「相撲は総合芸術である」というパンチラインの持つ意味。足し算思考の相撲が持つ、総合芸術としての強みとは?

今日は休みと言うことも有り「すみだ川アートプロジェクト」の「相撲聞芸術のもくろみ」というイベントに参加した。
第一部では巨大スクリーンで十両と幕内の取組を観戦し、第二部では東大教授で相撲部部長の新田一郎さんの講演と元力士大至さんの相撲甚句とトークを楽しむというもの。これだけの内容で、入場無料。おまけに大至さんの作るちゃんこが500円で食べられる。直前にFacebookに書き込みを頂いたことからようやく知ることが出来たイベントだったが、よもやここまで充実のラインナップとは思わなかった。
新田一郎さんは「相撲のひみつ」などの著作で知られる方で、相撲の歴史についてもご本人曰く第二専攻とのこと。未だに東大生に胸を貸していて、稽古場では勝つことも有るらしい。ちなみにこの会に参加された方の中で新田さんの学生時代を知る方が居たのだが、曰く東大史上最強力士は新田さんなのだという。そんな新田さんの今日のトピックは「江戸と相撲」。相撲の歴史を早足で振り返り、その関連性について考えるということだった。
「相撲はね、神事って言いますけど、元々は神事じゃないんですよ」
というパンチラインがいきなり飛び出し、観衆をロックする。年に一度の相撲節から始まった相撲は、全国から相撲人、格闘家を京の都に集結させて、天皇陛下の前で取らせていた。地方によってルールや取口の異なる相撲が、相撲節という頂点の大会で統一の動きを見せる。そして、相撲のしきたりや所作を相撲節で学び、地方に持ち帰る。神事というテイストが加えられたのはその後の話だというのが、新田先生のパンチラインの主旨である。
「相撲のひみつ」で読んだような話ではあるが、ボンヤリとしか覚えていなかったので、改めて思いだすことが出来た。しかしこの新田先生の話はこのような切り口の話が多いので、全く退屈することは無かった。大学教授は流石に凄いものだ。専門的な話ではあるのだが、知識がゼロの人のためにカスタマイズしていい具合の濃度で話す。次回が有れば事前に告知して、この素晴らしさを多くの方と共有したいところである。
さて、そんな新田先生の話の中で一つ強烈に印象に残ったパンチラインが有る。それは、「相撲は総合芸術」だということである。
土俵上の相撲だけでなく、所作も、土俵入りも、音楽も、舞台も、呼出も、行司も、建物も、食べ物も。全てが絡み合って、相撲を相撲たらしめているのである。全てに歴史が有り、おや?と思う部分が有る。引っかかりの部分の多さこそが文化としての強度を表すというのが私の持論なのだが、相撲の場合は「何故?」があまりに多い。
「何故?」の中には理由が有る。もし競技として今相撲が成立したとすれば間違いなく加えないであろう仕草の中にも神や地域に対する意味合いが含まれるので、過去に成立した時のそれが基本的には残っている。その意味合いも、大抵の場合3行で言い表すことが難しい。どれを取っても単純な動機など存在しない。調べれば調べた分だけ発見がるのが相撲なのである。そして、この「総合芸術」ということが大きな意味を持っている。今日たまたま居合わせていた方からこんなことを言われたので、是非とも紹介したい。
「ニシオさん、私は初めて国技館に行く人には『美味しい焼き鳥とビールを飲みながら友達と話すだけで面白いのに、目の前で相撲までやってるんだよ?面白いに決まってんじゃん!』って言うんですよ。」
なるほど。そういうことか。相撲が総合芸術だということを的確に言い表しているではないか。
楽しい要素が足し算思考で加わっているのが相撲という競技、いや、相撲という文化の本質なのだ。仮に相撲にそれほど興味が無くても、焼き鳥とビールを飲みながら友人と語ることが嫌いな人間はそうは居ない。先に示したような要素が複雑に絡み合っているのだから、それらの中で引っかかるものが幾つか有れば、相撲は既に面白いのである。
相撲ファンの方に会えば分かるのだが、鉄道ファンと同じで色んなジャンルのファンが存在する。呼出が好きな方が居れば、相撲をファッションとして捉えている方も居る。力士をアイドルとして捉えて出待ちしてる方も居れば、相撲をデータの側面から捉えて分析する方も居る。楽しみ方は、人の数だけ有るのだ。
余談だが、相撲ファンには大きく分けて3種類の人種が存在する。これについては後日また語りたいと思う。
アイドル文化としての相撲。
格闘技としての相撲。
瀬戸物としての相撲。
食としての相撲。
歌としての相撲。
そう。
全てが相撲なのだ。
最後に「ふたりはプリキュア」の有名ファンで、当ブログが半笑いから本気にシフトチェンジするきっかけを作った通称「プリキュアおじさん」のプリキュア評を最後に紹介したい。
「他のヒーローは強いだけですが、プリキュアって強い上に可愛いんですよ。可愛くて強くて最高じゃないですか!」
総合芸術としての相撲の強さは、そういうことなのである。大至さんの店、門前仲町の「スナック響」に足を運ぼうと友人と語りながら、私はプリキュアおじさんのことを思い出していたのである。
◇お知らせ◇
幕下相撲の知られざる世界のFacebookページはこちら。
限定情報も配信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)