大相撲初場所は、ワイドショーで関心を抱いた新たな層を取り込むチャンスである。

忘年会のことだ。

職場の同僚は私がクレイジーな相撲ファンであることを知っている。日馬富士の騒動について、当然話を振ってくる。分かる範囲で私も答える。

私の場合は全体の流れを大筋で把握しているので、どういう力関係で何が為されているかというマクロな視点からの話をすることになる。ラジオでもワイドショーでも忘年会でも、それは同じことだ。

だが、私はここで腰が抜けるほど驚くことが有った。
そう。
職場の20代の女子社員の多く、それも普段は相撲のスの字も語らないような人達が日馬富士騒動を事細かに知っていたのだ。

彼女たちの口からは貴ノ岩がどうしたとか、伊勢ヶ濱親方がどうしたという言葉が出てくる。どうやらそれは、ワイドショーやニュースで語り尽くされたことのようなのだ。そしてそれは、私があまり知らないことなのである。

私はそういう細かい話には一切興味がない。興味があるのは、この先どうなるのか。それだけだ。だからこそ、ミクロな話では女子社員の方が遥かに知っていた。

不祥事がこれほど語られていることに対して複雑な想いを抱き、またしても大相撲が世間の信頼を失っていること、そしてあまりにフランクに信頼が失われていることを大相撲寄りの私に突きつけてくる残酷さに何とも言えない想いを抱いた。

もう世間は、元から大相撲を信頼していない。
これは由々しきことだ。

だが、私は一方で別のことを考えていた。
そう。
これほど大相撲を若い世代が語るところを見たことが無いのである。

昨今の大相撲人気は、若年層には届いていなかった。
だが、不祥事については多くの者の関心事だ。

私は思った。
これはチャンスかもしれない、と。

相撲人気が回復し、ブームと言われている時でさえ私は同世代の中では少数派だった。私の話を面白いと聞いてくれる人が居ても、異物として楽しんでいるのが実情だった。

彼らにとって相撲が関心事になったことは、一度たりとも無かったのだ。唯一、今回を除いて。彼らがここまで大相撲に眼差しを送ることなど、今まで無かったことは間違いない。数年前でさえ、ここまでではなかった。

あの時は、相撲そのものが問題だった。八百長という、競技の根幹を揺るがす事態が問題だった。だから、相撲そのものが失墜することになった。

今回は、相撲の質とは異なるところで問題が起きている。
100人に一人でもいい。ワイドショーで相撲にネガティブな意味で興味を示した人が、初場所を見てくれたら。全く異なる相撲ファンが生まれるかもしれないチャンスだと私は思う。

騒動は本当に酷かったが力士達の闘いぶりを見れば、相撲に対する見方を変えられるかもしれない。だからこそ、今場所は重要なのだ。

ただし、悪い話題が目立つことも事実だ。
特にモンゴル人力士に対する風当たりは強いことだろう。

分かる人には分かるではない、多くの人々の心を打つ熱戦を期待したい。こういう状況なのだから。

 

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大相撲初場所は、ワイドショーで関心を抱いた新たな層を取り込むチャンスである。” に対して1件のコメントがあります。

  1. shin2 より:

    「ワイドショーで関心を抱いた新しい層」は、ワイドショーが大相撲を取り上げる現在の状態が終われば、別のことに関心を向けるだけじゃないかなあ。
    一発屋芸人のギャグと変わらないだろう。半年も経てば見向きもされない。
    来月は平昌オリンピックだ。6月はワールドカップだ。センバツもプロ野球もあるし、大きな政治や芸能スキャンダルも出てくるだろう。「え、相撲ってまだやってたの?」と言い出しそうだ。
    青臭くて古臭いことを言うが、やはり土俵上の熱戦でしか相撲ファンは獲得できない、と考えます。

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