2023年九州場所7日目所感 叩きといなしで2敗の貴景勝はどんな相撲を取るのか

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貴景勝は崩すためにどのような選択をするか

貴景勝の相手は豪ノ山。

本来であれば同型と言っても良い相手なので、真正面からぶつかりそのまま倒してしまいたい。

阿武咲との一番を取る時と似たような構図だと私は考えていた。

非常にシンプルに行くという予想をしながらも、どうにも引っかかっていることがある。

それは初日の北勝富士に関しては立ち合いが合わないという事情もあったため、まだ宇良以外には真正面から当たっての勝利が無いからだ。

翔猿戦はどちらかといえば駆け引きの中でペースを握っての勝利なので、少し意味合いが異なる。

つまり豪ノ山との一戦は突き切るか、攻めながら崩す選択をするか、という視点で観ることになる。

仮に崩すとしたらどのような選択に出るのか。

いなすのか、叩くのか、張るのか。

叩きでミスをして明生には敗れているし、真正面から突っ込んでくる相手に対して張るのはリスキーでもある。

果たして。

いなしに失敗した貴景勝

立ち合い。

貴景勝がやや当たり勝ったか、ほぼ五分。

それほど優位に立てないことが意外だが、豪ノ山が前に出てくる。

かなり強気だ。

豪ノ山のプレッシャーが強く、少し貴景勝が後退する。

反撃して前に出る貴景勝。

ここで貴景勝が流れを変えに出る。

いなし。

しかしここで豪ノ山が体を寄せて貴景勝を持っていく。

いなしの失敗で痛恨の2敗目となった。

豪ノ山がいなしを読み、対策を練っていたことが勝利に結びついた。

引きといなしで2敗。流れの中で崩す選択が取りづらい状況に

貴景勝にとって厳しいのは、7日目にしてまだ当たりの威力が戻っていないこと。

これに尽きる。

しかし、正代は逆転、高安は立ち合いからのいなし、翔猿は前へのプレッシャーを強めて勝ってきた。

状態が上がらない中で、戦略と機転と覚悟で勝利を収めてきたと言える。

一方で、一瞬の判断によって2敗したことも事実だ。

引きと、いなし。

貴景勝の引き出しともいえるこの二つの手で墓穴を掘る格好になった。

当たりが戻らない中で、流れを変える一手が今一つ。このような状況では相手も五分となれば思い切って前に出ないという想定で来る。

そうすると、それらの戦略がハマらない。

終盤に向けて星は落とせない。しかし、勝つ確率を上げるために当たりの強さではなく流れの中で崩すという戦略には頼りにくい。

さぁ、どうするか。

貴景勝は手負いの朝乃山を相手にどのような手を選択するか

明日の相手は朝乃山。

肉離れからの復帰初日だ。

この対戦であれば貴景勝が勝たねばならない。

朝乃山はまだ実戦に慣れていない上に、怪我が完治しているとは見づらい状況だからだ。

この朝乃山を相手に負けるとなれば、貴景勝の相撲が相当乱れていると言わざるを得ない。

左ふくらはぎの負傷ということは、攻めを受けた時に少なからず影響が出る。

そして、朝乃山は変化があるタイプではない。

覚悟を決めて攻めへの圧力を強めるか、実戦勘の無さをいなしや叩きで揺さぶるか。

墓穴を掘って2敗している状況で後者を取るのは相当勇気が要る。しかし、今の状況であればその選択はしづらいと考えて向かってくることも予想される。

個人的にはここで前に出る相撲が見たい。

それが貴景勝を最終的に助けてきた相撲だから。

そのほかの見どころ

全勝が居なくなった。

一山本も、琴ノ若も、今日は相手に良い相撲を取られた。

15日もあると、どうしても相手にペースを握られる時が来る。ここまでよく全勝で来たとも感じるので、それは仕方がない。

もし上位が崩れていると、こういう時でも比較的星を拾えたりするのだが、不思議なもので案外流れのまま敗れたりする。

そしてまた、上位が優勝争いの中心という構図に回帰していく。

気が付けば下位の力士が徐々に敗れて脱落するというのはよくあることだ。

攻めても守っても良い相撲を取ってきた熱海富士もここにきて連敗している。もはや「そういうもの」という言葉でしか言い表せない。

北青鵬と翠富士の一番は優勝争いという視点を除いても、かなり珍しい取組だった。

長期戦になると北青鵬は6分を超えようとも自ら動かない。これは毎回のことだ。

翠富士が足で牽制しても、揺さぶられない。しかし最後の翠富士のアタックは敗れても見事だった。この北青鵬を長期戦で崩したとしたら戦略を再考せざるを得なかったが、惜しかった。

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