九州場所からコールと手拍子が消えた?集団応援無き文化を維持すべき理由。
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九州場所ではコロナ前まで文化のようにコールが根付いていた
今場所を観ていて気付いたことがあった。
コールと手拍子が、無い。
実はこれについては東京開催の時にも感じていたが、恐らく大阪や名古屋でも同じだろう。
つまり、今のところ全ての場所でコールと手拍子が無くなったことになる。
何故今回、こんなことを記事にしたかと言えば、それは九州場所でのコールと手拍子というのは他の場所とは別次元で行われていたからだ。
恐らくこれらが定着したのはご当地力士である魁皇が頭角を現し、彼を応援するときに発生し、次第に規模が大きくなった。
これに関しては記録が残っている訳ではないし、定点観測してきた人が居る訳ではないので、感覚的なもので語らざるを得ないが、時期と発展に魁皇というご当地力士が大きくかかわっていることは間違いない。
そしてそれはご当地力士を始めとして九州場所では幅広く行われるようになった。
コロナ前ではこの応援方式が自然な形で出ていたので、他の場所とは異なる受け止め方になっていたことも事実で、なんだかこちらが指摘するのが無粋なようにさえ感じるほどある種の楽しみのような位置づけになっていたように思う。
集団応援は観戦約款の禁止事項
ただ。
ご存じの方も多いと思うが、大事なのはコールも手拍子も禁止事項ということである。
その根拠なのだが、観戦約款の禁止事項として「集団応援」と記されていることがその理由だ。
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観戦約款:https://www.sumo.or.jp/IrohaOther/kiyaku/
該当箇所→第9条第一項:「3. 観客を組織化しまたは観客の応援を統率して行われる集団による応援」
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明確に禁じられている行為ということもあり、コールも手拍子も否定する論拠が存在しているし、正当化できる理由は一つもない。
そして大事なのは、コールも手拍子も非常に嫌う人が多いということだ。
これに関しては、大相撲の粋とは異なる応援文化であることに起因しているように感じる。
集団で名前を節を合わせてコールするということ自体、特に近代的な感覚もないし、手拍子についても日本で文化として行われてきていることは間違いない。
ただ、私も個人的になんか違うと感じる。
和装の小粋な紳士淑女がこのようなことをしているのは様にならないという感覚はある。
故に、制度的にも感覚的にもコールや手拍子というのは否定的にならざるを得ない。
コール手拍子は禁止事項だが、何故か放任され続けてきた
不思議なのは観戦約款で禁止事項とされてきたことがここまで放置され続けてきたということだ。
禁止事項なのに放任というのは理由が見えない。
他にも思い当たる禁止事項としては「座布団を投げること」が挙げられる。あれについては頭に当たると大変危険という明確な理由がある中で、誰かが始めると歯止めが利かなくなるという傾向にあるものだ。
故に先日「大相撲メタバース場所」というイベントの中で座布団投げの是非について質問をされたこともある。何も知らない人からすると公認されている行為ではないか?と思うのも自然なことだと思う。
話を戻そう。
禁止であるにもかかわらずコールも手拍子も場内アナウンスなので制されているという光景を私は目撃したことは無い。ただ、禁止事項が文化として根付くという謎の事態は長く残り続けてきたことだけは間違いない。
コールや手拍子が起きた時の対応を相撲協会は定め、徹底すべき
しかし、コールや手拍子という「文化」はコロナを境に消滅した。つまり観戦約款上、正常な状態に戻ったということになる。
個人的にはこの状態の方が観ていて自然だし、何よりノイズになる要素が排除されたので快適そのものだ。
ただ、それは一時的なものである可能性もある。
2023年はようやく観客が戻ってきた、そして、新しいファン層が入ってきたという年なので、ポストコロナが更に定着した頃には気が大きくなってコールや手拍子に出るファンも少なからず出てくることも予想される。
大事なのは、その時の対応だと思う。
禁止事項がようやく解決した中、今であれば仮にコールや手拍子をするファンを制したとしても、そこまで抵抗されるものではないことだろう。
何故なら、一部の人間がやり始めたという段階だからだ。「文化」になってしまったとしたら抵抗する人も現れるし、歯止めが利かなくなる。
故に、仮に起きた時にどのように対応するかを相撲協会は内部的に徹底すべきだと私は思う。
せっかく正常に戻ったのに、異常な状態に揺り戻されたとしたら勿体ないことこの上無い。
快適な相撲観戦というポストコロナの良き文化を、私は維持してほしいのだ。
イベント情報
①11月25日 17:00 大相撲メタバース場所
メタバース空間で大相撲14日目の幕内後半の取組をパブリックビューイングします。3回目のイベントですが、メタバースきっかけで普段相撲を見ない方に大相撲が届いてきていてビックリしています。
メタバースだとちょっと・・という方にはVoicyとYouTubeでも配信を行いますので、後日案内いたします。
メタバーズの入り方、下準備についてYoutubeで動画が作られていますので紹介します。是非ご覧ください。
https://youtu.be/HdSsme7cTok?si=23ok8hn0TerOLcUY
②12月16日 18:00 大相撲トークライブ(錦糸町すみだ産業会館)
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。