ニコニコ超会議への大相撲参戦。新規ファン獲得に向けて、大きな意味を持つ理由を考える。

ニコニコ超会議に大相撲が参戦した。
幕張メッセで企画されたこのイベントは
「ニコニコ動画を地上で再現する」というコンセプトのもので、
例えば自衛隊、例えば将棋、例えば動画配信者の方が
有名曲をカバーする「歌ってみた」といったブースが
幕張メッセに所狭しと並んでいて、昨年は2日間でのべ
10万人が駆け付け、500万人が視聴している。
恐らく日本で行われているイベントの中で
最も影響力が大きいと言っても過言ではないのが
このニコニコ超会議であることは間違いない。
そこに今回は大相撲も参戦した、ということで
大きな話題となった。
番付発表後の企画であることや、大相撲とは畑が違う
このイベントへの参加であることに対する拒絶反応も相成って
事前には反対意見も多かったことは事実である。
だが1日目が終了し、この大相撲の参戦はかなりの反響を呼んでいる。
報道の傾向として、普段相撲を見ない
10代~20代の若者が足を止め、ポジティブな反応を示している、
という論調であることが挙げられる。
確かにこのイベントの目的は新規ファンの発掘であることは間違いない。
巡業や本場所が基本的に既存ファンを中心としたイベントであるのに対して
ニコニコ超会議に来ている客層の大部分は相撲ファンではなく、
また相撲を観戦する年齢層でもないからだ。
だからこそ、その狙いが当たったという意味合いで
好意的な報道が目立つのはよく分かる。
しかし、ニコニコ超会議への参戦が持つ意味が大きい理由は
実はもう一つある。
それは何か。


ニコニコ超会議に参加している客層が、
若年層の中では相撲ファンに成り得る層だからである。
若者の~離れという言葉が有り、
かつてと比較すると何かを買ったり、何かを観たり、という行動を
彼らがしなくなったことを、この言葉を使って表現している。
事実、様々な業界で若年層を取り込むためにあの手この手を
尽くしてはいるが、メディアによる広告効果が落ちており、
その試みの多くが結果として結び付いていないのである。
車を購入しない、酒を飲まない、たばこを吸わない。
今まで普通なことだとして刷り込まれていた価値観が、
実はしなくてもいいことであることに、彼らは気付いてしまった。
気付いてしまうと、全てに対して一度批判的な見方をするようになる。
良くも悪くも冷静であることが現在の状況を招いているのである。
つまり、新規ファンの獲得を目指すことは正しいが
若者をターゲットとしたとしてもその効果には疑問が残る。
だが、このニコニコ超会議に来ているファン層を考えてほしいのだが
彼らの多くは自分のフィールドが有る。
例えば、コスプレ。
例えば、オンラインゲーム。
そしてそれらのフィールドは、世間的には少数派である。
それはつまり、相撲と同じだ。
少数派で且つ、彼らは消費行動に大変積極的だ。
それは、幕張メッセという必ずしもアクセスの良くない立地に
駆けつけるところからも明白である。
相撲ファンと同じ少数派であり、しかも
自分のフィールドに対して積極的に行動する。
少数派は少数派に対してシンパシーを抱きやすく、
ポジティブな印象を抱くと一気にファンに転じやすい。
そう。
ニコニコ超会議の来場者こそ、大相撲が獲得を目指すファン層、
というわけである。
知ってか知らずか、ここに参戦した大相撲協会の決断は、
かなり大きく、英断だったと私は思う。
5月場所に間に合わずとも、9月に彼らと国技館で会えたら
こんなに嬉しいことは無い。
なぜなら私は、国技館で観た川崎フロンターレサポーターのお蔭で今、
足繁く等々力競技場に通うようになったからである。
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