朝潮以降の大卒で大関以上になった力士の数、知ってる?

・・・勿論、35億ではない。
大学進学が相撲関係者の中でも増加し、若貴前後で才能の多くがそちらに流れるようになった。影山(栃煌山)以降、中学横綱の中で大相撲に進んんだのは佐藤(貴景勝)だけだ。そのほかの力士達は、大学からアマチュアという進路を取る者が大多数だ。
才能ある者が大相撲すら目指さない時代に、厳しい選択をすること自体素晴らしいと私は思う。将来の夢の上位に公務員が位置する時代なのだから、この傾向自体責められないのかもしれない。
そういう背景があることを前提として、タイトルの質問に答えたいと思う。正解は、出島と琴光喜の2名である。
武双山と雅山、あと旭富士は大学中退して角界入りしているので、そこに並べても良いのかもしれない。だが40年あまりの中で、大卒力士で角界の顔と言えるところまで番付を上げた力士はたったの2人。中退を入れてもたったの5人だ。
付け加えると最高位大関の4力士は、最高位大関の中での成績を比較すると全員下位に位置しているのである。嫌な言い方をすると平均勝率も、優勝回数も、在位場所数も、大関の中でも低い力士しか排出できていない。
雅山以降、三十代以下の力士に至っては大関候補は居ても大関獲りというステップに至った力士すら皆無だ。三十代以下で最強の大卒力士は一体誰だろうか。答えに窮するところだが、上位での実績を考えると妙義龍が妥当なところではないかと思う。ちなみに朝潮以降で三役に定着した大卒力士は出羽ノ花、栃乃和歌、そして土佐ノ海の3人だけだ。
才能の多くが大学を目指す中で、ここ20年あまりの最強力士が妙義龍。妙義龍は良い力士だ。だが、才能の数を考えるとまだまだ排出できたのではないかと私は思う。
関取になることは凄いことだ。幕内に定着することはもっと凄いことだ。幕下を継続して見続けていれば、そんなことは分かっている。分かりきっている。私の応援し続けた力士が命懸けで挑んで、あと一歩のところで跳ね返されたのだから。あれほどまでに渇望し、想いを持って全てを出し尽くし、それでも叶わなかった地位なのだから。
ただ、私が言いたいのはそういうことではない。
もし、三役や大関に成れるかもしれない力士が、そういう可能性を見せてきた力士が十両や幕内下位から抜け出せずに居たら、一体どう思うだろうか。そこで彼らを凄いという次元で見てしまったとしたら、逆に失礼ではないかと私は思う。
出来る能力を見せながらも、能力を見せる次元に留まっているからこそ、不甲斐ない。かつての稀勢の里を不甲斐ないと言って怒る人はそれほど居なかった。だが大卒力士が対象になると、突然怒る方が出てくる。それも、大卒力士に近い方に多いのが特徴だ。
彼らだって頑張っている。
彼らの何が分かるんだ。
相撲も取ったことの無い奴が。
確かに、私は相撲を取ったことが無い。だが、相撲を取ったことが無ければ意見を言うことができないというのであれば、総理大臣にモノを言えるのは総理大臣経験者だけということになってしまう。
大卒力士がまだまだやれることは、相撲を取ったことが無い立場からも分かる。何故なら、彼らの多くは一番いい相撲を取っているのが、デビュー直後の番付を駆け上がっている時期だからだ。
番付を駆け上がった後で、上位で闘いながら体を壊す。その多くが膝の負傷だ。上位の速さ、強さを受けられない。そういう強い力士と学生時代に闘った経験が無いので、受け方が分からない。対応する前に、アクシデントに見舞われてしまう。中卒や高卒の叩き上げであれば、関取や横綱大関に向き合う経験もしている。だが大卒力士にはそれが無い。そんな話を元力士の方から聞いたことがある。
御嶽海はどうなのか。
正代はどうなのか。
そして、豊山はどうなのか。
佐久間山や遠藤が駆け上がった時の期待はもう無い。大卒力士の歴史やそうした構造を知ることによって、大卒力士への期待は一気に大関横綱ではなく、とりあえず三役、怪我せず上位定着程度のものになっている。
その期待感が失礼なものであることは承知している。だが、同じような期待を抱き難いほど、過去の傾向を知ってしまったのである。かつての稀勢の里に対して自分を守りながら期待を抑えて見続けたのと同種の、安全圏に身を置きながら観ることを私は知ってしまったのである。
そんな見方を、早く私は壊したいのである。
今は、本当にチャンスだ。
4横綱も盤石ではない。
そして2人の大関は更に危うい。
恐らくこの10年で一番のチャンスだ。こんなタイミングはあと10年巡ってこないかもしれない。若の里は取り逃がし、豪栄道は数年トライし続けてようやく掴んだ。上位が盤石の時は、大関や横綱は極めて誕生しにくい。世代交代というのは、あるタイミングで突然やってくる。その「突然」に乗れるか否か。
そのタイミングは、今だ。今なら壊れずに昇進できるかもしれない。それが出来れば、上位相手に壊れるリスクも相当軽減される。高安以外でも、入り込む余地は相当に残されている。
大卒よ、壁を破れ。
かつての期待を取り戻せ。
今なら、出来る。
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