「名誉ある最弱力士」最新情報。記録的連敗同士の対戦が実現濃厚?

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相撲界最弱の定義とは?

「現在の相撲界の最弱力士が誰か?」

という質問をされた時、あなたはどう答えますか?

まずこの質問をしてくる物好きが世の中にどれくらい居るか?ということが疑問ではありますが、まぁそれはいいじゃないですか。

とりあえずこの質問について考えてほしいのですが、多分これは幕下以下の相撲のシステムをご存じの方であれば割とすんなり答えることが出来るものではあるんです。

理由については言われて納得です。

その答えはずばり、

「序ノ口で0勝7敗だった力士」

ということです。

それはなぜか。

幕下以下の場合、基本的に相星同士の対戦が組まれるからです。

もうお分かりですね。

序ノ口という相撲界で最も下に位置するカテゴリの中で、全敗の力士は基本的に全敗同士との対戦が組まれるわけです。

そのため、特殊な事情が無い限りは最低でも1名は0勝7敗の力士が誕生することになります。

0勝4敗同士。

0勝5敗同士。

そして、

0勝6敗同士。

最終的に2名に絞られ、この対決に敗れた者がその場所での最弱力士ということになる訳ですね。

強さが求められる世界なので、最弱というカテゴリは注目されてきませんでした。

そりゃそうです。

本来序ノ口で全敗だと、早い段階で引退するからです。

かつて森川という力士が「相撲界のハルウララ」という触れ込みで森麗という四股名に改名したことがありましたが、それでもおよそ5年間の現役の中で序ノ口全敗は4回のみだったことが何よりの証明と言えるでしょう。

相撲界のハルウララですら1つは勝てる。

それが序ノ口という世界なのです。

服部桜という革命

しかし、最弱力士というカテゴリに革命を起こした力士が登場しました。

それが、服部桜(勝南桜)です。

服部桜という力士が一躍有名になったのは、敗退行為という事件を起こしたことに依ります。

もうこの事件が起きたのも10年近く前のことになるので知らない相撲ファンも徐々に増えてきているところだと思いますが、服部桜は意図的に何度も敗れようとして、そのたびに行事や審判からやり直しを受けた、ということがありました。

このニュースは非常に大きく報じられましたし、当然服部桜も師匠の式秀親方も大きな批判を受けました。

ただこの服部桜ですが、それ以外の敗戦によってその名は大相撲の歴史に名を残すことになりました。

通算成績:3勝238敗。

241回大相撲の世界で相撲を取り、3度しか勝てなかった力士が6年に亘って現役生活を続けたこと。

私はこれが服部桜の名誉だと思います。

故に好事家の言葉を借りると、辞めずに序ノ口で全敗する力士のことを「名誉ある最弱力士」と評するのです。

本来こんなに多く負けられないし、そうなる前に引退する。敗れることが出来るのは、挑戦したからです。

勿論服部桜の相撲を観た時にその存在意義を否定する人も多数居ますし、それは仕方がないことだとも思います。

ただ、最弱力士というカテゴリに於いて服部桜は革命でしたし、その引退をもって「名誉ある最弱力士」というジャンルそのものに注目する人も少なくなりました。

当時は生暖かい目で見守る者も居れば、本気で勝つことを願い、服部桜のYoutubeチャンネルを設立する者も現れました。

服部桜は、それほどの存在だったのです。

新星:若佐々木の登場

ただ。

2024年に最弱力士というカテゴリで新星と言える力士が現れました。

そう。

若佐々木です。

若佐々木は今年5月にデビューして未だ勝ったことがありません。

ここまでの成績は、0勝26敗。

そう聞くと服部桜の3勝238敗の方がインパクトがあるように思えるかもしれないのですが、これは私たちがこの数字に完全に感覚が壊されているので、26連敗でも十分際立った成績と言えます。

5月、7月、9月に0勝7敗。

そして11月は4敗の後に不戦敗。

その連敗の中には前述の森麗も、かつて「桃智桜」という四股名で取っていたことで知られる澤勇も含まれています。

彼らは服部桜引退後に最弱力士の一角を担っていたのですが、若佐々木には勝っています。

なお、服部桜はデビューからの連敗は通算成績から見るとそれほどでもなく、22連敗です。

つまり、「デビューからの連敗」というカテゴリにおいて若佐々木は服部桜を超えたことになるのです。

本来ここまでの連敗を重ねると引退という選択肢が出てくることもあります。実際デビューから序ノ口で全敗した力士の多くは1場所ないしは2場所で辞めていきました。

11月の不戦敗もどのような事情か、情報はありません。

ただ「不戦敗」が伝えられるのみです。

しかし敗戦を重ねながらここまで続けているところを見ると、初白星を願わずにはいられません。

0勝26敗というのはそういう成績なのです。

挑戦した者しか敗れられないのですから。

肥後光という存在

ただ。

そんな若佐々木にチャンスが巡ってくるかもしれないのです。

肥後光。

ここまで30連敗という記録を継続している力士です。

26連敗の若佐々木が居るのに何故肥後光もまた連敗しているのか?と疑問に思われる方も居ると思いますが、これには理由があります。

2023年九州場所の序ノ口の相撲で頭を打ち担架で運ばれた後の再出世を目指して出場した2024年3月場所でも取組中に後頭部を打ち、救助されるということがありました。

11月場所には前相撲に出場し、来場所の再出世が予定されているようです。

気になるのは前相撲の内容を見る限りではあまり相撲になっていないということで、立ち合いから棒立ちになってしまっているように見受けられます。

二回の取組の影響なのでしょうか。

とはいえ肥後光はアクシデントの前は序ノ口で全敗か1勝~2勝という成績が多く、澤勇や服部桜には勝てていますので、元々今の相撲という訳ではないのです。

最弱というカテゴリはあくまでも相撲が取れている中で見るからこそ興味を持てるジャンルとも言える訳ですが、肥後光の取組はそこに至っていないように感じます。

若佐々木としてもチャンスではありますが、肥後光としても当然負けられません。

となると、肥後光の視点で考えても積極的に相撲を取りに行けるかもしれないということです。

初場所に対戦が組まれるとすると、ここまでの成績を鑑みれば互いに全敗というシチュエーションになることでしょう。どちらかが勝っていれば対戦は組まれない訳ですからね。

序ノ口の中でも記録的な連敗を重ねる者同士の対戦。

注目の対戦であることは間違いありません。

対戦が組まれたらどちらかが勝つのですから。

若佐々木が初白星を挙げるところももちろん期待したいところですが、映像を見る限りでは肥後光が闘う相撲を取るところもまた期待したい、そんな一戦になります。

最弱というジャンルにはどうしてもそういう目線が付いてまといますが、二人の対戦が組まれたとしたら、お互いに何かが変わるのではないかとも期待してしまいます。

一つの白星がもたらすものは、一体何か。

私はそれを観たいと思います。

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