージョという言葉はここまで忌み嫌われてしまっているのである。
この言葉を使った雑誌「相撲ファン」は、そうした目線を分かった上で、それでもメディアの露出を意識してスージョという爆弾を仕掛けた。そして、世の中の反発は有ったものの、相撲が面白いという古くて新しい価値観は目論見通りメディアに取り上げられることになった。最初はそれで良かったのだ。
世間の相撲観は、2年前から変化している。それはスージョという言葉に対する否定的な見解が浸透したことからも明らかだ。それでも未だにスージョという切り口から離れられないメディアとは対照的に、最近4号を発行した「相撲ファン」は明確に変化を見せていた。
つまり、変化した読者を意識しているということである。
今回の特集を読んで驚いたのが、「スージョ」という活字が激減していることだ。この雑誌が発祥で世の中に知れ渡った概念なのだから、当初想定していたターゲット層を意識するのであれば当然そういう紙面作りになるはずだと私は思った。
だが、彼らは自らスージョというステージを捨てたのである。そしてそのかわりに特集したのが「相撲を伝える」ということだった。
登場するのは北の富士さんであり、やくみつるさんだ。冒頭から彼らが登場して相撲について発信することについて語る雑誌をどこの女子が読むというのだろうか。流行に敏感な女性を意識しているのだとすれば、これは明確な敗退行為である。
つまりは、スージョという言葉に惹かれるような読者を、ハナから相手にしていないのだ。スージョとして当初見ていた読者層を取り込むというステージは終わり、相撲の面白さを共有したいち相撲ファンとして、元スージョたちを意識しているわけである。
そして、次のステージはとして自ら伝えるというステップに移行したと考えると、この雑誌がいかに読者の変化や、世間の目を意識しているかお分かり頂けるだろう。だから、私の中で「相撲ファン」は受け止め方が他の雑誌とは異なるのである。
スージョという概念は、確かに新しかった。何故なら、その切り口で未だに番組を作るテレビマンが後を絶たないからだ。
話は逸れるが、これほど同じ切り口で番組が進行するということは実は世間にはスージョという概念が浸透していないことを意味しているのでは無いかと思う。人気が有ると言われているが、流行語大賞をとるよう爆発力はないので、それなりの温度を保つものの社会現象は起こせずにいるわけである。
皮肉にも爆発力がそれほど無いことがスージョで入ったファンを自立させ、流行に流されない骨太な相撲ファンに成長させたのでは無いかと思うのだ。一過性の人気ではなく、力士人気でもなく、相撲人気と称されるのは誰もが地に足を付けて相撲を見ているからなのである。
必要悪としての「スージョ」という概念は終わった。もうその打ち出しは役目を終えている。そしてその時のファンは、既に新しいステップに入っている。
さよなら、スージョ。
こんにちわ、相撲ファン。
9月場所は、もうすぐそこだ。
◆告知:40歳以下の相撲ファンが千秋楽に大相撲をテレビ観戦する会◆
9月25日に千秋楽を大人数でワイワイテレビ観戦する会をやってみようと思います。参加を希望される方はmakushitasumo@gmail.comまでご連絡下さい。
ただし、これまでとは少し趣向を変えて、「40歳以下」という縛りを設けてみたいと思います。同じくらいの世代で一緒に相撲を観る機会が無い、という声に応えるのか目的です。あと、千秋楽は盛り上がるのにチケットが入手しづらく、一人であたふたすることが多いことも理由の一つです。
東京近郊で、16時間から開催予定です。詳細は後程連絡します。普段よりもこぢんまりとした感じになると思われますので、お気軽にお声かけください。なお、人数次第で中止の可能性も有りますので、予めご了承ください。
それでは、お待ちしております。
◇お知らせ◇
1000万PVを記念して、現在企画を行っております。詳細はこちら。
ご興味が有りましたら、プロフィール欄を参照の上、メールをご送付下さいますようお願いいたします。
◇Facebookサイト◇
幕下相撲の知られざる世界のFacebookページはこちら。
◇Instagram◇
幕下相撲の知られざる世界のInstagramページはこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)